建築設備配管工事の基礎講座

空調設備や換気設備、給排水衛生設備の血管となる「配管」。本連載では、配管方式の分類から配管工事・配管材料の種類まで、現場や商品選定時に役立つ知識を紹介していきます。
第1章 建築設備と建築設備配管

1-4 建築設備配管材料の種類

建築設備用配管材料には、多種多様な品揃えがあり、特に現在では、「給排水衛生設備」用配管材料は複雑多岐にわたっている。まず(1)金属管と(2)樹脂被覆鋼管、(3)樹脂管(プラスチック管)、(4)無機材料管の4種に大別され、 金属管は、1炭素鋼鋼管、2銅管、3ステンレス管、4鋳鉄管5鉛管などがあり、樹脂被覆鋼管は、1塩ビライニング鋼板、2ポリエチレン粉体ライニング鋼管、3ポリエチレン被覆鋼管、4ナイロンコーテイング鋼管、5ノン・タールエポキシ被覆鋼管などがある。

樹脂管(プラスチック管)は、1硬質塩化ビニル管、2ポリオレフィン管に分類され、無機材料管は、1コンクリート管、2陶管などに分類することができる。

以下では紙面の都合上、建築設備配管材料として使用される「代表的」な配管材料に関してその名称のみ列挙してみたい。

[炭素鋼鋼管]
  • (1)配管用炭素鋼鋼管(JIS G 3452:SGP)
  • 注:素管のSGPに「亜鉛めっき(どぶ漬け)」を施したものを「白ガス管」、素管のままのSGPを「黒ガス管」と呼ぶことがある。
  • (2)圧力配管用炭素鋼鋼管(JIS G 3454:STPG)
  • (3)水配管用亜鉛めっき鋼管(JIS G 3442:SGPW)
[銅管]

建築設備用銅管(JIS H 3300,C1220・JIS B 8607・JWWA H 101:Cu)

注:普通の本には、銅管というと「銅合金および銅合金継目無管(JIS H 3300)・リン脱酸銅(C1220)JIS B 8607)」のKタイプ管・Lタイプ管・Mタイプ管のみが紹介されているが、その他として「一般冷媒配管用冷媒(JIS B 8607)」および「水道用銅管(日本水道協会規格:JWWA H 101)」がある。

[ステンレス鋼管]
  • (1)一般配管用ステンレス鋼管(JIS G 3448:SUS-TPD)
  • (2)配管用ステンレス鋼管(JIS G 3459:SUS-TP)
[樹脂被覆鋼管]
  • (1)水道用硬質塩化ビニルライニング鋼管(JWWA K 116:SGP-VA,VB,VD)
    注:かつての「給水管」の主流であった「亜鉛めっき鋼管(白ガス管)」は、「白濁現象」が起こったり、腐食による「赤水」の発生や錆びコブによる「管閉塞」などの機能障害などが生ずるため、本管が最近の「給水管」の主流となっている。
  • (2)水道用ポリ粉体ライニング鋼管(JWWA K 132:SGP-PA,PB,PD)
[樹脂管:硬質塩ビ管]
  • (1)硬質ポリ塩化ビニル管(JIS K 6741:VP,VU)
  • (2)水道用硬質ポリ塩化ビニル管(含む:耐衝撃性管)(JIS K 6742:VP(HIVP))
  • (3)耐熱性硬質ポリ塩化ビニル管(JIS K 6776:HTVP)
[樹脂管:ポリオレフィン管]
  • (1)一般用ポリエチレン管(JIS K 6761:PE)
  • (2)水道用ポリエチレン二層管(JIS K 6762)
  • (3)ガス用ポリエチレン管(JIS K 6761)
  • (4)架橋ポリエチレン管(JIS K 6761:XPE)
  • (5)ポリブテン管(JIS K 6778:PB)
  • (6)水道用ポリブテン管(JIS K 6792)
[金属管:鋳鉄管]
  • (1)ダクタイル鋳鉄管(JIS G 5526:D-CIP)
  • (2)水道用ダクタイル鋳鉄管(JWWA G 113:D-CIP)
  • (3)排水用鋳鉄管(JIS G 5525:CIP)
[無機材料管]
  • (1)遠心力鉄筋コンクリート管(JIS A 5372:HP)
  • (2)陶管(JIS R 1201)
[その他]

多層複合管(各メーカ規格)

注:樹脂管(プラスチック管)に関しては、各メーカにより多種多様な品揃えがある。

執筆:NAコンサルタント 安藤紀雄
挿絵:瀬谷昌男
  

『建築設備配管工事の基礎講座』の目次

    

第1章 建築設備と建築設備配管

第2章 建築設備用配管材料の種類

第3章 配管の接合方法の種類

第4章 配管工事を支える補助部材

第5章 配管のテストと試運転

第6章 配管に関するトラブル対応

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