化学製品・高分子製品の基礎講座
3-7 染料・顔料の特徴と分類
染料も顔料も色を付けるために使われる化学製品です。一般に水や油に溶ける製品を染料、溶けない製品を顔料と呼びますが、この区別も明確ではありません。ポリエステル繊維の染色によく使われる分散染料は、その名のとおり水に溶解せず、分散しているだけです。 染料、顔料の区別をせず、総称して色素と呼ぶことは、従来からカラー写真フィルムなどでは使われてきました。最近は機能性色素を使った製品が増加し、染料・顔料を色素または色材と呼ぶことも多くなりました。
染料、顔料の主要な用途を次の表に示します。なお、機能性色素は、色素単独で販売されるよりも、表に示すように機能性色素を活用した製品として販売されることが多いので、ここでの詳細な説明は省略します。
染料・顔料の主要な用途
染料 | 繊維・紙・皮革の染色 食品の着色 水性インク 微生物・生化学用試薬 染毛剤 |
カラー写真フィルム |
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顔料 | 塗料・印刷インク・絵の具、陶磁器の着色 プラスチック・ゴム・セメントの着色 油性インク メイクアップ化粧品やファンデーション |
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機能性色素 | 光機能(CD-R、DVD-R、カラーフィルター、偏光フィルム用二色性色素) 光電変換機能(有機薄膜太陽電池、色素増感太陽電池、複写機用有機感光体OPC) 電光変換機能(有機EL) 圧力・熱の変換機能(レシート・切符・バーコードに使われる感圧記録紙、感熱記録紙用カラーフォーマー) など |
染料は繊維、紙、皮革の染色、食品の着色に使われるほか、水性マーカーやインクジェットプリンター用インクのような水性インクの製造に使われ、また細胞や微生物の染色・検査用試薬としても使われます。 変わった用途としては海難の際に海洋上で自分の位置を知らせる救助用のマーカー、金融機関などで逃げる強盗犯人に投げつける防犯カラーボールがあります。一方、顔料は塗料、印刷インク、絵の具、陶磁器の着色に使われるほか、プラスチックやゴム、セメントなどの着色に使われます。 ボールペンや油性マーカー用のインクには染料が使われることもありますが、顔料が主に使われます。また、顔料は化粧品にもよく使われています。ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維のように、染料で染色しにくい合成繊維では、紡糸前に顔料を混合して着色させる原着染(げんちゃくそめ)が行われます。
染料の分類は、いくつかの視点から行われます。天然物であるか否かにより、天然染料、合成染料に大別されます。食品着色料として天然染料はよく使われますが、それ以外の用途では圧倒的に合成染料が使われています。また、特殊な合成染料として冒頭で述べた蛍光増白染料があります。 紫外線を吸収して青紫色の可視光を発する染料です。繊維の黄ばみの補色になり、繊維を白く見せる効果があります。多くの合成洗剤に配合されています(3-3 洗剤の特徴と分類 参照)。
染料は繊維の染色によく使われることから、次の表に示すように染色方法による染料の分類がよく行われます。直接染料、酸性染料、塩基性染料のほか、草木染などでよく使われる媒染(ばいせん)染料、ジーンズの染色で有名な建染(たてぞめ)染料、他の染料では染めにくいポリエステル繊維の染色に使われる分散染料などがあります。
染色方法による染料の代表的な種類
染料の種類 | 染色法・特徴 |
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直接染料 | 中性や弱アルカリ性浴で直接染色。色調は鮮明でなく、洗濯堅牢度も低い。木綿、羊毛、絹に向く |
酸性染料 | 酸性浴で直接染色。色調は鮮明、洗濯堅牢度は様々。羊毛、絹、ナイロンに向く |
塩基性染料 | 中性浴で直接染色し、色調は鮮明だが日光堅牢度が低い。 羊毛、絹に向く。アクリル繊維用のカチオン染料は塩基性染料の一種で、色調鮮明、日光堅牢度も良好。 |
媒染染料 | 媒染剤(金属水酸化物など)水溶液に繊維を漬けた後、染料浴に漬けて染色する。 酸性の染料浴に漬けるものを酸性媒染染料、また媒染剤としてクロム塩、クロム酸塩を使うものをクロム染料という。堅牢度が高く、羊毛、絹に向く。 |
ナフトール染料 | 下漬剤(ベータナフトールなど)に下漬けした繊維を、顕色剤(ベース、デベロッパー)浴に入れ、 繊維状で下漬剤と顕色剤を結合(カップリング)させて発色、染色する。 |
建染染料 | 水に不溶の染料を還元剤処理してアルカリ水に可溶とした浴に繊維を漬けた後、空気にさらして酸化・発させ、 繊維内で水に不溶の染料に戻して染色する。色調鮮明、堅牢度高い。バット染料、スレン染料、インダンスレン染料とも呼ばれる。 |
