工具の通販モノタロウ 切削工具の基礎講座 エンドミルについて

切削工具の基礎講座

ものづくりに欠かせない「切削工具」。切削工具にはどのような種類があるのか?購入する時に気を付けることは?使い方は? 本連載では、切削工具の正しい知識について、ご紹介していきます。
第4章 フライス加工用の切削工具

4-3 エンドミルについて

エンドミルはフライス加工で使用する切削工具で、動かす方向をコントロールすることによって多様な形状をつくることができ、大変便利な切削工具です。 エンドミルのエンド(end)は端、ミル(mill)は粉砕を意味し、外周部(側面)と底面(端面)に刃を持った粉砕工具という意味から「エンドミル」と名付けられました。コーヒー豆を砕く道具を「コーヒーミル」、材料を砕く調理器具を「ミキサー」なども「粉砕」が名称の由来です。

エンドミルは太さや全長、刃の数、ねじれ角の角度、底面の中心に刃があるか、ないかなど、多くの種類がありますので、目的に合わせて適正に選択することが大切です。

たとえば、エンドミルの刃数は一般に1枚から8枚程度で、偶数刃が多用されます。偶数刃では対向する位置に刃があるため、エンドミルの外径を把握しやすいためです。一方、奇数刃では対向する位置に刃がないため、専用の測定器を使用しないとエンドミルの外径を把握することができません。

また、エンドミルは刃数が多いほど、エンドミルの芯は太くなり、強くなるため曲がりにくくなる一方、刃と刃の間隔が小さくなり、切りくずの排出能力は悪くなります。この反面、刃数が少ないほど、エンドミルの芯は細くなり、弱くなるため曲がりやすくなる一方、刃と刃の間隔が大きくなり、切りくずの排出能力は良くなります。

つまり、寸法精度を気にせず、大きな切りくずを排出する荒加工では「刃数の少ないエンドミル」を選択し、寸法精度を重視し、小さな切りくずを排出する仕上げ加工では「刃数の多いエンドミル」を選択するのが一つの指針といえます。

1本の円柱形状から削り出してつくられたソリッド(固体の意味)タイプのエンドミルが多用されていましたが、近年では、スローアウェイタイプ(チップ交換式)のエンドミルも普及してきました。ソリッドタイプのエンドミルは刃が摩耗した場合、刃先部分を切り落とし、刃先を再研削して使用します。 ソリッドエンドミルの再研磨は金太郎飴の割断に似ています。 一方、スローアウェイタイプ(チップ交換式)のエンドミルは刃が摩耗した場合、チップを交換するだけで済みますので便利です。ただし、DIYや趣味などでエンドミルを使用するときには、安価で使いやすい高速度工具鋼製(ハイス製)がおススメです。

エンドミルを使用した側面加工と溝加工

エンドミルを使用した側面加工と溝加工

エンドミルの刃数の一例/刃数の違いによるチップポケットの違い
ソリッドエンドミルとスローアウェイ式エンドミル
執筆: 芝浦工業大学 デザイン工学部 デザイン工学科 澤 武一 准教授

『切削工具の基礎講座』の目次

第1章 切削工具とは?

第2章 穴あけ加工と穴仕上げ加工

第3章 旋盤用の切削工具

第4章 フライス加工用の切削工具

第5章 研削砥石

第6章 特徴的な切削工具

目次をもっと見る