化学製品・高分子製品の基礎講座
5-14 その他の高分子材料
高分子材料には、今まで紹介した高分子以外にも多数あります。その中で、大くくりして重要なものを最後に3つ紹介します。
1)熱可塑性ゴム(熱可塑性エラストマーTPE)
5-12、5-13で紹介したゴムは、材料として利用する場合には加硫・架橋が必要でした。加硫・架橋操作には時間がかかり、設備も必要になります。4-5で熱可塑性高分子と熱硬化性高分子を紹介した際に、熱可塑性高分子は加熱して材料を溶融し、成形して冷却するだけで成形加工製品ができるので手間がかからないことを説明しました。一方、ゴム弾性を持たせるためには分子同士がずれないように、分子同士を少しつなぐ操作が必要であると説明しました。5-12、5-13で紹介したゴムは、いずれも熱硬化性高分子なのです。これに対して、熱可塑性ゴムは、文字通り熱可塑性高分子に属し、加熱した溶融物を成形加工し、冷却するだけでゴム弾性を発揮する成形加工品をつくることができます。
熱可塑性ゴムは、硬い、結晶化しやすい部分(ハードセグメントと呼びます)と柔らかい、ゴムの性能を示す部分(ソフトセグメント)の両方を持つような構造に設計された高分子です。加熱すると結晶部分が溶融して全体が液状になり、成形加工できます。これを冷却すると、図に示すように再び結晶部分ができ、これが架橋と同様に、高分子材料を伸ばした時に高分子同士がずれてしまうことを防ぎます。ソフトセグメントは、一般のゴムと同様に分子が丸まった状態から外力によって伸ばされることによってゴム弾性を発揮します。ただし、加硫・架橋が共有結合であるのに対して、結晶部分は共有結合より弱いファンデルワールス力による結合なので、加硫・架橋ゴムほどの強度を発揮することはできません。このためタイヤなどのように大きな力に耐える必要がある用途には熱可塑性ゴムは使えません。
熱可塑性ゴムは、1950年代後半にポリウレタンで最初につくられました。5-8で説明したようにポリウレタンは、ジイソシアネートとポリオールの両方を選択できるので高分子構造を設計しやすいのです。ソフトセグメントには長鎖の脂肪族ポリエーテルジオールを使い、ハードセグメントには短鎖のジオールを使います。1960年代半ばにはスチレン系熱可塑性ゴムがつくられ、現在でも熱可塑性ゴムの中では最大の分野になっています。5-12で紹介した最大の生産量を誇る合成ゴムSBRは、スチレンとブタジエンをランダムに配列して重合した高分子です。これに対して、まずスチレンを多く加えて重合するとハードセグメントができ、続いてブタジエンだけを投入して重合するとソフトセグメントができます。こうしてブロック状の高分子になるので熱可塑性ゴムになります。ブタジエンの代わりにイソプレンを使う熱可塑性ゴムも多くつくられています。ブタジエンとスチレンから成る熱可塑性ゴムはSBS、イソプレンとスチレンから成る熱可塑性ゴムはSISと呼ばれます。
熱可塑性ゴムには、このほかに塩化ビニル系、オレフィン系、エステル系、アミド系など多くの種類があります。一般の熱可塑性プラスチックと同じように射出成型機や押出成形機で成形するだけで、ゴム加工製品(履物、自動車部品、機械部品、ホース・チューブ、電線被覆、シート、パッキンなど)ができ上がります。このほか、熱可塑性プラスチックは、一般のプラスチックの耐衝撃性改質材、ホットメルト接着剤にも使われています。
2)スーパーエンジニアリングプラスチック
5-7で6つの汎用エンジニアリングプラスチックを紹介しました。汎用エンジニアリングプラスチックが汎用プラスチックにはない100℃以上の耐熱性と高強度を持つのに対して、耐熱性が150℃以上の熱可塑性プラスチックをスーパーエンジニアリングプラスチックと呼びます。