分散染料 | 分散剤(界面活性剤)によって染料を分散させた高温高圧浴に繊維を漬けて染色する。 アセテート、ナイロン、ポリエステル繊維に向く。 |
反応染料 | 繊維の官能基と反応して染色する。堅牢度高い。木綿、羊毛、絹に向く。 |
一方、染料を研究開発し、製造する立場から、化学構造による分類も行われます。染料の化学構造の設計は、現在では量子化学計算によって吸収スペクトルを求めることによって行われます。少し前までは、もっと簡便な発色団、助色団の考え方によって行われました。 有機化合物が色を持つためには特定の不飽和結合を持つ原子団の存在が必要であり、これを発色団と呼びました。これに加えて、色の深みや濃淡など色調を微妙に変えたり、染料分子を水に可溶にしたり、酸性・アルカリ性にしたり、さらに繊維への染着性を持たせたりするための原子団も染料には必要です。このような原子団を助色団と呼びます。 発色団にはアゾ基(-N=N-)、ニトロ基(-NO2)、ニトロソ基(-N=O)、カルボニル基(>C=O)、チオカルボニル基(>S=O)などがあり、助色団にはアミン基(-NH2)、メチルアミン基(-NHCH3)、ヒドロキシ基(-OH)、スルホン酸基(-SO3H)などがあります。 このような考え方に基づいて次に示すような代表的な化学構造の染料がつくられています。
化学構造による染料の代表的な種類
染料の種類 | 特徴 |
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アゾ染料 | 発色団として1個以上のアゾ基(-N=N-)を持つ。助色団など化学構造を工夫することによって、 直接染料、酸性染料、塩基性染料、カチオン染料、媒染染料、ナフトール染料、分散染料、反応染料など、多彩な染料がつくられる |
アントラキノン染料 | 茜(あかね)から得られる天然染料アリザリンの骨格であるアントラキノンの誘導体で、媒染染料、酸性染料、建染染料、分散染料がつくられる。 |
インジゴ染料 | ジーンズの染料として有名な、藍から得られる天然染料インジゴに類似した骨格を持つ。建染染料がつくられる。 |
硫化染料 | アミノ基、ニトロ基、ニトロソ基、ヒドロキシ基などを持つ芳香族化合物と多硫化ナトリウム、硫黄、塩化イオウなどを混合加熱して加硫反応によってつくられる水に不溶の染料で、硫化ナトリウムで水に可溶にして染色した後、空気酸化によって再び不溶な染料の戻して染料を固着させる。建染染料の一種である。 |
カーボニウム染料 | ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、アクリジンなどメタンの水素を芳香族で置換した構造を持つ。多くの塩基性染料、カチオン染料がつくられるほか、助色団によって酸性染料、媒染染料もつくられる。 |
アゾ染料は芳香族のジアゾニウム化合物と他の芳香族化合物を結合(ジアゾカップリングと呼びます)させて合成されるので、多彩な製品をつくることができ、様々な染色法による分類の染料が比較的容易にできます。 このため、染料の全生産量の半分以上を占めます。しかし、近年、一部のアゾ染料に発がん性のおそれのある特定芳香族アミンを生成する可能性があることから、そのようなアゾ染料が世界的に規制されるようになりました。
顔料は、次の図に示すように無機顔料と有機顔料に大別されます。一般に無機顔料は有機顔料に比べて、隠蔽力が高く、耐光性、耐熱性が優れていますが、比重が高く、また色合いの幅が限られます。 有機顔料は有機合成技術によって化学構造を微妙に変化させることができるので、色合いの幅が広く、鮮やかな色の製品が多くあります。半面、耐光性、耐熱性に劣る製品もあるので、選ぶ際に注意が必要です。
顔料 | 無機顔料 | 有色無機顔料 |
体質顔料 | ||
有機顔料 | レーキ | |
有色有機顔料 |
無機顔料は有色無機顔料と体質顔料に大別されます。有色無機顔料には、白色系の酸化チタン、鉛白(塩基性炭酸鉛)、亜鉛華(酸化亜鉛)、リトポン(硫酸バリウム/硫化亜鉛)など、赤色系のベンガラ(酸化鉄(Ⅲ))、鉛丹(酸化鉛)、銀朱(硫化水銀)、モリブデン赤など、黄色系の黄鉛(クロム酸鉛)、 カドミウムイエロー(硫化カドミウム)、ジンクロメート(クロム酸亜鉛)、リサージ(一酸化鉛)など、 青色系の群青、紺青、コバルトブルー(アルミン酸コバルト)など、黒色系では鉄黒(酸化鉄(Ⅱ、Ⅲ)、カーボンブラックなどがあります。酸化チタンや酸化亜鉛は、紫外線防御のための日焼け止め化粧品にも使われます。
体質顔料は透明性白色粉末で隠蔽力が小さく、単独では顔料として使いにくい製品ですが、他の顔料の増量、希釈や塗料の塗膜強化の目的で使われます。バライト(硫酸バリウム)、石膏(含水硫酸カルシウム)、カオリン(白陶土)、シリカ(二酸化ケイ素)、ホワイトカーボン(沈降性シリカ)、 タルク(滑石)、炭酸バリウム、炭酸カルシウムなどがあります。
