快適空間へ導くLED照明実践講座
2-3 ペンダントライトの形状と取り付け位置
シャンデリアの形状と取り付け
吊り下げ型器具には一灯用と多灯用があります。一般的には前者をペンダントライト、後者をシャンデリアと言われています。しかしメーカによっては2~3灯用でも小型で軽量な器具はペンダントとして扱われる場合があります。(写真1)
同様にクラシックシャンデリアのようなデザインであれば、1灯用でもシャンデリアと称している場合があります。(写真2)
写真1 多灯用ペンダント
写真2 1灯用シャンデリア
図1はクラシックシャンデリアの形状における各部の名称を表したものです。
図1 クラシックシャンデリアの名称
シャンデリアとフィラメントLED電球
シャンデリアはクラシックと和風、モダンデザインに大別されます。クラシックシャンデリアは電灯照明以前、キャンドルがおもな光源でヨーロッパの教会や宮殿、豪商の家に付いていたことから、豪華なイメージが強いです。最も古いシャンデリアの形状はロマネスク時代の車輪型が有名です。その後時代とともにデザインの変遷があり、私たちの中で比較的よく知られているのがルイ15世風で、受け皿の下にガラスの瓔珞が付いているのが特徴です。(写真3)
写真3 ルイ15世風
クラシックシャンデリアは本来、インテリアの装飾と輝きの美しさ、陰影を楽しむことを目的とします。そのため光源としてはフィラメントの見えるクリア電球がよく使われていました。白熱電球のフィラメントはいろいろな形状があって、それによって輝きや陰影が微妙に異なります。LEDにもフィラメントLED電球があります。これはフィラメントに相当する発光部がLEDで作られ、細長く短い弦状(string)のものが何本かまとめたものが多いです。海外では、例えば4本の場合4-stringと称し、6本とか8本があります。(写真4,5) 最近ではstring以外にSやW、O形が作られています。
写真4 フィラメントLED電球(C形)
写真5 フィラメントLED電球(A形)
フィラメントLED電球はよりキャンドルの光に近い2200Kから白熱電球の2700Kの光色が多く、また400lm前後の明るさを持つものが裸点灯状態でもあまり眩しさがなく、心地よい輝きが楽しめます。また明るいタイプでは800lm前後(白熱電球の60W相当)があり、光色の更に白い光で、天井高のあるところで使用すれば輝きと明るさの両面を満たすことも可能です。
なお、ランプ寿命は一般のLED電球の半分ほどで15000~20000時間になっています。
和風シャンデリアは和紙や乳白のアクリルやガラスを素材に使用して、クラシックシャンデリアとは反対に柔らかな多灯の光でデザインされた器具が多いです。天井高のある広間などに用途があります。光源が直接せない器具が多いため、普通のLED電球が使われます。
モダンシャンデリアは特に定義はありませんがビンテージモダン、和風モダン、北欧モダンなど現代風にアレンジされたものを含めて合理的で機能的な多灯用器具と解釈されています。クラシックと和風はインテリアとの調和や雰囲気を考慮すると電球色の光源が適していますが、モダンは電球色の他に白色や昼白色が似合うこともあります。また天井の低いところでは吊り下げが困難なため、天井直付け型シャンデリアと称する器具もあります。(写真6)
写真6 天井直付け型モダンシャンデリア例
シャンデリアの取り付け
シャンデリアの取り付けは5kg以内であれば引っ掛けシーリングや配線ダクトから給電できますが、コード吊りの場合は3kg以内になります。それを上回る重量で10kg未満であれば、両側に耳のようなフックのついた埋め込みローゼット(天井裏の補強材に固定)に取り付けることが可能です。(図2)
図2 シャンデリアの取り付け例
もし大きな地震などによる落下を心配するのであれば、少し軽めの器具の選定が望ます。さらに10kgを超える場合はシャンデリアの取り付けに慣れた業者さんとの相談が望まれます。
なおシャンデリアを含めた吊り下げ器具は事前に取り付け高さや取り付け方法がわかっていれば、コードの長さとプラグは販売店によっては別途料金で対応してもらうことが可能です。
『快適空間へ導くLED照明実践講座』の目次
第1章 ベースライトの選び方
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1-1シーリングライト(大型)の選び方と取り付け大型のシーリングライト器具は一灯で基準の明るさが得られ、給電口があれば電気工事の資格なしで器具の取り付け可能なことから、日本では住宅照明用として普及しています。
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1-2シーリングライト(小型)の選び方シーリングライトとは天井直付け器具のことを言います。
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1-3ダウンライト器具の選び方と配灯LEDダウンライトはLED電球用とLEDモジュール一体型があります。
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1-4壁付け器具の形状と取り付け壁付け器具は以前「照明のことが分かる講座」で紹介しましたが、今回は壁直付け(以下、ブラケットライト)の用途と取り付けにについて紹介します。
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1-5直管LEDベースライトの種類と使い方全般照明とは室内の主要部を一様な明るさにする照明で、それは集光する器具より光の拡散するベースライトによって実現されます。
第2章 スポットライトの選び方
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2-1卓上ライトの形状と照明効果卓上ライトを安定して取り付けるためにはおもに4つの方法があります。
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2-2フロアスタンドライト(意匠照明用スタンド器具)の選び方シーリングライトのLED化が一段落すると、LEDのスタンド器具を購入する人が日本でも増えています。
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2-3シャンデリアの形状と取り付け吊り下げ型器具には一灯用と多灯用があります。一般的には前者をペンダントライト、後者をシャンデリアと言われています。
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2-4スポットライトの配光と照射位置LEDスポットライトは従来光源である白熱電球用スポットライトに比べ様々な利点があり、性能が向上しています。
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2-5ライティングレールの種類2本の電線を配管の中に入れて通電させる装置をライティングレール (ライティングバー、ライティングダクト、配線ダクトなどと呼ばれる。以下、配線ダクト)と言います。
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2-6ライン型LEDモジュールの種類と用途LEDモジュール(module)とはLEDパッケージを基板に取り付け、点灯可能にした最小構成の商品です。
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2-7コーブ照明の効果とランプ位置コーブ照明は天井面を照らす建築化照明です。天井の隅や壁の高い位置にくぼみ(アゴや庇などとも言う)、を設け、その内部に連続した光源を隠して天井面を照明します。
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2-8コーニス照明の効果とランプ位置何故、壁面全体を明るくするのでしょうか?壁面は通常の生活視点で最も目に入りやすいため、その面をどう照らすかによって空間全体の雰囲気や印象に大きな影響を与えるからです。
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2-9ガーデンライト(庭園灯)の選び方と配置庭園とは草花や樹木、石、池などを計画的に配し、整えられた空間を言います。
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2-10投光器と演出効果LED投光器はLEDの光を柱状に集めて、特定の方向や場を効率よく照らす屋外用照明器具のことです。
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2-11キッチンライト(流し元灯)の種類と照明効果LEDの特長の一つに器具の小型化があります。小型である故、今まで器具の設置が難しかった小スペースや狭スペースに取り付けを可能にしています。