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加工現場の手仕上げ作業の勘どころ
ものづくりの現場において機械を頼らず手作業で行なう、「手仕上げ加工」。本連載では、各工程に沿って、加工現場における手仕上げ加工のコツをお教えします。
第6章 穴あけ作業

6-5 ハイスツイストドリルの手研ぎの方法

卓上ボール盤で穴加工を行なっていると、手送りに抵抗を感じたり、真円があかなかったりといったことが発生した場合は角部や切れ刃が摩耗したためで、再研削をして切れ刃を修正します。 再研削はドリル研削盤を使用して機械研ぎをする方法もありますが、グラインダを使用して手研ぎで行うことができます。ここでは、グラインダを使用してハイスツイストドリルを手研ぎで行なう方法について述べます。

6.5 ハイスツイストドリルの手研ぎの方法

ドリルの損耗は、図6-21のようなドリルのマージンと刃とが交わる角から発生し、切れ刃部、チゼル部と進行してきます。再研削は、ドリルの中心と切れ刃の中心を一致させて左右の切れ刃の高さや逃げ角を等しく研ぐ必要があるため熟練を要しますが、手研ぎは次の要領で行います。

図6-21ドリルの摩耗

図6-21ドリルの摩耗

1.作業を始めるに当たり

作業を始めるに当たっては防塵めがねをかけるとともに、砥石の破損からの被害を防ぐためグラインダの砥石の正面を避けます。

2.ドリルの研削

ドリルは逃げ面を研ぐことで切れ刃を再生させる方法が一般的です。ドリルは図6-22のように左手でねじり部を持ちます。右手はシャンク部を持って砥石面に当てますがドリルのあて方は、やや切れ刃を上に向けた状態で図6-23(a)のように当てるか、図6-23(b)のように切れ刃を水平で当てるようにします。 そして、刃先の方を溝に倣うように右手のシャンク部を左下方向に下げながら手前に巻き込む感じで逃げ面を研削します。反対の切れ刃も同様に行なって研ぎます。

図6-22 手研ぎのドリルの持ち方

図6-22 手研ぎのドリルの持ち方

図6-23ドリルの砥石への当て方

図6-23ドリルの砥石への当て方

3.ドリル形状の確認

研削が終わったら図6-23(a)の分度器や図6-23(b)のドリル先端ゲージで中心から左右の切れ刃の長さや角度、チゼルポイントの偏心、リップハイトの差(ドリルの角の高さの差)を調べます。

図6-24 ドリル研削後の確認

図6-24 ドリル研削後の確認

4. シンニングの方法

中心のチゼル部は、材料を押しつぶし押しのけるような作用が働くためドリル軸方向の推力が大きくなります。そのため、大きな径のドリルでは推力を小さくするためにチゼルエッジを小さくするシンニングをつけます。シンニングは砥石の角で行ないます。ドリルを砥石の角に当て砥石溝に沿ってねじって研削します。 その際、砥石側面の延長線から図6-23(a)のようにドリルを外側に出すように行なうのではなく、図6-24(b)のように内側入れるようにして行います。シンニングは左右を対称形に行なうことが大切です。

図6-25 シンニングの方法とシンニングの例

図6-25 シンニングの方法とシンニングの例

5. 再研削の注意点

再研削は乾式で行うため、刃先が高い温度になりやすいので水につけたりして冷やしながら作業を行ないます。高い温度になって酸化膜が形成して変色すると刃先の硬さが低下して摩耗が早く起きるようになります。

ドリルの再研削はドリル研磨機の普及や工具類の集中管理、工具室の方の手に任すなどにより、手研ぎで行なう人が少なくなりましたが、穴あけ作業を把握する上で大切な取り組みです。

執筆: APTES技術研究所 代表 愛恭輔

『加工現場の手仕上げ作業の勘どころ』の目次

第1章 切断作業

第2章 きさげ作業

第3章 やすり作業

第4章 磨き作業

第5章 けがき作業

第6章 穴あけ作業

第7章 リーマ作業

第8章 ねじ立て作業

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