有機顔料にはレーキと有色有機顔料があります。レーキには2種類あります。ひとつは染付レーキで、体質顔料を染料で染色した顔料です。もうひとつは染料を2価以上の金属塩と反応させて不溶にした顔料です。アゾ染料からつくられるアゾレーキが代表的です。
有色有機顔料には、不溶性アゾ顔料、金属フタロシアニン顔料、アントラキノン顔料、バット顔料などがあります。化学構造による染料の代表的な種類として示したアゾ染料、アントラキノン染料、インジゴ系染料の中で、水に不溶な物質が顔料として利用されています。 また金属フタロシアニン顔料は青色から緑色の色調を持ち、耐光性に優れています。
『化学製品・高分子製品の基礎講座』の目次
第1章 化学製品を理解するための基本
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1-1化学製品の構成モノタロウで販売している製品を化学の目から理解するための基礎講座です。
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1-2化学物質の名前化学製品の成分、すなわち化学物質の名前はカタカナが並んで訳がわからないと思っておられる方が多いと思います。
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1-3酸とアルカリ酸とアルカリは小学校、中学校、高校の理科で習っており、何を今さらと思われるかもしれません。
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1-4無機薬品の特徴と種類人工のものも含めると元素は110以上知られており、このうち安定に存在できる最大の元素は原子番号82、質量数208の鉛です。
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1-5有機薬品とモノマー医薬品、化粧品、洗剤、プラスチック製品など、私たちの身の回りにある化学製品の多くは有機化合物です。
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1-6有機溶剤の用途と種類有機溶剤の用途を表に整理して示します。まず化学物質を溶解するという、字義通りの用途自体にも様々な使い方がある上に、そのほかにも様々な用途があ
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1-7界面活性剤の用途と種類界面とは物質と物質の境のことです。気体と固体、気体と液体の境は、通常は固体や液体の表面と呼んでいますが、界面のひとつです。
第2章 化学製品の利用に当って留意すべき法規制
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2-1化学製品における事故防止関係の法規制化学製品には、燃えやすかったり、有毒であったりと、知らないで使うと危険な物質が使われていることがあります
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2-2有害化学物質の安全規制火を使うことによって人類は他の動物からの攻撃や寒さを防ぐことができるようになったばかりでなく、食生活はもちろん、道具づくりにおいても大きく進歩しました。
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2-3化学物質の効能と安全の両方を求める規制化学物質の安全規制法の中には、化学物質を使用するからには必要とする性能を確保し、なおかつ安全性を厳しく要求するものがあります。医薬品、農薬、肥料などへの規制です。
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2-4環境保全を目指す法規制環境保全対策には、身近な公害対策、ごみ処理、自然環境保護から、地球規模の環境対策まで様々なものがあります。
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2-5化学製品における表示規制商品の購買者に正しい商品情報、しかも最低限必要不可欠な内容を伝えるために、様々な法律によって表示規制が行われています。
第3章 化学製品の基本
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3-1農薬の特徴と分類様々な化学製品について、その製品を理解するための基本知識を説明します。
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3-2化学肥料の特徴と分類田畑では育てた農作物が持ち出されるため、植物に必要な養分の自然循環ができません。
