工具の通販モノタロウ フルハーネス等の基礎講座 日本の「墜落制止用器具の規格」

フルハーネス等の基礎講座

高所や急傾斜など墜落のおそれがある場所で作業を行う時、危険を防止するために装備する「墜落制止用器具」。本連載では、墜落制止用器具の種類や使い方から、墜落制止用器具に関する法規まで、墜落制止用器具利用への意識を高めてもらうための基礎知識を紹介していきます。
第2章 墜落制止用器具等の基礎知識

2-1 日本の「墜落制止用器具の規格」

1. 胴ベルト型の使用意義

法改正により墜落制止用器具はフルハーネス型が原則だが、フルハーネス着用者が墜落して地面に激突するおそれがある場合(高さが6.75m以下、建設業は5m以下)には、胴ベルト型も使用できる。

 

2.胴ベルト型の新構造規格

(1)2022年1月2日以降に新構造規格が適用される胴ベルト型では、「法定要件の条件下で100kg(又は85kg)のトルソー(砂のう)を落下させた場合において、コネクタにかかる衝撃荷重が4.0キロニュートン以下」のものでなければならない。

(2)新規格の胴ベルト型は、墜落時の衝撃を緩和するショックアブソーバ機能もしくはそれと同等の機能のあるランヤードが接続されたものに限ることになった。
※弊社取扱の「墜落制止用器具」とあるものはどちらかの機能が付随しております。

 

3.使用制限及び経過措置(図1 参照)

(1)写真1は旧規格の胴ベルト型で、ショックアブソーバのない三つ打ちと八つ打ちロープのランヤードが装備されている。掛けたフックが腰の位置で墜落した場合、衝撃荷重は7KN(約700kg重)以上となり、墜落者が負傷する可能性は高い。

(2)ショックアブソーバが接続されていない、旧規格の胴ベルト型でも、高さに関係なく経過措置の2022年1月1日まで使用できる。
しかし、経過措置内でも安全上ショックアブソーバ機能付きを使用すべきである。

(3)新規格の胴ベルト型

〔1〕2022年1月2日以降
高さが6.75m超えの場合は、フルハーネス以外は使用禁止である。
したがって、新規格の胴ベルト型でも使用禁止である。

〔2〕2022年1月1日までの間
〇旧規格の胴ベルト型は高さに関係なく使用できる。
〇新規格の胴ベルト型は、高さが6.75m以下の箇所では使用できるが、6.75mを超える箇所では使用禁止となる(図1)。

写真1
写真1

図1
図1

 

質疑応答集から
質問

施行日(2019年2月1日)以降、一本つりの胴ベルト型は高さ6.75メートルを超える箇所で使用できなくなるのか。経過措置はないのか。

答え

「胴ベルト型墜落制止用器具(いわゆる、新規格に適合する胴ベルト)は使用できません。

ただし、経過措置により、2019年8月1日以前に製造された安全帯(胴ベルト型(一本つり、U字つり)、ハーネス型のいずれも含む。)であって、旧規格に適合しているものについては、2022年1月1日までの間、要求性能墜落制止用器具とみなされますので、高さに関わらず使用可能です。」

執筆: みなとみらい労働法務事務所 所長 菊 一 功

『フルハーネス等の基礎講座』の目次

第1章 墜落制止用器具の法改正

第2章 墜落制止用器具等の基礎知識

第3章 ハーネスの特徴

第4章 フルハーネスの使い方、使用する際の注意点

第5章 点検・保守・保管

第6章 墜落災害発生時の救助体制と延命措置

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