マシニングセンタの基礎講座

モノタロウの本連載では、マシニングセンタの種類や仕組み、使い方について、実践的で役立つ知識をご紹介していきます。
第3章 マシニングセンタを動かすソフトウエア

3-5 NCプログラムの各種機能

マシニングセンタなどNC工作機械を動かすためのプログラムを「NCプログラム」といいます。NCプログラムは手動の工作機械(汎用工作機械)を人が操作していた内容、たとえば、「主軸を回転させる、切削工具を動かす、切削油剤を供給する」などの作業を置き換えたものです。そのため作業別に入力する文字が決まっており、この文字を「アドレス」といいます。

「S」はスピンドル・スピード・ファンクション(主軸速度機能)を示し、Sに続いて数値を入力することで1分間あたりの主軸の回転数(min-1)を指令します。たとえば「S1000」と入力すると主軸は1000min-1で回転します。

「F」はフィード・ファンクション(送り速度機能)を示し、Fに続いて数値を入力することでテーブルや主軸頭など駆動部の送り速度(1分間当たりの送り量:mm/min)を指令します。たとえば「F500」と入力すると指令された運動部は500mm/minの速さで移動します。S指令とF指令では通常小数点はつけません。

「T」はツール・ファンクション(工具機能)を示し、Tに続いて数値を入力することでツールマガジンに収納されている切削工具を呼び出します。「T5」と入力すると予め5番に登録した切削工具が工具交換位置に呼び出されます。

「M」はミセレイニアス・ファンクション(補助機能)を示し、運動以外の指令を行います。Mに続いて機能ごとに定められた2桁の数値を入力することで主軸の回転、停止、切削油剤の供給、停止、切削工具の交換などを指令することができます。たとえば、「M08」と入力するとノズルから切削油剤が吐出し、「M09」と入力すると切削油剤が止まります。

「G」はジェネラル・ファンクション(一般的機能)を示し、Gに続いて機能ごとに定められた2桁の数値を入力することで座標系の設定、工具長補正や工具径補正、テーブルや主軸頭など駆動部の運動方法(早送り、切削送り、直線運動、回転運動)などを指令することができます。たとえば、「G00」と入力すると主軸やテーブルなど駆動部が早送りで移動します。G機能は1行(1つのブロック)のみ有効な「ワンショット指令」と1度指令すると新しい指令が行われるか、またはその指令がキャンセルされない限り継続して実行される「モーダル指令」があります。

NCプログラムに使用されるアドレス一覧

アドレス 機能の内容
アドレスの意味
指令方法
S 主軸の1分間あたりの回転数(min-1)を指令する
Spindle-speed function
主軸機能
S+整数
F 送り速度(1分間あたりの送り量:mm:min)を指令する
Feed function
送り機能
F+整数
T Tに続いて数値を入力して切削工具の呼び出しを行う
Tool function
工具機能
T+整数
M 主軸の回転・停止、切削油の供給・停止など制御装置に指令する
Misecellaneous function
補助機能
M+整数
G 主として、切削工具の移動経路や加工方法などNC装置に指令する
General function
準備機能
G+整数

 

NCプログラムに使用される主要なG機能とM機能の例

G00

位置決め補間

G01

直線補間

G02

円弧補間 時計回り

G03

円弧補間 反時計回り

M03

主軸正回転

M04

主軸逆回転

M05

主軸停止

M08

切削油剤ON

M09

切削油剤OFF

M06

工具交換

 

NCプログラムの主要なM機能

M03

主軸の回転

主軸の回転

M05

主軸の回転の停止

主軸の回転の停止

M08

切削油剤の供給

切削油剤の供給

M09

切削油剤の停止

切削油剤の停止

M06

工具の交換
たとえばM06T03と入力すると、3番の工具に交換される

工具の交換

 

執筆: 芝浦工業大学 デザイン工学部 デザイン工学科 澤 武一 教授

『マシニングセンタの基礎講座』の目次

第1章 マシニングセンタの基礎知識

第2章 マシニングセンタの装備

第3章 マシニングセンタを動かすソフトウエア

第4章 マシニングセンタの要素技術

第5章 マシニングセンタの特性と関連知識

第6章 マシニングセンタを使用する際の基礎知識

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