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3-3洗剤の特徴と分類洗剤は、図のように家庭用、業務用、工業用に分けられます。
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3-4塗料の特徴と分類塗料は、ものの表面を覆うことによって表面を保護し、また美観を与える化学製品です。
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3-5接着剤の特徴と分類接着剤は、ものの表面にくっついて、ものとものとを接合させる化学製品です。
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3-6印刷用化学品の特徴と分類ヨーロッパの歴史において中世から近世への開幕の主役は、羅針盤、火薬、紙と印刷でした。
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3-7染料・顔料の特徴と分類染料も顔料も色を付けるために使われる化学製品です。
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3-8試薬の特徴と分類試薬とは文字どおり「試験研究用薬品」のことです。
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3-9殺菌剤・消毒剤・抗菌剤の特徴と分類人間の目に見えない細菌、カビ、ウイルスなどは、食中毒や伝染病などの原因になる可能性があり、その対策は人類にとって長年の課題でした。
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3-10香料・消臭剤・脱臭剤の特徴と分類空気中を漂ってきた化学物質の分子が鼻の奥の嗅粘膜に溶け込んで嗅細胞が電気信号を発し、これが脳に伝達されて「におい」を感じます。
第4章 高分子製品を理解するための基本
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4-1高分子製品の構成高分子は、包装材料、日用品雑貨、衣料などの身の回り品から器具・機械の部品、土木建築材料、さらには漁船・プレジャーボート、航空機本体や翼のような大型製品にまで広く使われています。
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4-2高分子成形加工法多くの高分子製品は、フィルム・袋、繊維、シート、カップ・トレイなどの容器、管、板、部品などに成形加工されて使われます。
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4-3樹脂添加剤4-1で述べたようにプラスチック製品は、高分子だけから成っている訳ではありません。着色するために着色剤が加えられ、また発泡製品をつくるために発泡剤が加えられることは分かりやすい例です。
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4-4ゴム薬品4-5で説明しますが、ゴムの成形加工製品には加熱すると再度溶融するゴムと、加熱してももはや溶融も軟化もしないゴムがあります。
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4-5熱可塑性高分子、熱硬化性高分子すでに4-2で簡単に説明しましたが、高分子には熱可塑性高分子と熱硬化性高分子があります。
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4-6高分子材料に期待される特性第4章の冒頭で述べたように合成高分子が現在のように幅広く使われるようになったのは20世紀後半からです。人類は文明の始まる以前から天然高分子を大量に使ってきました。
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4-7強度金属、セメント、ガラス、セラミックス、木材、高分子製品など様々な材料の力学的性質を比較する場合、強度(つよさ)は最も基本となる指標です。
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4-8耐熱性、耐寒性4-2で説明しましたように高分子は、その熱挙動や分子構造から熱硬化性高分子と熱可塑性高分子に分類できます。
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4-9透明性物質に光が入った時に可視光すべてを吸収して熱に変換する場合には透明になりません。金属が不透明なのはこれに該当します。
第5章 主要な高分子材料の種類と特長
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5-1ポリエチレンポリエチレンは、世界においても、日本においても、最も生産量・消費量の多い高分子材料です。
