工具の通販モノタロウ 照明のことが分かる講座 ブラケットと呼ばれる壁付け器具

照明のことが分かる講座

照明とは人々の生活に役立つ光の仕事のことを言います。 照明の主光源がLEDに変わりつつあるなか、照明を知ることで生活はより豊かに変わります。 そこで本連載では照明の基礎知識から光源や照明器具の種類、照明方式、照明がもたらす心理・ 生理効果を分かりやすくご紹介していきます。
第3章 照明のことが分かる講座

3-9 ブラケットと呼ばれる壁付け器具

壁に直付けされる器具を一般にブラケットと言います。別にウォールライトとかウォールスコンスなどと呼ばれることもあります。日本では乳白グローブ付きが住宅を中心によく使われますが、欧米では間接照明効果の得られる皿状のような器具や壁から突き出したアームに燭台のような灯具をつけたクラシックなデザイン器具がたびたび選ばれています。(写真1)

(写真1) 皿型間接照明用ブラケット

(写真1) 皿型間接照明用ブラケット



ところで何故壁に照明器具を付けるのでしょうか。

その理由の一つは天井がない、もしくは天井に器具の取り付けが難しい場合に壁面が有効だからです。住宅では外玄関の扉横(ポーチライト)や階段室、吹き抜けの空間に多く設置されています。(写真2)

(写真2) クラシックなデザインの人感センサ付きポーチライト

(写真2) クラシックなデザインの人感センサ付きポーチライト



二つ目の理由は床面ではなく鉛直面の明るさを得たい場合です。例えば浴室や洗面で顔面照度を必要とする鏡の照明に全般拡散配光のブラケットが鏡の横もしくは上に1~2灯付けます。これらの器具の多くが半球形や角、シリンダー、たらい形の乳白グローブ付きで、柔らかな光が顔の表情をやさしく見せてくれます。(写真3)

(写真3) 鏡の照明用ブラケット

(写真3) 鏡の照明用ブラケット



ブラケットも光源としてLEDに変わってきています。住宅で使用されるLEDブラケットは5~10Wほどのパワーのものが多く、白熱灯に換算すると30~60Wくらいの光束(明るさ)になります。

ブラケットは取り付け位置の設定が重要です。特に窓や扉の高さ、鏡や絵画などの位置関係で取り付け高さが調整されます。(図1) (写真4) これは頭でイメージしたり勘を頼りにするのではなく、できれば簡単な実験に基づいて高さや器具間隔を決めると良いです。ちょっとした寸法の誤差が空間の見え方に影響し、時には日常の生活行為の邪魔になるからです。(図1)

図1 ブラケットの配光と取り付け高さ(約2M高さを目安に家具や調度、建具との関係で微調整する)

図1 ブラケットの配光と取り付け高さ(約2M高さを目安に家具や調度、建具との関係で微調整する)



(写真4) ベッドサイドの器具はマットレス上から60cm前後の高さが適

(写真4) ベッドサイドの器具はマットレス上から60cm前後の高さが適



例えば器具の寸法をカタログなどで調べラフな型紙を作ります。それを自分の家で状況の似た部屋を使って型紙を壁の適当な位置に貼り付け、少し離れた目線でおかしくないかをチェックする方法です。もし明るさや雰囲気までの確認が必要であれば、例えばLED電球が点灯できるコード付きソケットを用意し、食器のボールやグラスなどを使って検証してみるのも一考です。(写真5、6)

(写真5)食器のボールを使ってブラケットの効果を検証
(写真5)食器のボールを使ってブラケットの効果を検証

(写真6)食器のボールを使ってブラケットの効果を検証
(写真6)食器のボールを使ってブラケットの効果を検証

人を安全に導く足下灯の光

廊下や通路、階段などの床面を明るくする器具として壁埋め込みの足下灯(フットライトとか足元灯ともいう)があります。これは通路の段差や通行の妨げになるものを見分け、人々の安全歩行に欠かせない明かりになります。この種の器具は長方形や正方形、丸形などがあり、壁からほとんど出っ張らないデザインになっています。

発光面は乳白カバー付きが多く、特に対面に明るい仕上げの壁があれば、その壁に光が反射して通路空間全般を明るい雰囲気にします。(写真7)しかし対面に壁がないと発光面が通行の視線で直接見え、器具がまぶしく感じることも考えられます。それを防ぐためにはルーバー付きやランプが器具の上に隠れて床面を照らすタイプが勧められます。(写真8)

(写真7)乳白カバー付き足下灯。泥はねを抑えるため取り付け高さは40cm
(写真7)乳白カバー付き足下灯。泥はねを抑えるため取り付け高さは40cm

(写真8) 器具の上部にランプがあり、まぶしさを抑えた足下灯様々
(写真8) 器具の上部にランプがあり、まぶしさを抑えた足下灯様々

執筆: 中島龍興照明デザイン研究所 中島龍興

『照明のことが分かる講座』の目次

第1章 照明の基礎知識

第2章 光源の種類と特徴

第3章 LED照明器具の選び方

第4章 照明方式

第5章 照明の視覚心理・生理

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