快適空間へ導くLED照明実践講座
2-9 ガーデンライト(庭園灯)の選び方と配置(充電式を含む)
庭園灯(ガーデンライト)とその演出
庭園とは草花や樹木、石、池などを計画的に配し、整えられた空間を言います。おもに屋外にあるため、日中はその全景が自然光の下で美しく映えますが、日の暮れるにしたがって存在は闇に消えていきます。
しかし照明によって、庭園の美しい部分だけが明るく照らされると、まるでマジックを見ているように、昼間とは全く異なった光景が闇から浮かび上がり、見る人に心の安らぎや楽しみを与えます。
庭園は一般に住宅の庭より広い規模として考えられ、日本庭園から西洋庭園までデザインも多様です。したがって庭園灯の種類も豊富で、照らしたい対象や求めたい雰囲気によって器具のデザインや配光を適正に選び、配灯にも工夫が必要になります。
例えば歴史的建造物に付随する庭園は、ある視点から一幅の絵を見るように眺める場合、照明器具は光らず、照らしたい対象だけが明るく見えるとゆっくり鑑賞できます。
また回遊式庭園であれば歩く視点で、アプローチの照明器具があまり光って見えない方がよく、歩道もある程度の明るさのメリハリがあると落ち着いた雰囲気になります。しかしイベントで多くの人で賑わう場合は、逆にアプローチは安全のため暗がりがなく、さらに照明器具もまぶしくない程度に輝いている方が場の雰囲気に合います。(写真1)
庭園灯は、日中に器具自体の存在が気になることもあります。そのため出来るだけ周囲の環境に溶け込む器具デザインや色が望まれます。
写真1 回遊式庭園の照明(イベント時)
ローボルト器具の配線は電気工事士の資格不要
LED庭園灯の取り付けは基本的に器具の移動が可能な、地面に差し込めるスパイク式(図1)と移動のできない固定式で、また電源は100V用と、主に12Vや24V用のローボルト(低電圧)用になります。
図1 スパイク式器具
ローボルト器具は屋外用のコンセントが近くに設置されていれば電気工事士の資格なしでも配線が可能です。何故ならばローボルトは電気に触れても感電の心配がないからです。
図2はスパイク式ローボルト器具の配線例を示します。ローボルト器具を点灯させるにはローボルト専用コントローラー(写真2)と地中や地面上にそのまま使える配線コード、結線用アクセサリーが必要です。また使用灯数によってはジャンクションプラグ(写真3)や、分岐コードなどを求める必要がありますが、コネクタ(接続部品)付きでスパイク式器具であれば、女性でも年配の方でも簡単に器具の取り付け、および接続が可能です。またローボルト器具は100V用に比べ同じ明るさを得るには消費電力が少なく済むため省エネになります。
図2 12V用庭園灯の配線例(概略)
写真2 屋外用コンセントとコントローラー
写真3 ジャンクションプラグ
配線なしのソーラ付き庭園灯
ソーラ付き庭園灯は充電池(バッテリー)に蓄積された太陽エネルギーを電源にするため、配線工事は不要で一度設置すれば電気代はかかりません。しかし充電は天候に左右され、またフル充電された器具でも点灯の持続時間は明るさによって変わります。
一般にソーラパネルが器具に付いているもの(写真4)とソーラパネル別置型(写真5)があります。前者は低位置型器具が多く、ソーラパネルの面積が小さいため、明るさはほとんど得られません。その中でも明るさを改善したものもありますが、一般には光源の輝きを演出したり、例えばレトロのデザインでキャンドルのように温かな光の揺らぎがあるものは雰囲気を楽しんだりする目的に使われます。(写真6)
ソーラパネルの面積がとれる別置型庭園灯の中にはある程度の明るさの得られる器種もあります。煌々とした明るさではありませんが、器具の周辺がほんのりと照らされる程度の明るさがあり、移動可能の器種によっては停電の非常時に効力を発揮するものもあります。
写真4 従来品より3倍明るいソーラ付き器具
写真5 ソーラ別置型器具
写真6 ソーラ付き庭園灯(イメージ)
『快適空間へ導くLED照明実践講座』の目次
第1章 ベースライトの選び方
-
1-1シーリングライト(大型)の選び方と取り付け大型のシーリングライト器具は一灯で基準の明るさが得られ、給電口があれば電気工事の資格なしで器具の取り付け可能なことから、日本では住宅照明用として普及しています。
-
1-2シーリングライト(小型)の選び方シーリングライトとは天井直付け器具のことを言います。
-
1-3ダウンライト器具の選び方と配灯LEDダウンライトはLED電球用とLEDモジュール一体型があります。
-
1-4壁付け器具の形状と取り付け壁付け器具は以前「照明のことが分かる講座」で紹介しましたが、今回は壁直付け(以下、ブラケットライト)の用途と取り付けにについて紹介します。
-
1-5直管LEDベースライトの種類と使い方全般照明とは室内の主要部を一様な明るさにする照明で、それは集光する器具より光の拡散するベースライトによって実現されます。
第2章 スポットライトの選び方
-
2-1卓上ライトの形状と照明効果卓上ライトを安定して取り付けるためにはおもに4つの方法があります。
-
2-2フロアスタンドライト(意匠照明用スタンド器具)の選び方シーリングライトのLED化が一段落すると、LEDのスタンド器具を購入する人が日本でも増えています。
-
2-3シャンデリアの形状と取り付け吊り下げ型器具には一灯用と多灯用があります。一般的には前者をペンダントライト、後者をシャンデリアと言われています。
-
2-4スポットライトの配光と照射位置LEDスポットライトは従来光源である白熱電球用スポットライトに比べ様々な利点があり、性能が向上しています。
-
2-5ライティングレールの種類2本の電線を配管の中に入れて通電させる装置をライティングレール (ライティングバー、ライティングダクト、配線ダクトなどと呼ばれる。以下、配線ダクト)と言います。
-
2-6ライン型LEDモジュールの種類と用途LEDモジュール(module)とはLEDパッケージを基板に取り付け、点灯可能にした最小構成の商品です。
-
2-7コーブ照明の効果とランプ位置コーブ照明は天井面を照らす建築化照明です。天井の隅や壁の高い位置にくぼみ(アゴや庇などとも言う)、を設け、その内部に連続した光源を隠して天井面を照明します。
-
2-8コーニス照明の効果とランプ位置何故、壁面全体を明るくするのでしょうか?壁面は通常の生活視点で最も目に入りやすいため、その面をどう照らすかによって空間全体の雰囲気や印象に大きな影響を与えるからです。
-
2-9ガーデンライト(庭園灯)の選び方と配置庭園とは草花や樹木、石、池などを計画的に配し、整えられた空間を言います。
-
2-10投光器と演出効果LED投光器はLEDの光を柱状に集めて、特定の方向や場を効率よく照らす屋外用照明器具のことです。
-
2-11キッチンライト(流し元灯)の種類と照明効果LEDの特長の一つに器具の小型化があります。小型である故、今まで器具の設置が難しかった小スペースや狭スペースに取り付けを可能にしています。