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5-2ポリプロピレンポリプロピレンPPは、プロピレンCH2=CH-CH3というガス状炭化水素を重合した高分子です。
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5-3スチレン系樹脂スチレン系樹脂はスチレンC6H5-CH=CH2を主成分とするプラスチックです。主要なスチレン系樹脂にはポリスチレン、AS樹脂(SAN)、ABS樹脂があります。
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5-4ポリ塩化ビニルポリ塩化ビニルは塩化ビニルを主成分とするプラスチックです。塩化ビニル単独のポリマーが圧倒的に多くを占めますが、加工性や性能などを改善することを目的に酢酸ビニルやアクリロニトリルと共重合させたコポリマーも少量つくられています。
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5-5PET繊維・樹脂(A-PETも)ポリ塩化ビニルは塩化ビニルを主成分とするプラスチックです。塩化ビニル単独のポリマーが圧倒的に多くを占めますが、加工性や性能などを改善することを目的に酢酸ビニルやアクリロニトリルと共重合させたコポリマーも少量つくられています。
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5-6ナイロン繊維・樹脂ナイロンは1939年に最初の合成繊維としてアメリカのデュポン社によって工業化され、大成功を収めたので、合成繊維の王座をすでにポリエステル繊維に奪われたとは言え、現在でも合成繊維の代名詞になるほど有名です。
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5-7エンジニアリングプラスチック5-1から5-4で説明した汎用プラスチック(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル)は耐熱性がおおむね100℃以下であるのに対して、耐熱性が100℃以上で、しかも強度が高い熱可塑性プラスチックをエンジニアリングプラスチックと言います。
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5-8ポリウレタンポリウレタンはウレタン結合-NHCOO-をもつ高分子です。ウレタン結合はイソシアネート(-NCO)という非常に反応性の高い化合物群とアルコール(-OH)の反応によって生成します。
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5-9エポキシ樹脂エポキシ樹脂は、図に示すように高分子の両末端にエポキシ基をもつプレポリマーと硬化剤(ポリアミン、酸無水物、ポリアミドなど)を反応させて生成する網目状の分子構造をもつ熱硬化性高分子です。
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5-10アクリル樹脂(PMMA,アクリル繊維、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル)アクリル樹脂と呼ばれる高分子は、図に示す広義のアクリル系ポリマー全体を指すこともありますし、ポリアクリル酸エステルだけ、あるいはメタクリル樹脂だけを指すこともあります。
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5-11フッ素樹脂、ケイ素樹脂(含むシリコーンオイル)フッ素樹脂、ケイ素樹脂はともに1940年代前半に米国で工業化された古い高分子材料です。
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5-12汎用合成ゴムゴムはエラストマー(弾性体)とも呼ばれ、常温で著しく大きな弾性をもつ物質の総称です。
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5-13特殊合成ゴム特殊ゴムは、すべての非ジエン系ゴムとジエン系ゴムのうちブチルゴム(IIR)、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)が該当します。
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5-14その他の高分子材料(熱可塑性ゴム、スーパーエンプラ、機能性高分子)高分子材料には、今まで紹介した高分子以外にも多数あります。その中で、大くくりして重要なものを最後に3つ紹介します。