電気のおはなし
4-3 電波法と技適マークについて
電波を公平かつ能率的な利用を確保することによって、公共の福祉を増進することを目的として定められたのが電波法です。多くの政令や省令に詳細が定められています。
無線局を開設するにあたっては、申請、審査、検査の手順を踏んで総務大臣の免許または登録が必要になります。申請する無線局は、工事設計が電波法に定める技術基準に適合していること、周波数の割り当てが可能であること、総務省令で定める無線局の開設の根本的基準に合致していること等を充たしている必要があります。
「特定無線設備の技術基準適合等に関する規則」第2条第一項各号に規定されている小規模な無線局が該当します。この技術基準に適合した無線局は無線局免許手続きの省略等の特例措置を受けることができます。無線LAN、携帯電話、スマホ、携帯電話基地局等が該当しています。
ワイヤレスには、赤外線や超音波も使われてきましたが現在では電波を使う機器が主流になっています。国内で特定無線設備に該当する電波機器を使用するには、輸入品であろうと電波法に定められている技術基準に適合していることが求められています。適合証明は総務省に登録されている検査機関が行います。 検査を受けて技術基準に適合していると判定された電波機器は、与えられた技術基準適合番号(技適番号)と技術基準適合マーク(技適マーク)を電波機器の筐体外部に付しておくことが義務付けられています。 携帯電話やスマホのように表示画面を有する電波機器では情報表示画面の中に技適マークと技適番号を表示する画面を設けておき、選択して表示ができる方式でもよくなっています。
つぎに技適マークと技適番号の見方を説明します。

- Rは特定無線設備の技術基準適合証明に関することを示します。
- 201は登録証明機関の区分を示しています。
- WWは、無線局の種類(2.4GHz帯高度化小電力データ通信システム)の記号を示しています。
技適マークの詳細は総務省の電波利用ホームページのつぎのページを参照してください。
電波法第38条の2の2の第1項 | 無線局の区分 | 無線局の例 | 記号数 |
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第1号 | 免許等不要局 | 無線LAN、Bluetooth、コードレス電話などの小電力な無線局 | 24 |
第2号 | 包括免許対象局 | 携帯電話、MCA、衛星通話システムなどの無線局 | 40 |
第3号 | その他 | 携帯電話基地局、気象援助局、アマチュア無線などの無線局 | 100 |
「特定無線設備、特別特定無線設備一覧」(総務省) (http://www.tele.soumu.go.jp/j/sys/equ/tech/type/)を加工して作成
出典:特定無線設備、特別特定無線設備一覧 http://www.tele.soumu.go.jp/j/sys/equ/tech/type/
出典:無線設備に関する基準認証制度 http://www.tele.soumu.go.jp/j/sys/equ/tech/index.htm#4000051
アップルのiPhone7では、ワイヤレスのブルートゥースイヤホンを使うことを前提に設計されているので本体ケースにはイヤフォンジャックがありません。垂れ下がって邪魔になるコードが短くなったり、まったくない製品もあり、スポーツマンや動き回って作業するユーザーから好評です。 また、最近ではワイヤレス化したマウスやキーボードを組み合わせて配線をすっきりさせたパソコンが増えています。
Bluetoothヘッドセットの例
ワイヤレスのマウスとキーボードの例
ブルートゥース方式の送受信機能の付いたオーディオスピーカーやワイヤレスマイクも使われています。

マイク搭載 Bluetoothオーディオレシーバー
このような民生用途に加えて天井クレーン、ホイスト、産業機器の操作といった産業用途でもケーブルによるトラブルがなくなり、操作性も向上するのでワイヤレス化が進行しています。

