工具の通販モノタロウ 切削工具の基礎講座 普通砥石と超砥粒ホイールの違い

切削工具の基礎講座

ものづくりに欠かせない「切削工具」。切削工具にはどのような種類があるのか?購入する時に気を付けることは?使い方は? 本連載では、切削工具の正しい知識について、ご紹介していきます。
第5章 研削砥石

5-8 普通砥石と超砥粒ホイールの違い

図に示すように、台金の周辺に砥粒層を持つ研削といしを「ホイール」と言います。一般的な研削といしは全体が「と粒」でできていますが、ホイールは円周の外周部分だけに薄い砥粒層があります。台金の材質は通常アルミニウム合金か陶器です。

図 研削砥石

図 研削砥石



図 ホイール

図 ホイール



ホイールの砥粒層に使用されている「と粒」には、ダイヤモンドとCBN(立方晶窒化ほう素)の2種類があります。ダイヤモンドとCBNは一般研削といしの「と粒」であるアルミナや炭化けい素と比較して極めて硬いことから「超砥粒」と定義され、両者は総称して「超砥粒ホイール」と呼ばれます。とくに区別する場合には、ダイヤモンドをと粒とするものを「ダイヤモンドホイール」、CBNをと粒とするものを「CBNホイール」と言います。

図に、ダイヤモンドホイールの砥粒層の拡大写真を示します。キラキラと輝いているのがダイヤモンドで、茶色の部分が結合剤です。ダイヤモンドが結合剤で固められていることがわかります。

図ダイヤモンドホイールの砥粒層拡大写真

図ダイヤモンドホイールの砥粒層拡大写真



ダイヤモンドホイールとCBNホイールは外観が全く同じで、判別が難しいですが、台金に刻印されている表示を確認することで両者を判別できます。台金にSDまたはSDCと刻印があるのもがダイヤモンドホイール、CBまたはCBNと刻印があるのもがCBNホイールです。

図 ダイヤモンドホイールの刻印(例)

図 ダイヤモンドホイールの刻印(例)



ダイヤモンドホイールは非鉄金属に、CBNホイールは鉄系金属に使用します。言い換えれば、ダイヤモンドホイールは一般研削砥石のC(炭化けい素と粒)、CBNホイールは一般研削砥石のA(アルミナ質と粒)と同じと考えてよいでしょう。もう少し大雑把に分類すると、磁性のないものはダイヤモンドホイールを、磁性のあるものはCBNホイールを使用します。ただし、例外もあるので注意してください。ダイヤモンドは高温になると鉄と化学反応するため、ダイヤモンドホイールは鉄系金属には使用できません。

超砥粒ホイールは普通研削といしと比べて高価ですが、工具寿命が長いため、買い替える期間は長くなります。使用目的に応じて普通研削砥石から超砥粒ホイールへ置き換えることで、生産性を向上させることが可能ですが、超砥粒ホイールはと粒が強固であるため、形直し(ツルーイング)および目直し(ドレッシング)が難しいことが欠点です。超砥粒ホイールは平面研削盤や円筒研削盤で使用し、両頭グラインダーでは使用しません。

執筆: 芝浦工業大学 デザイン工学部 デザイン工学科 澤 武一 准教授

『切削工具の基礎講座』の目次

第1章 切削工具とは?

第2章 穴あけ加工と穴仕上げ加工

第3章 旋盤用の切削工具

第4章 フライス加工用の切削工具

第5章 研削砥石

第6章 特徴的な切削工具

目次をもっと見る