快適空間へ導くLED照明実践講座
2-6 ライン型LED の種類と効果
ライン形LEDモジュールの種類と性能
LEDモジュール(module)とはLEDパッケージを基板に取り付け、点灯可能にした最小構成の商品です。その中で細長い直線状の基盤に高輝度チップ(素子)を数センチピッチに実装したものをライン形LEDモジュール(器具)またはLEDライン照明モジュール、LEDストリップライトなどとも呼ばれます。(以下、ライン形LED)
ライン形LEDは寸法や取り付け法、明るさ、光色などの種類が豊富のため、いろいろな分類の仕方が考えられます。ここでは一般照明用(イルミネーションなど特殊照明用を除く)として以下の3つのタイプに分類してみました。
1.LEDテープライト
商品は決められた長さでロール売りされています。照明したい長さが決まっているのであれば、商品に数cm単位でカットマークあるので、それに従ってカットすれば、切れ目のない連続性の高い照明を可能にします。テープライトはおもに低電圧用(12Vや24V)が多く、これらは点灯させるために電源装置(電源ユニット)を別途必要とします。
写真1 テープライト(ロール)の例
長さ5m、3000K、20W1600lm(別途電源装置必要)
ランプ自体は軽量のため、両面粘着テーブで取り付けられます。躯体を傷つけることなく設置ができますが、位置を間違って貼ってしまった場合、粘着が強力なため剥がすことが難しく、剥がれたとしてもランプに悪影響を与えることもあります。そのため取り付けには慎重を要しますが、もし心配な場合は器種によってクリップを使ってビス止めする選択肢もあります。
2. LEDラインチューブ
LEDラインチューブ(以下ラインチューブ)はシリコンや軟質アクリル製のチューブとフレキシブルなLED基板を一体成型したものです。ラインチューブの中には薄いタイプがあり、これはテープライトにも属します。ラインチューブはランプの太さによって、ある程度曲げて施工することができます。
写真2 ラインチューブの光色イメージ
(左端:6000K、右端:2200K)
また一本のラインチューブはロール売りのテープライト程長くないものが多く、それ以上に長く光をつなげたい場合、器具の両端に送り端子をつけることで連結を可能にします。またラインチューブもカットが可能なので、決められた長さにして使うことが可能です。
取り付けはチューブの薄い商品は両面粘着テープで取り付けが可能ですが、一般には薄型の金属または透明のポリカボネート(PC)のレールやクリップなどの取り付け部材が別売りのなっており、それらをビス止し、チューブをはめ込むことで、収まりがスマートになります。クリップの中にはある角度で調整ができ、状況に応じて斜めから照らしたい面を有効に照明することもできます。
なお、商品はおもに24V用と100V用があります。100V用は電源装置を必要としないので、装置の置き場所に困ることはありませんが、一方でエネルギー消費効率は24Vに比べると悪く、ランプ自体の体積も少し大きくなります。
3.バー付ライン形LED
バー付ライン形(LEDバーライトなどとも言われるが、以下LEDライトバー)も100Vと24V用が多いです。一般にアルミやプラスチックなどのバーにLEDモジュールが固定されるため、販売される時点で長さが決まっています。大体建築モジュールを考慮した長さ(約300、600、900、1200、1500mmなど)になっていますが、メーカによって長さのオーダーが可能です。また中には適当な長さにカットして使うこともできる薄型タイプもあります。
取り付けはビス止されたホルダーやレールに収めるタイプが多く、そこにはめ込むか軽量のものはマグネットで固定できるのもあります。
LEDライトバーは基本、曲げて使用することはできませんが、上手く連結させることでモジュール間の継ぎ目による影が生じない照明を可能にします。
写真3 LEDライトバー(防滴形)の例
長さ1210mm、6000K、8,2W600lm(別途電源装置必要)
なお低電圧用ライン形LEDで何れも使用電力が少ない場合はコンセントに付くACアダプタで点灯できます。しかし、広い空間で明るさをとるために一回路当たりの使用電力が多くなると電源装置は大きくなり、天井裏に隠すなど設置に工夫が必要になります。また電源装置から器具の末端までの距離も制約を受けるので注意が必要です。
最近はライン形LEDで調色・調光を行うケースも増えております。調色対応型器具には色温度変化の幅があります。また調光対応型は調光幅もカタログ等に明記されていますが、どこまで暗くして使うことができるかは器種によって異なるので、事前に確認すると良いです。
写真4 調色アジャスタブル付きライン形LEDを使って調色
左:昼光色
右:電球色
『快適空間へ導くLED照明実践講座』の目次
第1章 ベースライトの選び方
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1-1シーリングライト(大型)の選び方と取り付け大型のシーリングライト器具は一灯で基準の明るさが得られ、給電口があれば電気工事の資格なしで器具の取り付け可能なことから、日本では住宅照明用として普及しています。
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1-2シーリングライト(小型)の選び方シーリングライトとは天井直付け器具のことを言います。
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1-3ダウンライト器具の選び方と配灯LEDダウンライトはLED電球用とLEDモジュール一体型があります。
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1-4壁付け器具の形状と取り付け壁付け器具は以前「照明のことが分かる講座」で紹介しましたが、今回は壁直付け(以下、ブラケットライト)の用途と取り付けにについて紹介します。
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1-5直管LEDベースライトの種類と使い方全般照明とは室内の主要部を一様な明るさにする照明で、それは集光する器具より光の拡散するベースライトによって実現されます。
第2章 スポットライトの選び方
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2-1卓上ライトの形状と照明効果卓上ライトを安定して取り付けるためにはおもに4つの方法があります。
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2-2フロアスタンドライト(意匠照明用スタンド器具)の選び方シーリングライトのLED化が一段落すると、LEDのスタンド器具を購入する人が日本でも増えています。
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2-3シャンデリアの形状と取り付け吊り下げ型器具には一灯用と多灯用があります。一般的には前者をペンダントライト、後者をシャンデリアと言われています。
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2-4スポットライトの配光と照射位置LEDスポットライトは従来光源である白熱電球用スポットライトに比べ様々な利点があり、性能が向上しています。
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2-5ライティングレールの種類2本の電線を配管の中に入れて通電させる装置をライティングレール (ライティングバー、ライティングダクト、配線ダクトなどと呼ばれる。以下、配線ダクト)と言います。
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2-6ライン型LEDモジュールの種類と用途LEDモジュール(module)とはLEDパッケージを基板に取り付け、点灯可能にした最小構成の商品です。
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2-7コーブ照明の効果とランプ位置コーブ照明は天井面を照らす建築化照明です。天井の隅や壁の高い位置にくぼみ(アゴや庇などとも言う)、を設け、その内部に連続した光源を隠して天井面を照明します。
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2-8コーニス照明の効果とランプ位置何故、壁面全体を明るくするのでしょうか?壁面は通常の生活視点で最も目に入りやすいため、その面をどう照らすかによって空間全体の雰囲気や印象に大きな影響を与えるからです。
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2-9ガーデンライト(庭園灯)の選び方と配置庭園とは草花や樹木、石、池などを計画的に配し、整えられた空間を言います。
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2-10投光器と演出効果LED投光器はLEDの光を柱状に集めて、特定の方向や場を効率よく照らす屋外用照明器具のことです。
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2-11キッチンライト(流し元灯)の種類と照明効果LEDの特長の一つに器具の小型化があります。小型である故、今まで器具の設置が難しかった小スペースや狭スペースに取り付けを可能にしています。