モノタロウで販売している製品を化学の目から理解するための基礎講座です。製品の成分、仕様説明などに書かれている化学物質、高分子材料が理解できるように化学製品の基礎知識を紹介していきます。

モノタロウで販売している製品はもちろん、身の回り製品、衣類、食品、書物、住宅・建築、自動車・電車などの乗り物、テレビ・スマートフォーンなどの機械、道路・橋梁などの土木建造物も含めて人間が製作したものには、金属、セメント、ガラス、セラミックス、木材、紙などと並んで化学製品がたくさん使われています。

化学製品には大きく分けて2種類あります。一つは、分子量がおおむね1万以上の高分子と呼ばれる化学品を主成分とする化学製品です。一番多く見かける高分子化学製品は、プラスチック成形加工品、合成繊維、ゴム成形加工品です。素材・材料として使われ、化学製品の中でも量的な面で非常に大きな製品群です。 高分子を主成分とする化学製品には、このほかにも塗料、接着剤、インク・トナーなどがあります。これらは、購入時点では液体や粉体で高分子化学製品らしくありませんが、使用後は固着物になって高分子化学製品らしい機能を発揮します。

もう一つは、分子量がおおむね1千以下の低分子と呼ばれる化学物質を主成分とする化学製品です。医薬品、化粧品は低分子の機能を活用した代表的な低分子化学製品です。モノタロウで販売している製品としては、溶剤、洗浄剤、農薬、化学肥料などがあります。素材、材料というよりも、それぞれの物質が持つ化学的な機能を活用する製品です。

化学製品を製造する化学産業は、図のような産業構造によって他の産業が使う化学製品や消費者が使う化学製品を製造しています。

図1

石油、油脂、炭水化物、食塩、空気、水、リン鉱石、硫黄、金属鉱石などを原料に、比較的分子量が小さいエチレン、ベンゼン、苛性ソーダ、硫酸などの基礎化学品がつくられます。次に基礎化学品を原料に工業薬品や高分子（両方を合わせて中間化学品とも言います）がつくられます。工業薬品には、高分子の原料となるモノマー、有機溶剤、界面活性剤など量的に大きな化学品とともに、医薬品中間体・原薬、農薬中間体・原体、食品添加物、顔料や様々な無機工業薬品のような、一つ一つは量的に小さいけれども種類が非常に多い化学品もあります。 基礎化学品や有機工業薬品をつくる化学工場は、蒸留塔などの精製設備が林立しています。ということは、非常に純度の高い基礎化学品、有機工業薬品をつくっているのです。

これに対して、他の産業や一般消費者に販売される高分子化学製品や低分子化学製品（両方を合わせて最終化学品と言います）は、複数の中間化学品を混合してつくられています。

もっとも身近な、わかりやすい例は化粧品（シャンプー、リンスを含む）です。化粧品は全成分の表示が法律で決められています。化粧品容器には、細かな字で成分が羅列的に表示されているので、多くの有機工業薬品や無機工業薬品が混合されていることがわかります。 医薬品も有効成分である医薬品原薬だけで最終製品になっているわけではありません。医薬品原薬に調剤用薬を混合し、錠剤、カプセル剤、注射液剤、軟膏・クリーム剤のような医薬品製剤となって使われます。

様々に着色されたプラスチック成形加工品に工業薬品の一つである着色剤（顔料）が加えられていることは明らかと思います。 プラスチック成形加工品には顔料のほかにも、成形加工を行いやすくし、また製品の強度向上、安定・長寿命化のために、滑剤、安定剤、可塑剤、充填材・補強材、発泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、帯電防止剤、難燃剤、防カビ剤・抗菌剤など、実に様々な工業薬品が必要に応じて副成分として加えられています。

このように化学製品は、その使用条件などを考慮して主成分のほかに様々な副成分を混合してつくられています。化学製品を使う際には主成分が第1に重要ですが、副成分の機能・役割、安全性などを考慮することが必要になる場合があることも忘れないでください。

『化学製品・高分子製品の基礎講座』の目次

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