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工業用フィルムの種類

工業用フィルムは優れた化学特性や機械特性、電気特性によって幅広い産業シーンで使用されています。素材によって種類があり、メーカーによる独自開発素材が用いられた商品もあるため、ここでは各フィルムの特性をご紹介します。

工業用フィルムとは

工業用フィルムは、ポリエステル(PET)などの高分子化合物を原料とした薄いフィルムのことです。以下で各フィルムの特長や用途、代表製品をみていきましょう。

PETフィルム

PETフィルム

PETフィルムは、ポリエチレンテレフタレートという高機能樹脂を基材としたフィルムです。
PETフィルムは、強度が非常に強く、高い平滑性、耐熱性・耐薬品性にも優れたフィルムとされており、包装用途や粘着テープ、電子部品、液晶関連、光学用といった幅広い工業用途で使われています。
代表的な製品に東レの「ルミラー(R)」があります。「ルミラー(R)」は通常のPETフィルムの特性に加え、電気絶縁性に優れています。

PIフィルム

PIフィルム

PIフィルムは、ポリイミドという高分子化合物を基材としたフィルムです。ポリイミドは「イミド結合」という非常に強い分子構造のため、高分子の中でも特に高い性能を発揮するといわれています。機械的な強靭性、耐熱性や電気絶縁性などに優れており、主にFPC(フレキシブルプリント基板)向けの接着用途や、TAB(Tape Automated Bonding)テープの基材、回路基板まわりの絶縁用途、実装プリント基板の仮止め用途などで使われます。
代表的な製品に東レ・デュポンの「カプトン(R)」があります。「カプトン(R)」は通常のPIフィルムの特性に加え、超耐熱・耐寒性に優れており、太陽電池用の基板やグラファイト用材料などにも使用されています。

PENフィルム

PENフィルム

PENフィルムは、ポリエチレンナフタレートというポリエステル系樹脂を基材とするフィルムで、帝人が独自開発したブランド「テオネックス(R)」を指します。
PETフィルム同様の特性がありますが、PETフィルムに比べ、より機械的な強度や耐薬品性に優れている特長があります。ガラス転移温度や高耐熱性、耐加水分解性などにおいても、バランスよくPETフィルムを上回る優位性があります。
磁気テープや、自動車用の絶縁材料やFPC、電子部品、燃料電池などに使用されます。

PPSフィルム

PPSフィルム

PPSフィルムは、ポリフェニレンスルファイドという高機能樹脂を基材とするフィルムで、東レが独自開発したブランド「トレリナ(R)」を指します。
耐熱性や難燃性、耐薬品性、電気特性に優れており、PETフィルムと比べるとより高温で長時間使用できるという特長があります。
モーターやトランスなどの絶縁材料、コンデンサ用、粘着テープや印刷回路基板にも使われます。

PPフィルム

PPフィルムは、ポリプロピレンを基材とするフィルムです。透明性や光沢性、耐熱性に優れており、防湿性もあることから主に食品の包装用途をはじめ、工業用としても使われています。
ポリプロピレンフィルムにはCPPフィルム(無延伸ポリプロピレンフィルム)と、OPPフィルム(延伸ポリプロピレンフィルム)という種類があります。CPPフィルムはヒートシールに向いており、ボイルするレトルト包装材などに使われます。一方、OPPフィルムはより透明性や光沢性に優れたタイプで、引張強度も強くなっています。

耐熱温度 (*使用上限温度の目安)とフィルムの特性一覧
耐熱温度 フィルム 機械特性 電気特性 耐湿特性 コスト 特徴
260°C PTFE・PFAフィルム(フッ素樹脂フィルム) 非粘着性 光透過性 耐候性 耐熱性
200°C PIフィルム 耐熱性
FEPフィルム(フッ素樹脂フィルム) 非粘着性 光透過性 耐候性 耐熱性
160°C PPSフィルム 機械特性 電気特性 耐加水分解性 耐放射線性 極低温特性
155°C PENフィルム 機械特性 電気特性 PETフィルムより1ランク上の特性
ETFEフィルム(フッ素樹脂フィルム) 非粘着性 光透過性 耐候性 耐熱性
110°C PCフィルム 耐衝撃性 透明性 対候性
105°C PETフィルム 機械特性 電気特性 コスト