キーの種類と特長

キーは、モーターや減速機をはじめ、さまざまな機械に使用されている金具です。別名「マシンキー」とも呼ばれており、平行キーやすべりキー、半月キーなどさまざまな種類があります。種類によって用途や選び方も変わってくるので、それぞれ特長を知っておきましょう。

キーとは

キーは、軸と回転体を締結させる役割を持った金具です。単純なつくりで四角棒状となっており、これを取り付けることでほかの歯車へ動力を伝えることができます。シンプルな構造で、簡単に分解が可能です。

キーの大きさは軸の太さにより決められ、キーと軸との関係性はJIS B1301にて決められています。長さはボス側の長さにより制約されることが多いです。

また、キーが受ける力は材料のせん断応力により異なります。キーはねじり切るような力がかかり、これに対し押し返す力が材料により変わるという意味です。また、キーの引っ張り強度は600N/mm2以上でなければなりません。

キーの種類

軸や回転体にはキーを入れる溝があるものと無いものに分けられており、溝が無いタイプは軽荷重用に、溝があるタイプは動力伝達用に利用されています。また、沈みキーのほとんどが平行キーですが、それだけでは電動トルクを伝えることができない場合に使用されるのが、半月キーや勾配キーです。

キーの種類

キーの種類は、平行キーストレート、平行キー片端丸形、平行キー両端丸形、勾配キー頭付き、半月キーなどに分類されます。呼び方は、JIS B 1301 ねじ穴なし平行キー 丸形 25×14×90や、JIS B 1301 丸底半月キー 3×16などです。それぞれの種類の特長は下記のようになります。

沈みキー

沈みキーは重荷重用(動力伝達、高速回転用)で、平行キーと勾配キーに分けられます。平行キーは勾配がなく、最も凡用的なものです。溝にすっぽりと入り込むような形となり、軸の側面から見るとキーがすべて入っているのがわかります。勾配キーは勾配があることで抜けにくいのが特長です。側面から見ると勾配の部分が飛び出て引っかかっているのがわかります。どちらも軸とボス両方にあるキー溝にはめ込んで使用するものです。

すべりキー

すべりキーはフェザーキーとも呼ばれる、クラッチや変速機に使用するキーです。軸かボスにボルト固定し、スライドできるようにしています。キーに使われている材質は非鉄金属などです。キーとボスで同じ素材が使われていると磨耗が生じるため、それぞれ異なる材質を使っています。

半月キー

半月キーは、テーパー軸用として使われている軽荷重用のキーです。容易に取付・取り外しできるのが特長で、軸に孤を描くようにキー溝を切り、ボス側と合わせて固定して使用します。

接線キー

キーのなかでも最も強固な固定法で、大動力重荷重用に使われているのが接線キーです。キー溝を接続方向に作り、勾配1/60~1/100の2個使用し、互いを反対方向に組み合わせます。ボスや軸を傷めず、回転方向が正逆になる交番トルク軸にも最適です。

くらキー

軽荷重用に使われるキーです。軸は加工せず、ボスに勾配1/100のキー溝加工を付けています。任意の位置に固定することができますが、電動力はキーと軸との接触圧力による摩擦力のみです。大きな荷重がかかる場所には使用できず、正転や逆転する変動トルクにも使うことができません。

平キー

くらキーよりも固定度が高い、軽荷重用のキーです。ボスに勾配1/100のキー溝を付け、軸は平らに加工することでキー座として用います。

丸キー

小軽荷重用として使用するキーで、丸ピンをキーの代わりに打ち込んで固定します。電動力が非常に小さいのが特長です。

ここで紹介したように、キーは、軽荷重用向けのものや動力伝達用のものなどいくつかに種類が分かれているため、使用する場所によって使い分けが必要です。キーと軸との関係性は、軸の太さに対し自動的にキーの大きさが決まるようにできています。それぞれの特徴を理解し、適切なキーを選びましょう。