電気のおはなし

私たちの生活から切り離せない存在、「電気」。 電気が循環する回路の種類や、電気の測定、電気用品、発電、電源など、 電気にまつわるあらゆる基本的な事項をご紹介していきます。
第1章 電気回路

1-2 回路の種類

電気回路には大電流、大電力の発電系、送電系からの大工場、大型ショッピングモールなどの受電系、一般家庭の受電系、パソコン、スマホなどのプリント基板のパターンを流れる小電流回路、ICやLSI内部の微小電流まで扱う電流の大小により多くの種類があります。

電気自動車(EV)やプラグインハイブリット車(PHV)では、駆動モータに大電流を流して大トルクを発生する必要があります。大電流を畜電池からモータへ流すと電気回路のハーネス重量が重くなってしまうので蓄電池の電圧は、セルを直列接続して400~600Vのユニットにして搭載しています。

充電は、充電スタンドから有線でコネクタを接続して行われます。この充電操作は面倒なので充電コネクタを差し込む操作が不要な電磁結合を使ったワイヤレス充電システムの研究が実用化に向けて進められています。

図1:電気自動車の充電スタンドとワイヤレス充電

図1:電気自動車の充電スタンドとワイヤレス充電

最近は電気回路を内蔵した電気設備から家電製品まで赤外線(IR)リモコンからスマホなどを使った無線リモコンまで広がっています。 自動改札機を通過するときにカードをかざすと自動改札機からカード内のアンテナを通して電磁波の電力がICチップへ送られ、 交信が行われ、 デポジットされている残金が所定以上ならゲートが開き、構内へ入場できます。出場するときはデポジット残額が計算され、この金額がICチップに記憶されます。 このように電力の送電手段も電線の回路からワイヤレスな回路まで広がりを見せています。ワイヤレスで宇宙からマイクロ波で大電力を送る技術の研究も進んでいます。

図2:自動改札機のしくみ

図2:自動改札機のしくみ

インターネットを伝送する回路にも大容量を高速で送る回線が求められ、従来主役だった電話回線やケーブルテレビなどから無線を使った3G、4G、LTEなどの高速通信回線に主役の座を譲りつつあります。

電気設備や洗濯機、エアコンなどの電気機器を設置するときには大地に埋められた電極へ接続します。これは漏電電流や落雷による大電流が発生した時に大地へ流す接地回路を形成して安全を確保するためです。

このように電気回路は、切り出す範囲と目的により、次の表に示すようにいろいろな回路があり、固有の名前が付けられています。次回からは様々な電気回路を具体的に学んでいきましょう。

表1:回路の形成

  電気/電子/無線回路
回るもの 大電流 中、小電流 微小電流 電磁波
送電ケーブル 電線、ハーネス等 微細な配線パターン 大気の伝搬空間
使用目的 電力送電 電気設備・機器の電源 集積回路の電源 情報伝送
執筆:常深 信彦

『電気のおはなし』の目次

第1章 電気回路

第2章 電気の測定

第3章 回路計

第4章 電気用品

第5章 発電

第6章 電源装置

目次をもっと見る

『空調・電設資材/電気材料』に関連するカテゴリ

『電気材料』に関連するカテゴリ