レインウェアの機能

レインウェアには、透湿度、耐水圧、防水機能の3つの機能が備えてあります。作業現場に適したものを選ぶためには、これらの性能を詳しく理解し比較することが必要です。また使っている素材によって適応度合いは異なります。下記を参考に機能を比較してみましょう。

透湿度

人は常に大量の汗をかいており、全身を覆うレインウェアを長時間着ると、体から発生する水蒸気で内部が濡れてしまうことがあります。そういった問題を解決するのが透湿機能です。 雨や水を弾く防水性と、内部の蒸れを防ぐ透湿性の2つの機能を兼ね備えた素材なので、雨の侵入を防ぎながらも内部の水蒸気を逃がすことができます。

透湿度とは、合羽内の水蒸気を合羽外へ排出する性能を数値化した概念です。単位は「g/m2・24hr」と表記します。衣服内の水滴になる前の蒸気状態の汗を、生地1平方メートルあたり24時間で何gの水蒸気を排出するのかという度合いを表したものです。 たとえば、透湿度が「2,000g/m2・24hr」であれば、24時間で1平方メートルあたり、約2000g分(約2kg/9)の水蒸気を排出する性能があります。また透湿度の数値が大きいほど高性能なので、それに比例して価格も高い傾向です。 商品には試験方法も明記してあるので、こちらで比較検討をしてもよいでしょう。

数値の比較は、どのくらい汗をかくかで考えます。たとえば、成人男性の1時間当たりの発汗量は、安静時が約50g、軽運動時が約500g、ランニングなどの激しい運動時は約1,000gです。レインウェアの表面積は2平方メートル程度なので、蒸れにくさを求めるなら最低でも5,000g以上、できれば8,000gが望まれます。 べたつきを防ぎたい場合は最低でも10,000g以上、可能であれば20,000g以上が理想です。この数値は体質や季節によっても異なるため、あくまで目安としてください。 なお、レインウェアに記載されている透湿度の数値は初期設定であって、繰り返し使用した際に汗や摩擦によって劣化し、少しずつ低下するために永久に続く数値ではありません。

成人男性の発汗量の目安

耐水圧

耐水圧とは、生地に直径10cmの水の柱を立て、生地に染み出してきた際の水の高さを数値化したものです。単位は「mmH2O」と表記します。たとえば、体重75㎏の人が濡れた場所に座った際の水圧を防水するなら、耐水圧約2,000mmH2Oが目安です。 耐水圧10,000 mmH2Oの場合、円柱10cmの水柱で高さ10mとなります。

耐水圧300~500 mmH2Oでは、小雨程度の降水に耐えることが可能です。一般的に傘がこの程度の耐水圧があります(小雨以上の雨でも浸水しないのは、表面の撥水加工と広げた生地の張力によるものです)。そして耐水圧1,000~2,000 mmH2Oなら通常の降水程度、耐水圧1,500~3,000 mmH2Oなら、いわゆる大雨程度の降水でも問題ありません。耐水圧3,000 mmH2O以上は、台風などの打ちつける雨でも機能します。

なお、経済通産省の検査機関では、傘やレインウェアの性能は500~1,000 mmH2Oで十分だとの発表していました。とはいえ、作業者の環境やどのくらいの性能を求めるかでも数値は変わり、野外活動の場合は10,000 mmH2O以上、登山など命に関わる現場では20,000 mmH2O以上は必要です。 ちなみに濡れた場所へ膝まずいているときの圧力は、約1,1000 mmH2Oあります。

さらに注意が必要なのは、製品に表記されている耐水圧の数値は初期値です。繰り返し使用すると汗や摩擦によって劣化が生じ、機能は少しずつ低下するために、永久に続く数値ではないことを覚えておきましょう。

耐水圧

防水機能

防水機能とは、水が生地の外側から浸み込んでも内部に入り込まない性能のことです。レインウェアの場合は、生地そのものと生地のつなぎ目にも防水性能が求められます。主にナイロンやポリエステルが用いられ、PVCラミネートかPUコーティングで防水加工されるのが一般的です。

PVCラミネートは、丈夫で摩擦に強いメリットを持ち、重くて蒸れやすいデメリットがあります。激しく動く現場作業などの作業者におすすめです。PUコーディングは、軽量で蒸れにくいメリットを持ちますが、薄くて耐久性に欠けるデメリットがあります。 軽作業の方におすすめで、通勤やレジャーには便利でしょう。このようにレインウェアにおいては、防水加工が重要視されています。

まとめ

レインウェアを作業現場に合わせて選ぶには、「透湿度」「耐水圧」「防水機能」の3つの機能を比較してください。作業現場に応じた使い分けをして、より快適に作業できるようにしましょう。

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