工具の通販モノタロウ > 溶接の基礎講座 > 2-13 アルミニウムのミグ溶接について
溶接の基礎講座
ものづくりにおける接合方法の1つに、「溶接」があります。
本連載では「溶接」について、金属が接合するメカニズムから溶接の種類、また溶接の仕方まで、現場で使える知識をご紹介していきます。
第2章 溶接方法と溶接材

2-13 アルミニウムのミグ溶接について

アルミニウム材料の高能率溶接は、ミグ半自動アーク溶接で可能となります。この溶接で比較的利用範囲の広い、小〜中電流条件の溶接作業では、パルス電流制御の利用が推奨されます。

1)アルミニウム合金ミグ半自動溶接作業での注意点

図13-1は、アルミニウム合金のパルスミグ溶接におけるビード形成、溶け込み形成に及ぼすトーチ保持角の影響を調べた結果です。前進角の溶接では、ビードが扁平で溶け込みが浅くなるなど、半自動溶接での特徴的な現象が顕著に表れています。

一方、アルミニウム合金ミグ溶接での特異なビード表面への黒色スケールの付着は、前進角の溶接でほとんど見られず直角、後退角の順に顕著となっています。 これは、前進角保持で傾いたトーチのシールドガスノズル先端がスケールの溶着しやすい高温のビード表面に近づき、この部分のシールド作用が高められたためと考えられます(同じ効果は、ワイヤ突き出し長さを短くし、シールドガスノズル先端をビード表面に近づけることでも得られます)。 すなわち、この溶接においては、シールドガスノズル先端を溶接部に近づけ、溶け込み形成に問題とならない程度の前進角で溶接することが推奨されます。

図13-1 アルミニウム合金ミグ溶接結果に及ぼすトーチ保持角の影響

図13-1 アルミニウム合金ミグ溶接結果に及ぼすトーチ保持角の影響

2)パルスミグ半自動溶接による溶接

図13-2は、1.2mm径ワイヤを使用するパルスミグ半自動溶接による板厚3mmアルミニウム合金板の密着突合せ溶接結果です(溶接は、この溶接法で作成した一元化条件設定グラフで求めた条件を利用して行っています)。 この溶接の場合においても、一元化条件設定グラフで求めた条件でほぼ良好な溶接結果が得られています。 ただ、熱伝導性の良いアルミニウム材料の溶接では、同じVwの条件であっても高電流、高速度側の条件で母材溶融が確実に得られる溶接結果となっています。

図13-2 パルスミグによる板厚3mmアルミニウム合金板密着突合せ溶接結果

図13-2 パルスミグによる板厚3mmアルミニウム合金板密着突合せ溶接結果

また、図13-3は、同じ一元化条件設定グラフを使用し板厚8mmアルミニウム合金板裏当て金有りV形突合わせ溶接を行った結果です。 図中(1)、(2)の溶接は、いずれも開先断面から求めたVw条件の中で高電流、高速度側の条件を選んで溶接しています(いずれの層の溶接も、やや過大な溶け込み状態ではあるものの良好な溶接結果となっています)。

図13-3 パルスミグによる板厚8mmアルミニウム合金板V形突合せ溶接結果

図13-3 パルスミグによる板厚8mmアルミニウム合金板V形突合せ溶接結果

執筆: 溶接道場 安田 克彦

『溶接の基礎講座』の目次

第1章 溶接の基礎

第2章 溶接方法と溶接材料

目次をもっと見る