工具の通販モノタロウ ポンプ・送風機・電熱機器 遠心ポンプの基礎講座 ポンプの吸込口、吸込タンク及び吸込配管

遠心ポンプの基礎講座

電力、自動車、建設機械、鉄鋼、化学、食品など、多くの産業分野において使用されている「ポンプ」。
本連載では遠心ポンプにスポットをあてて、ポンプの種類、またポンプで使われる記号や圧力計の読み方などの豆知識まで、さまざまな事項をご紹介していきます。
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第5章 知っておきたいポンプの技術

5-7 ポンプの吸込口、吸込タンク及び吸込配管

5-7-1 吸込口と吸込タンク

ポンプは吸込口から空気を吸い込むことを避ける必要があります。 垂直配管の吸込口は、図5-7-1に示すように、液面「WL」がだんだん低下してくると、液面に渦ができ始め、更に液面が低下すると吸込口から空気を巻き込んでしまいます。 空気の巻込みを防止するために、特別な装置は付けずに、図5-7-2に示すような寸法以上にするのが一般的です。図5-7-2において、先端にフート弁が付いている場合は、 ベルマウスの場合よりも、圧力損失が大きくなってNPSHAを低下させるので注意してください。

ポンプが2台あって、吸込口もそれぞれ別になる場合には、垂直配管の吸込口は、図5-7-3に示すような寸法にします。

図5-7-1 垂直配管の吸込口

図5-7-1 垂直配管の吸込口

図5-7-2 空気の巻込みを防止するための寸法

図5-7-2 空気の巻込みを防止するための寸法

図5-7-3 垂直配管の吸込口-2個所法

図5-7-3 垂直配管の吸込口-2個所

ポンプの吸込口が水平の場合は、垂直配管の吸込口とはかなり違います。水平配管のときの吸込口は、図5-7-4のようにすると、空気の巻込みを防止できます。

図5-7-4 水平配管の吸込口

図5-7-4 水平配管の吸込口

ポンプの吸込口と吸込タンクの位置は、ポンプの吸込口の前流で旋回流ができるだけ起こらないように、また複数台あるときには相互に干渉し合わないように配置します。 参考として、真上から見たポンプの垂直配管の吸込口と吸込タンクの関係を、図5-7-5に示します。

図5-7-5 吸込口と吸込タンクの位置

図5-7-5 吸込口と吸込タンクの位置

5-7-2 吸込配管

ポンプは吸込口から空気を吸込むことを避ける必要があるのに加え、もう一つ大事なことがあります。 それは、吸込配管の中に空気が滞留するのを避けることです。 図5-7-6は、吸込タンクの液面がポンプ軸心より下にある場合を示しますが、吸込配管の途中に、空気が滞留するような盛り上がり個所を避けるように、吸込配管を施工します。 つまり、仮に空気が吸込配管内に混入してきたときに、混入している空気は吸込配管内に滞留させないで、液とともにポンプ内に入って吐出し口から出ていくようにします。

念のためですが、空気が混入することがよいことだという意味ではありません。空気が混入しないような吸込配管にすることが大切です。

また、吸込タンクの液面がポンプ軸心より上にある場合は、吸込配管の中に逆U字形の曲がりでも設けない限り、空気が滞留することはありません

図5-7-6 吸込配管

図5-7-6 吸込配管

吸込配管の途中に仕切弁などの吸込弁を設置する場合、弁体内に空気が滞留しないように、図5-7-7に示すように、弁のハンドルを横向きにします。 ただし、ハンドルの開閉が容易でないときは、45°程度に傾けて設置しても実際には問題は起こらないと思います。

図5-7-7 吸込弁

図5-7-7 吸込弁

執筆:外山技術士事務所 所長 外山幸雄

『遠心ポンプの基礎講座』の目次

第1章 ポンプの基礎

第2章 ポンプの豆知識

第3章 ポンプの性能

第4章 ポンプの選定

第5章 知っておきたいポンプの技術

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