加工現場の手仕上げ作業の勘どころ
ものづくりの現場において機械を頼らず手作業で行なう、「手仕上げ加工」。本連載では、各工程に沿って、加工現場における手仕上げ加工のコツをお教えします。
第7章 リーマ作業

7-1 リーマの各部名称

あらかじめ開けられた下穴を仕上げ面粗さの向上や良好な寸法精度を得る方法として、ファインボーリングや内面研削などがありますが、これらの加工法と比較して

  • 操作が簡単で能率よく加工できる。
  • 比較的加工精度もよく良好な仕上げ面粗さが得ることができる。
  • 安価で工具が手軽に入手できる。

などの優位点からリーマ作業が行なわれています。

7.1 リーマの各部名称

一般に使用されているリーマは、刃部とネック部、シャンク部で構成されています。リーマの各部の名称図7-1、図7-2に示します。

図7-1リーマの各部の名称

図7-1リーマの各部の名称

図7-2リーマの各部の名称

図7-2リーマの各部の名称

1.刃部

リーマが加工を行う本体となるもので、刃部の先端には食付き部があります。その直後にある刃部が始まる肩の部分の切刃で穴をあけていきます。そのため、この刃部の直径がリーマの称呼寸法となっています。 肩の切れ刃の後はわずかな等径円筒部を残してバックテーパが付いていますが、この等径円筒部はバニッシング加工を行い、バックテーパは切れ刃部の摩擦力を弱めるとともに切削のガイドの役割を担っています。

1) 食付き部

リーマの先端には、切削を行ないながら徐々に下穴を広げる食付き部があります。食付き部はリーマによっていろいろな形状があります。リーマ軸に対する食付き切れ刃の傾斜角を食付き角と呼び、一般に食付き角が小さい場合には、マージンのバニシング作用が増して穴の精度がよくなります。食付き角が大きいと穴径は大きくなる傾向があります。

2) すくい面

切削を行う工具の面で切れ味を左右し、切りくずはこの面を擦って排出されます。すくい角はすくい面の角度で0°を標準としており、多くの被削材に適用されています。すくい角には正角と負角があります。

3) ランド

ランドは刃部を案内するためにあり、ランドの逃げ面には円筒研削されたわずかな幅のマージンがあり、加工時の寸法精度の安定と良好な加工表面を形成する作用をします。逃げ面は加工した仕上げ面との接触を避けるために作られた面で、その角度を逃げ角と呼びます。

4) 溝

刃溝は切りくずを排出する役目を担っています。一般に等分割ですが機械リーマではびびりの防止と真円度の向上を目的に、不等分割にしたリーマもあります。 刃溝には図7-3(a)のようにリーマ軸と切れ刃が平行の場合には直刃リーマと呼び、図7-3(b)のようにねじれているものをねじれ刃リーマと呼びます。ねじれ刃リーマには取り付け側からみて時計回りにねじれながら工具の先端に向かうものを右ねじれ刃リーマ、その逆を左ねじれリーマと呼び工作物の材料によって選択されます。 右ねじれ刃リーマ刃の切れ味はよいのですが、穴は大きくなる傾向があります。左ねじり刃リーマの仕上げ面はよいのですが穴は小さくなる傾向があります。一般にねじり角は8~12°です。

図7-3リーマ溝の形状

図7-3リーマ溝の形状

2. シャンク部

シャンクには図7-4のようにストレートシャンクとテーパーシャンクがあります。テーパーシャンクは機械リーマのみで手回しリーマにはありません。

図7-4 シャンク部の形状

図7-4 シャンク部の形状

執筆: APTES技術研究所 代表 愛恭輔

『加工現場の手仕上げ作業の勘どころ』の目次

第1章 切断作業

第2章 きさげ作業

第3章 やすり作業

第4章 磨き作業

第5章 けがき作業

第6章 穴あけ作業

第7章 リーマ作業

第8章 ねじ立て作業

目次をもっと見る