快適空間へ導くLED照明実践講座
2-2 フロアスタンドライト(意匠照明用スタンド器具)の選び方
家具との一体が求められるスタンドライト
シーリングライトのLED化が一段落すると、LEDのスタンドライトを購入する人が日本でも増えています。価格帯でいえば数千円から数万円の器種が主体になっており、使い方次第で思わぬ効果が期待されます。
部屋全般を明るくする主照明に対して、スタンドライトの多くは補助照明として住まいの雰囲気を高めたり、局部的な明るさを得たりする目的に使われます。意匠照明用の中で代表的なのがシェード形で、その歴史は古く、おそらく最も親しみやすく使いやすい器具と言えます。この種の器具はソファやサイドテーブルなど家具の一部として位置づけられることがあり、デザイン的な一体感が求められます。また家具以外で、鏡や絵画などのインテリアエレメントとの調和も考えられます。
シェードスタンドライトの形状と用途
灯具であるシェードはその形状によって器具の上下に出る光の広がりが変わります。明るさのあるところでは、例えばソファに座った姿勢での簡単な読書や飲食、会話などの生活行為が可能です。逆に薄暗いところでは目を休め、落ち着いた気分に浸ることもできます。(図1)
シェードのなかで最も一般的なのが、円錐の上部を切り取ったような形状になります。エンパイア形(帝政風)とも言われ、光はシェードの上部より下部に広く放射されます。
図1 シェードスタンドライトの光の広がり
似たような形状でクーリーとフレア形があります。前者はシェードの上部がより小さく、裾が広がっているため下方に広く光を放ちます。(写真1) 後者はプリーツスカートのような形のシェードです。いずれも昔からある形のため、欧米ではトラディショナルランプと称して古風な洋間に使われています。トラディショナルに対して、比較的新しいシェードのデザインがドラムやスクエア形です。(写真2)
写真1 クーリー形シェード
写真2 スクエア形シェード
シェードスタンドライトは少し広めの部屋では2~3灯を設置することがあります。その際、明るさを求める部屋ではスタンドライトとは別に部屋の主照明が必要になります。主照明は調光付が望ましく、照度を少しずつ落としていくことでスタンドライトの光が浮き立ち、配灯のバランスが良いと「光と影」の織り成すコントラストが空間を美しく見せます。(写真3)
なお同じ空間で複数灯使用する場合、光色はできるだけ統一すると良いでしょう。LED電球は同じ色温度でもメーカが異なると微妙に違って見えることもあるので注意しなければなりません。(写真4)
写真3 2灯のエンペラ形シェードの使用例
写真4 光源の色温度が異なる照明空間の例
シェードは内側にフレームが付いていて、ソケット部分を使ってネジで固定するのが一般的です。(写真5) このタイプはシェードが本体にしっかり固定されるので、シェードだけ動かすことはできません。しかしシェードに柔らかなバネの付いているタイプはバネを電球に挟み込んで固定するため、シェードの角度を若干変えられます。したがって少し斜め方向に光が欲しい時に効果を発揮します。
シェードスタンドライトは寝室で就寝前の時間を過ごすのに適しています。特にナイトテーブルやヘッドボード上に置ければ簡単な読書を楽しむ程度の生活が可能で、さらに温かな光を選ぶことで睡眠ホルモンのメラトニンを分泌させることができ、快適な眠りを促します。そのためにも器具に使用されるランプは白熱電球か高演色でブルーライトの少ない電球色のLED電球が勧められます。
写真5 ソケット部を使ってシェードを灯体に固定
グローブスタンドライトはまぶしさに注意
シェードの次によく見かける意匠照明用にグローブの灯具があります。一般に乳白のガラスやブラスチック製が多いですが、和風器具は和紙や竹などの素材で光源を覆い、ランプが直接見えにくい構造になっています。グローブの形状は丸やスクエア、筒、星形などがあります。(写真7)
器具の中には光源が少し透けて見える(グレアのスポット)ものもあり、暗い部屋で使用するとそれがまぶしく感じる恐れがあります。
市販のグローブ器具の表面は一般には満月より暗い2000cd/m2の以下の輝度に抑えられていますが、目が暗さに慣れている部屋では1000cd/m2でも眩しく感じることがあります。従って器具はできるだけ調光付でまぶしさのない程度まで照度を下げて使用することが望まれます。なお、白熱電球は調光で照度を下げると、より赤味を増した光になりますが、調光対応のLEDは照度を落としても、多くは光色があまり変わらないため、部屋の雰囲気が少し陰気な感じになる恐れがあります。
写真6 グローブ形スタンドライトは設置場所によっても空間の印象が変わる(CG)
『快適空間へ導くLED照明実践講座』の目次
第1章 ベースライトの選び方
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1-1シーリングライト(大型)の選び方と取り付け大型のシーリングライト器具は一灯で基準の明るさが得られ、給電口があれば電気工事の資格なしで器具の取り付け可能なことから、日本では住宅照明用として普及しています。
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1-2シーリングライト(小型)の選び方シーリングライトとは天井直付け器具のことを言います。
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1-3ダウンライト器具の選び方と配灯LEDダウンライトはLED電球用とLEDモジュール一体型があります。
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1-4壁付け器具の形状と取り付け壁付け器具は以前「照明のことが分かる講座」で紹介しましたが、今回は壁直付け(以下、ブラケットライト)の用途と取り付けにについて紹介します。
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1-5直管LEDベースライトの種類と使い方全般照明とは室内の主要部を一様な明るさにする照明で、それは集光する器具より光の拡散するベースライトによって実現されます。
第2章 スポットライトの選び方
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2-1卓上ライトの形状と照明効果卓上ライトを安定して取り付けるためにはおもに4つの方法があります。
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2-2フロアスタンドライト(意匠照明用スタンド器具)の選び方シーリングライトのLED化が一段落すると、LEDのスタンド器具を購入する人が日本でも増えています。
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2-3シャンデリアの形状と取り付け吊り下げ型器具には一灯用と多灯用があります。一般的には前者をペンダントライト、後者をシャンデリアと言われています。
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2-4スポットライトの配光と照射位置LEDスポットライトは従来光源である白熱電球用スポットライトに比べ様々な利点があり、性能が向上しています。
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2-5ライティングレールの種類2本の電線を配管の中に入れて通電させる装置をライティングレール (ライティングバー、ライティングダクト、配線ダクトなどと呼ばれる。以下、配線ダクト)と言います。
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2-6ライン型LEDモジュールの種類と用途LEDモジュール(module)とはLEDパッケージを基板に取り付け、点灯可能にした最小構成の商品です。
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2-7コーブ照明の効果とランプ位置コーブ照明は天井面を照らす建築化照明です。天井の隅や壁の高い位置にくぼみ(アゴや庇などとも言う)、を設け、その内部に連続した光源を隠して天井面を照明します。
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2-8コーニス照明の効果とランプ位置何故、壁面全体を明るくするのでしょうか?壁面は通常の生活視点で最も目に入りやすいため、その面をどう照らすかによって空間全体の雰囲気や印象に大きな影響を与えるからです。
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2-9ガーデンライト(庭園灯)の選び方と配置庭園とは草花や樹木、石、池などを計画的に配し、整えられた空間を言います。
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2-10投光器と演出効果LED投光器はLEDの光を柱状に集めて、特定の方向や場を効率よく照らす屋外用照明器具のことです。
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2-11キッチンライト(流し元灯)の種類と照明効果LEDの特長の一つに器具の小型化があります。小型である故、今まで器具の設置が難しかった小スペースや狭スペースに取り付けを可能にしています。