工具の通販モノタロウ 切削工具の基礎講座 バイトの形状と大きさ

切削工具の基礎講座

ものづくりに欠かせない「切削工具」。切削工具にはどのような種類があるのか?購入する時に気を付けることは?使い方は? 本連載では、切削工具の正しい知識について、ご紹介していきます。
第3章 旋盤用の切削工具

3-5 バイトの形状と大きさ

金属を自由な形状に削る場合には2つの方法があり、1つは「削る形状に合わせたチップ(バイト)を材料に転写させる方法」ともう一つは「バイトを削る形状に合わせて動かす方法」です。一般に、ハンドルで操作する汎用工作機械では前者が選択され、コンピュータで操作するNC工作機械の場合には後者が選択されます。複雑にハンドルを操作することは難しいので、汎用工作機械では予めチップの形を削りたい形状に合わせ、チップの形を転写させます。

図1は高速度鋼および超硬合金をチップにした付け刃バイト(ろう付けバイト)の基本形状を示しています。両図から、材料の外径を削るときには「片刃バイト」、材料に溝を作るときには「突っ切りバイト」、ねじをつくるときには「ねじ切りバイト」など、削る形状に合わせて多様な形のバイトがあることがわかります。そして、バイトの形状が2桁の番号で分類されていることが確認できます。

高速度鋼(ハイス)をチップにした付け刃バイトの形状は日本工業規格(JIS B 4152)で規定されていますが、超硬合金をチップにした付け刃バイトの形状は現在のJISでは廃止され、規定されていません。ただし、現在でもカタログなどでは使用されていますので、購入する際は本図を参考にして購入するとよいでしょう。

また、バイトの大きさはシャンクの寸法で規定されており、基準寸法は□12mm、□16mm、□20mm、□25mm、□32mmなどで、このほかにもいくつかあります。超硬合金をチップにした付け刃バイトでは、図2に示すように、シャンクの大きさを番号で分類している場合もあります。たとえば、超硬合金をチップにした付け刃バイトの場合、「33-3」と表記していれば。右勝手の片刃バイトで、シャンクの大きさが□19mmということになり、「34-2」と表記してれば、左勝手の片刃バイトで、シャンクの大きさが□16mmといことになります。

なお、高速度鋼チップはすべての材質の材料を削ることができますが、超硬合金チップは削る材料の材質に合わせて6種類あり、削る材料の材質に合わせて使い分けなければいけません。詳細な説明は別頁で行いますので参照してください。

図1

図1

図2

図2

執筆: 芝浦工業大学 デザイン工学部 デザイン工学科 澤 武一 准教授

『切削工具の基礎講座』の目次

第1章 切削工具とは?

第2章 穴あけ加工と穴仕上げ加工

第3章 旋盤用の切削工具

第4章 フライス加工用の切削工具

第5章 研削砥石

第6章 特徴的な切削工具

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