4-8で高分子自体の耐熱性を上げる方法として、「高分子の結晶性を上げるとともに高分子鎖自体を強くすることが重要であり、それを実現するためには高分子鎖に芳香環を多く入れて炭素鎖を太くし、しかも高分子鎖の直線性を高めること」が必要と説明しました。また、炭素と酸素、硫黄などの結合は、炭素と炭素だけの結合よりも強いので、炭素鎖の中に酸素や硫黄を入れることもよく行われます。半面、耐熱性を上げると融点も高くなることが多く、熱可塑性高分子の長所である成形加工性を悪化させてしまいます。また、複雑な構造のモノマーが必要になったり、製造工程が長くなったりすると、製造コストが高くなり、高分子間の経済競争に勝てません。このようなさまざまに相反する要求事項との兼ね合いを調整して多くのスーパーエンジニアリングプラスチックが設計され、商品化されてきました。そのうち、いくつかを説明します。
ポリフェニレンスルフィド(ポリフェニレンサルファイド、PPS)は芳香環と硫黄だけが高分子の主鎖になっています。芳香環と酸素だけが高分子主鎖になっているポリフェニレンエーテルPPE(汎用エンジニアリングプラスチックのひとつ変性ポリフェニレンエーテルの主要部分)と似ていますが、溶融時の粘度が低いのでPPEのようにポリスチレンなどで変性する(ポリマーアロイ)必要はありません。PPSは硬くて脆い高分子なので通常はガラス繊維やシリカなどの充填材を加えて使用されます。そのような複合体の耐熱温度は260℃になり、310~340℃で射出成形できます。また、耐薬品性に優れ、PPSを溶解できる溶剤はほとんどありません。吸水性が非常に小さく、電気特性も優れています。自動車部品、電気・電子部品、OA機器、電子レンジ部品などに使われます。
ポリエーテルスルホン(PES)は、芳香環と硫黄と酸素だけが主鎖になっており、PPEとPPSを合わせたような構造をしています。剛直な分子構造なので耐熱性が高く、充填材を加えない非強化樹脂の連続使用温度は180℃になり、320~390℃で射出成形します。ポリスルホン(PSF)は、PESの主鎖にビスフェノールAの構造を加えています。図ではビスフェノールA部分が平面に見えますが、実際には主鎖に入っている炭素の回りの2つのメチル基と2つの芳香環が正四面体の方向にあるので、高分子主鎖がここで折れ曲がっています。このため、耐熱性はPESより劣り、非強化樹脂の連続使用温度は150℃程度です。
ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)は、芳香環と酸素とカルボニル基(-CO-)を主鎖に含む高分子です。PSFと同様にカルボニル基の位置で主鎖が曲がっていますが、カルボニル基の強い極性によって高分子鎖同士の相互作用が高く、硬く、しかも耐衝撃性に優れます。連続使用温度は240℃と高く、ガラス繊維強化により330℃程度と熱可塑性プラスチックの中では最高ランクになります。
人工衛星などを包んでいる黄色いフィルムを写真で見かけたことがあると思います。これはサーマルブランケットと呼ばれ、ポリイミドフィルムにアルミニウムを蒸着させたフィルムとポリエステルシートをサンドイッチ状に重ね合わせた断熱材です。過酷な環境から人工衛星を守っています。ポリイミドPIは芳香環と環状イミド結合(-CO-NR-CO-)の主鎖からなる高分子です。350~500℃とプラスチックの中で飛びぬけて高い耐熱性を持ちますが、残念ながら熱可塑性高分子でなく、熱硬化性高分子なので厳密にはスーパーエンジニアリングプラスチックではありません。これに対して、環状イミド結合のひとつをアミド結合(-NHCO-)に変えたポリアミドイミドPAIは耐熱性が250℃程度まで落ちますが、射出成形できるスーパーエンジニアリングプラスチックです。
耐熱性と成形加工性の相反関係を打ち破ったのが液晶ポリマーLCPです。様々なLCPがつくられていますが、そのほとんどの基本的な構造は芳香族ポリエステルの剛直な高分子です。溶融状態で液晶となり、高分子鎖の絡み合いが少ないので成形加工がしやすい長所を持ちます。しかも分子配向が高いので耐熱性が300℃以上のものもつくられています。欠点は製造コストが高く高価である点です。
3)機能性高分子
