工具の通販モノタロウ フルハーネス等の基礎講座 第一種・第二種ショックアブソーバについて

フルハーネス等の基礎講座

高所や急傾斜など墜落のおそれがある場所で作業を行う時、危険を防止するために装備する「墜落制止用器具」。本連載では、墜落制止用器具の種類や使い方から、墜落制止用器具に関する法規まで、墜落制止用器具利用への意識を高めてもらうための基礎知識を紹介していきます。
第2章 墜落制止用器具等の基礎知識

2-5 第一種・第二種ショックアブソーバについて

1. ショックアブソーバとは
(1)

ガイドラインでは、「墜落を制止するときに生ずる衝撃を緩和するための器具をいう。」と定義している。

(2)

衝撃荷重を吸収する「装置」としてのショックアブソーバと、衝撃荷重を吸収するストラップ式ランヤードがある(図1)。衝撃荷重を吸収するストラップ(写真1)も一般的にショックアブソーバに含めている。

図1
図1

写真1
写真1

(3)ショックアブソーバの構造

構造的には、マジックテープ(形状がフック状のオスとループ状のメスの2枚で構成)に似ており、平時は2つのストラップが接着されているが、墜落で一定の荷重が加わるとバリバリと引き剥がされることで衝撃荷重を軽減する(写真2)。

写真2
写真2

 

2.種類

新規格により設定された。

(1)「第一種ショックアブソーバ」

自由落下距離1.8メートルで墜落を制止したときの衝撃荷重が4.0KN以下であるものをいう。

(2)「第二種ショックアブソーバ」

自由落下距離4.0メートルで墜落を制止したときの衝撃荷重が6.0KN以下であるものをいう。

写真3

写真3
  • 上段が新規格 第二種用
  • 中段が新規格 第一種用
  • 下段が旧規格

 

3.ショックアブソーバの選択
(1)ガイドラインが示すフックを掛ける位置(アンカー点)による選択
  1. 腰より上の場合・・・第一種を使用
  2. 足下の場合・・・・・第二種を使用

(注;足元と腰の間は第二種が原則だが落下係数を考慮し決定)

(2)能力による規制

欧米においては、ランヤードを構成する部品(フック、ショックアブソーバ・ランヤード、接続具・カラビナ)は、個別の規格認定があるので、写真4のスペイン製のランヤードのように、パーツごとに接続しているものが多い。このことから、ランヤードの能力ではなく、ショックアブソーバの能力によって規制したものである。

写真4
写真4

(3)

ランヤードで区別する場合は、

  1. 第一種を接続したものをタイプ1ランヤード
  2. 第二種を接続したものをタイプ2ランヤード

と呼ぶ。

 

4. 体重の軽重による対応

市販の新規格のフルハーネスは100~110kg対応が多いが、体重がより重い場合はメーカーに確認する必要がある。

逆に体重が軽い場合の規定はないが、極端に軽い場合はメーカーに確認する必要がある。

在日米軍基地内の建設工事施工業者に適用される「米国陸軍安全衛生規定21.H.05.a」では、有効に機能するために「体重が59㎏未満に対しては、特別設計のハーネスと特別設計のショックアブソーバ機能」が求められる。

 

執筆: みなとみらい労働法務事務所 所長 菊 一 功

『フルハーネス等の基礎講座』の目次

第1章 墜落制止用器具の法改正

第2章 墜落制止用器具等の基礎知識

第3章 ハーネスの特徴

第4章 フルハーネスの使い方、使用する際の注意点

第5章 点検・保守・保管

第6章 墜落災害発生時の救助体制と延命措置

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