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切削工具の基礎講座

ものづくりに欠かせない「切削工具」。切削工具にはどのような種類があるのか?購入する時に気を付けることは?使い方は? 本連載では、切削工具の正しい知識について、ご紹介していきます。
第3章 旋盤用の切削工具

3-2 チップの各部の名称

バイトの構造は「材料を削る刃部」と「刃部を固定する柄の部分」の2つに大別されます。刃部を「チップ」、柄の部分を「シャンク」といいます。そして、チップを取り付ける座の部分とシャンクを合わせて、「ボデー(Body)」といいます。ボデーは胴体の意味です。

チップは材料を削るときに切りくずが流れ出る面を「すくい面」、すくい面と垂直方向に位置する面を「逃げ面」、すくい面と逃げ面が交わる稜線を「切れ刃」といいます。 そして、水平方向とすくい面のなす角を「すくい角」、垂直方向と逃げ面がなす核を「逃げ角」といいます。「すくい角」は切れ刃が材料に食い込む角度で、すくい角が大きいほど切れ刃は材料に食い込みやすくなります。

すくい角はアルミニウム合金など比較的軟らかい材料の場合には10°~30°、鉄鋼やステンレス鋼など比較的硬い材料の場合には5°~10°程度がよいでしょう。 銅合金の場合にはすくい角を大きくするとバイトが材料に引き込まれ大変危険ですので0°~5°程度がよいでしょう。一方、「逃げ角」は逃げ面が材料と接触しないように付けるための角度で、 切れ味などには影響せず、一般的には5°~10°になっています。逃げ角は材料の種類によって変える必要はありません。ただし、逃げ角が0°では、逃げ面が材料と接触するため、摩擦が生じ、良好な切削を行うことができません。

チップの先端(すくい面の先端)を「コーナ」と呼びます。コーナは「ノーズ」といわれることもあり、ノーズ(nose)は鼻という意味で、 鼻は顔の出っ張った部分が由来となり名付けられたと言われています。コーナには丸みが施されており、丸みの半径を「コーナ半径(またはノーズ半径)」と呼んでいます。 つまり、丸みが大きいほどコーナ半径が大きいということです。コーナ半径は仕上げ面の良し悪しに影響し、一般に荒加工では0.4~1.2mm程度、仕上げ加工では0.2~0.4mmを使用するとよいでしょう。市販されているチップのコーナ半径は0.2mm、0.4mm、0.8mm、1.2mm、1.6mmで、これ以外の大きさ(たとえば0.1mmや0.3mmなど)は市販されていません。コーナ半径が小さいほど刃先が鋭くなるので材料に食い込みやすく切れ味は良くなる反面、欠けやすくなります。一方、コーナ半径が大きいほど丸みを帯びているため、材料に食い込みにくく切れ味は悪くなる反面、欠けにくくなります。

チップの各部の名称

チップの各部の名称

すくい角と逃げ角

すくい角と逃げ角

執筆: 芝浦工業大学 デザイン工学部 デザイン工学科 澤 武一 准教授

『切削工具の基礎講座』の目次

第1章 切削工具とは?

第2章 穴あけ加工と穴仕上げ加工

第3章 旋盤用の切削工具

第4章 フライス加工用の切削工具

第5章 研削砥石

第6章 特徴的な切削工具

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