遠心ポンプの基礎講座

電力、自動車、建設機械、鉄鋼、化学、食品など、多くの産業分野において使用されている「ポンプ」。
本連載では遠心ポンプにスポットをあてて、ポンプの種類、またポンプで使われる記号や圧力計の読み方などの豆知識まで、さまざまな事項をご紹介していきます。
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第1章 ポンプの基礎

1-4 ポンプの種類

1-4 ポンプの種類

ポンプの種類は作動原理からみると、ターボ形、容積形などに分類でき、また構造上からは、横軸、立軸、単段、多段などに分類できます。 経済産業省統計局では、ポンプの種類について「日本標準商品分類」と称し、 作動原理に加え構造上の違いを含めてポンプを分類しています。しかし、この分類は作動原理と構造がきちんと分類されていないので、利用者からみるとすっきりとしません。

ポンプの種類をすっきりと分類したものとして、「米国石油協会 American Petroleum Institute」では、遠心ポンプについて API 610という規格の中でポンプを分かりやすく整理しています。 ここでは、API 610による遠心ポンプの分類に沿って話を進めていきます。 その分類では、表1-4-1に示すように、ポンプを「片持(Overhung)」、「両持(Between-bearings)」及び「立形(Vertically suspended)」の3つの形式に大別しています。 そして、駆動機との結合方法、段数、ケーシングの構造などによって細分化し、それぞれのポンプに記号を付しています。

表1-4-1 API 610による遠心ポンプの分類

API 610による遠心ポンプの分類

ここで、「片持」はポンプの羽根車が軸受に対して「オーバハング、Overhung」しているポンプで記号は「OH」、「両持」はポンプの羽根車が両側にある軸受(Between-bearings)によって 支持されているポンプで記号は「BB」、「立形」は立方向に吊り下げられた(Vertically suspended)状態のポンプで記号は「VS」としています

それでは、各形式のポンプの外観を見てみましょう。図1-4-1、図1-4-2及び図1-4-3に、それぞれ片持、両持及び立形ポンプの外観を示します。「OH3」から「OH6」及び「VS1」から「VS7」の最上部は、モータが取り付けられた状態を示しています。

ポンプの種類を顧客からポンプメーカに、例えば「片持で、駆動機とのカップリングはフレキシブルで、横軸単段で、ケーシングの支持は下部の脚になっているポンプ」のように指定してもいいのですが、「OH1」と指定するだけで双方は理解し合えます。

API 610では、これらの記号のポンプだけを認めているのではありません。どのようなポンプでも、API 610の設計事項に合致すれば使用できます。そして、ポンプの種類は、必要に応じて、追加したり削除したりしています。

図1-4-1 ポンプの外観(片持)

図1-4-1 ポンプの外観(片持)


図1-4-2 ポンプの外観(両持)

図1-4-2 ポンプの外観(両持)


図1-4-3 ポンプの外観(立形)

図1-4-3 ポンプの外観(立形)

執筆:外山技術士事務所 所長 外山幸雄

『遠心ポンプの基礎講座』の目次

第1章 ポンプの基礎

第2章 ポンプの豆知識

第3章 ポンプの性能

第4章 ポンプの選定

第5章 知っておきたいポンプの技術

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