工具の通販モノタロウ ポンプ・送風機・電熱機器 遠心ポンプの実践講座 ポンプトラブルを減らすためのアプローチ

遠心ポンプの実践講座

本連載では、基礎講座に続き遠心ポンプにスポットをあて、ポンプを構成する部品の役割からポンプの点検の仕方、トラブルとその対策まで、 より実践的な知識をご紹介していきます。遠心ポンプの基礎講座はこちら>>
第6章 ポンプのトラブルと対策

6-5 ポンプトラブルを減らすためのアプローチ

家庭電化製品などでは、機器にトラブルが起こると、どのように対応したらよいか取扱説明書などに記載されています。ポンプのトラブルは技術的原因、人的原因及び経済的原因の3つが入り混じって起こることが一般的です。そのため、一概に原因を特定することはできません。

しかし、トラブルの現象によって、推定原因を挙げることができるので、それらを「吸込トラブル」、「システムトラブル」及び「機械的トラブル」に分類して表6-5-1に示します。同表では、横方向にトラブルの現象、立方向に推定原因を取って、「*」で相関を示しています。

表6-5-1 トラブルの現象と推定原因(PDF)

6-5-1 吸込トラブル

吸込トラブルには、取扱液を吐き出さない、全揚程が不足している、吐出し量が徐々に不足するなどの現象があります。原因は、主にポンプの吸込にあります。そして、吸込配管内やポンプ内の空気、NPSHAの不足を挙げることができます。 配管材料は透明ではないので、吸込配管内の空気は外部からは発見できません。NPSHAも目に見えるものではなく、計算及び実際の運転で確認するものです。

吸込トラブルは、現象に対して原因を特定できたとしても、どこかに少し手を加えれば解決するということは少なく、吸込タンクの位置を高くする、配管のサイズを変更する、空気抜き配管を追加するなど、大掛かりな改造が必要になります。

これらのトラブルの特徴は、ポンプを据付け後及びポンプの分解点検後、ポンプを始動した直後に起こるということです。

6-5-2 システムトラブル

ポンプの性能試験及び機能試験は、ポンプメーカで常温清水を使用して実施します。しかし、現地では仕様に合わせた運転になります。例えば、液の密度が仕様で与えられた値より大きければ、駆動機の過負荷を引き起こします。 また、粘度が高ければ高いほど、吐出し圧力は低くなります。密度計や粘度計で常時正確に値を測定できれば、原因を把握するのは容易ですが、そうでないときには確認が難しくなります。

システムトラブルは、液温や粘度などポンプメーカに与えた仕様と異なっているときに起こるのが特徴です。これは、ポンプ運転直後でも起こり得るし、夏や冬という季節の違い、ポンプを使った生産システムの変更などでも起こることがあります。

6-5-3 機械的トラブル

機械的トラブルは、ポンプ運転直後でも起こり得るのですが、主に運転して数か月から数年後に発生します。すなわち、ポンプ部品の経年変化などによって起こるのです。

執筆:外山技術士事務所 所長 外山幸雄

『遠心ポンプの実践講座』の目次

第1章 ポンプの仕様

第2章 ポンプの構成部品と役割

第3章 ポンプの据付けと試運転

第4章 ポンプの運転

第5章 ポンプの保守点検と省エネルギー

第6章 ポンプのトラブルと対策

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