無線システム(操作機と送信機)
モノタロウではピッキング対象の商品を収納している商品棚をピッキング作業するRacrewステーションまで運搬し、作業の終了した商品棚を元の場所へ運搬する自律搬送型ロボット・Racrewと入出庫情報から目的の商品棚の近くにいるRacrewに 運搬指示を出す無線LANを使った運行制御システムから構成される設備を笠間市に開設したディストリビューションセンターに導入しました。このシステムの導入によりピッキング作業の自動化・省力化が推進されて、生産性は従来の3倍になると見込まれています。
Racrewステーション
商品棚を運搬中のRacrew
MonotaRO 笠間ディストリビューションセンターの外観
- Racrewは商品棚を下から持ち上げて運送します。
自立搬送型ロボットRacrew
電気自動車では充電コネクタが不要になるワイヤレス方式充電装置の検討が進められています。また、IoTに使われるセンサー配線にはワイヤレス回路が使われることが多いので電気回路配線の一部がワイヤレス化することが多くなっていくと思われます。
『電気のおはなし』の目次
第1章 電気回路
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1-1回路とは漢字が示す通り、回って戻って来る路が回路です。回路を循環しているものが電気なら電気回路、電子なら電子回路になります。
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1-2回路の種類電気回路には大電流、大電力の発電系、送電系からの大工場、大型ショッピングモールなどの受電系、一般家庭の受電系、パソコン、スマホなどのプリント基板のパターンを流れる小電流回路、ICやLSI内部の微小電流まで扱う電流の大小により多くの種類があります。
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1-3交流回路とは交流波形をした電圧や電流が電源から負荷に流れているのが交流回路です。
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1-4直流回路とは直流電源を使用している回路や部品、機器、設備の内部には直流回路が形成されています。直流電源には直流発電機、電池、交流から直流に変換する電源アダプターなど多くの種類があります。
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1-5並列回路とは工場の電動機や照明等の負荷への配線、オフィスの複写機、パソコン等の負荷への配線、住宅内のエアコン、家電品等の負荷への配線など電力会社から受電した電気を負荷へ供給している配線回路のほとんどが並列回路を形成しています。
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1-6直列回路とはスマホ、ノートパソコンなどの携帯電子機器ケースの内部には充電できる二次電池のホルダーが収納されています。 中
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1-7分岐回路とは退避線のある駅に各駅停車の電車が近づくと本線から分岐された線路を通って目的のプラットホームへと向かい停車します。
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1-8遮断回路とは地震や火災、風水害が発生した時や保守点検、工事安全確保が必要な場合や目的に達した時に電路と切り離し動作を行う回路に遮断回路があります。
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1-9プリント配線板とは電子回路や電気回路の配線の一部を印刷して展開した板をプリント配線板とよんでいます。
第2章 電気の測定
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2-1電気回路測定の心得電気回路の測定に入る前に測定する周囲の電場環境や磁場環境など周囲環境が電気回路や電子回路にどのような影響を与えているのかを調べておきたいと思います。
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2-2電圧の測定電圧の測定器はメーターの針で測定値を示す指針型のアナログ計器とLEDや液晶の表示器に測定値を数字で示すデジタル計器とにわけられます。
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2-3電流の測定電圧の測定で紹介した回路計(マルチメータ)の電流測定機能と測定範囲は機種によって異なっています。
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2-4抵抗の測定抵抗測定というと、Ωレンジへ切り替えて測定するテスタ、マルチメータをイメージしてしまいがちです。
第3章 回路計
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3-1テスター(回路計)とはテスターは、機種により装備している機能が異なりますが電気回路、電子回路の電圧や電流、電子部品の抵抗、容量などが手軽に測定できる便利な測定器です。
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3-2アナログテスターの使い方アナログテスターの電圧や電流の測定では測定部位にテストリードのテストピンをあてがいます。テストピンで取り出された電圧や電流は、切り替えつまみ
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3-3デジタルテスターの使い方デジタルテスターでも電圧や電流の測定ではアナログテスターと同じく測定部位にテストリードのテストピンをあてがいます。テストピンで取り出された電圧や電流は、切り替えつまみで切り替えられたスイッチ回路を通してAD変換器を中心とするLSIと周辺回路へ送られます。
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3-4自動車用テスターとスキャンツール現在の自動車は電気回路や電子回路やマイコン、センサーにより電子制御されています。今後、自動運転化が進むにつれてこの電子制御化傾向はさらに加速していくものと思われます。
第4章 電気用品
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4-1電気回路と関係のある法律とマーク電気回路と関係がある国内と海外の安全に関する法律や安全マークに数回にわたって解説していきます。
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4-2JIS日本工業規格とは今回は、電気回路に関係している電気設備、電気用品、電気部品、電気材料や機械部品などの標準化を定めている日本工業規格(JIS:Japan Industrial Standards)(以下JIS)について調べていきましょう。
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4-3電波法と技適マークについて電波を公平かつ能率的な利用を確保することによって、公共の福祉を増進することを目的として定められたのが電波法です。多くの政令や省令に詳細が定められています。
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4-4人工知能(AI)とは準備中
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4-5CEマーク準備中
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4-6ULマーク準備中
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4-7CSAマーク準備中
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4-8FCCマーク準備中
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4-9VCCIマーク準備中
第5章 発電
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5-1発電の種類準備中
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5-2水力発電準備中
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5-3風力発電準備中
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5-4火力発電準備中
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5-5地熱発電準備中
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5-6バイオマス発電準備中
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5-7原子力発電準備中
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5-8内燃機関発電準備中