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電気のおはなし

私たちの生活から切り離せない存在、「電気」。 電気が循環する回路の種類や、電気の測定、電気用品、発電、電源など、 電気にまつわるあらゆる基本的な事項をご紹介していきます。
第1章 電気回路

1-9 プリント配線板とは

電子回路や電気回路の配線の一部を印刷して展開した板をプリント配線板とよんでいます。回路がプリントされる前の板を銅張積層板とよんでいます。 板の材料には値段は安いが吸水しやすく特性が劣っている紙基材フェノール樹脂板(FR-1,FR-2)、紙エポキシ樹脂板(FR-3)、値段は高いがすべての特性がよいガラスエポキシ樹脂板(FR-4)、 ボデーの形状に合わせて実装できるフレキシブル配線フィルム、熱伝導性がよい金属配線板などがあります。つぎの表に銅張積層板の種類と名称をしめします。

銅張積層板の種類

材質種類 JIS NEMA(ANSI)
基材 樹脂 タイプ 耐燃性
フェノール 高電気抵抗性 PP3F FR-2
PP3 XXXPC
一般的電気抵抗性 PP7F FR-1
PP7 XPC
エポキシ PE1F FR-3
- -
ガラス布 エポキシ 高耐熱性 GE2F FR-5
GE2 G-11
一般的高耐熱性 GE4F FR-4
GE4 G-10
ポリイミド 変性 GI1F GPY
GI1 -
未変性 GI2F GPY
GI2 -
ガラス布・ガラス不織布複合 エポキシ CGE3F CEM-3
- -
ハロゲンフリーエポキシ GT1F GPY
GT1 -

ある程度の数量を製造する電気機器、電気設備や自動車の配線では、部品や機器を接続する電線やケーブルの配線長を筐体やボデーに合わせて計測して図面化し、電線の束であるハーネスが使われています。

電源とかインバータなどのパワー系の大電流が流れてハーネスが使えないところではブスバーを使った相互の個別配線が使われています。

電子部品や集積回路等を実装して配線する電子回路では銅張積層板上に回路を形成したプリント基板(PCB)が使われています。

集積回路のチップ内部配線には微細加工したアルミ配線が使われています。チップとパッケージのリード間にはボンディングワイヤ配線が使われています。

集積回路チップの微細加工も限度に近づいてきたのでパッケージ内部でチップを積み上げてチップ相互をワイヤ配線し、さらに集積度を高めることもおこなわれています。

このように電気配線にはいろいろな種類があり、目的によって最適なものが使われています。

図2 自動車に使用されているプリント配線板の例

図2 自動車に使用されているプリント配線板の例(出典:日本シイエムケイ株式会社HP)

フレキシブル配線フィルム(FPC)

デジタルカメラのような狭いボデーの中に電子部品や集積回路なの配線を実装するにはFPCとよばれているフィルムに回路配線を形成したプリント配線板が使われています。

図3 フレキシブル配線フィルム(FPC)

図3 フレキシブル配線フィルム(FPC)

ノートパソコン用の冷却台

ノートパソコンのキーボードのある側の筐体内部にはMPU、GPU、メモリ等の多数の半導体部品を実装した大型プリント配線板が収納されています。 画像処理やゲームなどで連続した高速演算処理のみをさせるとMPUやGPUからの発熱量が増えて半導体部品を劣化させたり、故障させたりする危険温度まで上昇させてしてしまいます。 そこで筐体内部をこのような危険温度まで上昇させないためにMPU、GPU、筐体内部に設けたセンサーから温度を取り込んで処理速度を遅くするなどの温度管理ソフトが組み込まれています。

このようなノートパソコンの処理速度を遅くするなどの性能低下を防ぐ対策製品として筐体内部の熱を筐体の底面を通して強力に外部へ放熱させて冷却するための冷却台があります。 冷却台の材質には熱伝導の良いアルミが使われており、ノートパソコンの底面から冷却台へと伝導してきた熱は冷却台内蔵の強力な冷却ファンで外部へ放熱されます。つぎに冷却台の製品例を示します。

図4 冷却台

図4 冷却台

配線板の自作

下水にエッチングした後の廃液を流すことが禁じられるようになり、自作のプリント配線板は、ミリングマシンを使って機械的に銅張基板を彫り込んで作成することが多くなっています。 ミリングマシンでは穴あけ、配線、外形などの加工が可能で、精度の高い基板も作成できます。

図5 配線板自作用ミリングマシンの例

図5 配線板自作用ミリングマシンの例

図6 ミリングマシンによる配線板加工

図6 ミリングマシンによる配線板加工

導電性の銀ペーストの手書きペンを使って簡単な配線パターンを描いて配線板を作ることもできます。

抵抗やコンデンサーなどリードのある部品が差し込めるホールと半田付けによる配線の可能なランドを一定間隔でマトリックス状に多数配置したいろいろな種類のユニバーサル基板が数多く製品化されています。 このユニバーサル基板を使った配線板の自作もされています。

図7 用途に合わせてカットして使うユニバーサル基板の例

図7 用途に合わせてカットして使うユニバーサル基板の例

図6 ミリングマシンによる配線板加工

図8 金メッキされたユニバーサル基板の例

執筆:常深 信彦

『電気のおはなし』の目次

第1章 電気回路

第2章 電気の測定

第3章 回路計

第4章 電気用品

第5章 発電

第6章 電源装置

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