高分子は成形材料や塗料、接着剤などとして使われる際には、成形加工性、強度、耐熱性、耐寒性、耐候性など様々な機能を求められるので、すべてが機能性高分子とも言えます。しかし、1980年代から通常の成形材料に求められるような性能以外の高度な機能を高分子に持たせようとする研究が盛んになり、機能性高分子という分野ができ上がりました。たとえば、感光性、導電性、圧電性、高吸水性などです。また高分子成形加工品として機能を発揮させる方向も盛んに研究され、高機能分離膜、光機能フィルム、ガスバリアフィルム、人工臓器など様々な製品が生まれました。ここでは高分子を使った高機能成形加工品は除き、高分子自体の高機能化を狙った機能性高分子を中心に紹介します。
高分子自体の高機能化を狙った機能性高分子
1930年代後半から工業化され、大量に使われてきた機能性高分子としてはイオン交換樹脂があります。プラスイオンが固定された高分子とマイナスイオンが固定された高分子によって、水の中のマイナスイオン、プラスイオンを別々に吸着して除去する機能を活用します。分子構造を操作しやすく、しかも固体であるという高分子の長所を活用した最初の機能性高分子であり、分離機能を発揮しています。ボイラー用水の製造などに大量に使われてきました。水中の特定の金属イオンだけを選択的に吸着するキレート樹脂やキラル化合物を分離するために使う光学分割用高分子も同じ発想の機能性高分子です。これらは図に示すような分離機能を追求した機能性高分子と整理することができます。廃水処理、下水処理において重要な高分子凝集剤も分離機能を追求した機能性高分子と言えましょう。
LSIを製造するためのフォトレジストは機能性高分子の代表と言えます。感光性高分子です。感光性高分子は、19世紀半ばのゼラチンと重クロム酸塩の光反応を利用した写真製版印刷法で始まり、1960年代に様々な感光性高分子がつくられて印刷版はもちろん、光硬化型塗料、UV硬化インキ、UV硬化型接着剤、歯科材料などに用途を広げ、さらにプリント回路・半導体加工・液晶ディスプレー作成のための微細加工用レジストとして加工精度に応じて、高分子の種類が変わる世代交代を繰り返しながら発展してきました。光機能を追求する機能性高分子は感光性高分子だけではありません。高分子の透明性とともに、軽量性、加工性のよさを生かした機能性高分子は、光ファイバ-やメガネレンズ、コンタクトレンズに使われています。
高分子の電子・電気特性機能の中で、絶縁材料としての機能は昔から広く活用されてきました。導電性高分子は絶縁とは真逆の機能を追求した機能性高分子です。ノーベル賞を受賞された白川英樹先生のポリアセチレンは有名ですが、その後、ポリ(パラフェニレン)、ポリピロール、ポリチオフェンなど、ドーピングによって金属領域の導電性をもつ導電性高分子が多数開発され、2次電池、太陽電池、センサーなどに利用されています。また、半導体領域の導電性をもつ機能性高分子は高分子有機EL(エレクトロルミネッセンス)材料として注目されています。このような先端分野でなくても、衣服、紙、プラスチック成形加工品の帯電防止剤として従来の低分子界面活性剤に代わって高分子帯電防止剤(イオン性高分子やPEGのような非イオン性・親水性高分子)が持続性の高い帯電防止剤として使われています。
化学的機能、生化学的機能を追求した機能性高分子としては、1960年代に日本で商品化され大成功した瞬間接着剤があります。空気中の微量な水分によって重合が始まるような極性の高いモノマーの化学的機能を使った機能性高分子と言えましょう。同じく日本で商品化され、1980年代に大ヒットしたポリアクリル酸系の高吸水性高分子も、高分子の吸水という機能を徹底的に追求して開発された機能性高分子です。千年以上使われてきた布おむつをほとんど見かけることがなくなるほど子育てに革命的な変化をもたらし、女性の社会進出に貢献しました。一般の目につくものではありませんが、高分子触媒や高分子試薬は、化学工業での反応工程、生化学的な検査分析(DNAチップなど)において重要な役割を果たしています。人工腎臓、人工心臓、人工血管、カテーテルなど、現在では広く使われている高分子の人工臓器や医療用具は、機能性高分子というよりも機能性高分子加工製品と呼ぶべきかもしれません。しかし、生体適合性など基本的な性能に機能性高分子の研究は不可欠です。また、ワクチンを除けば、長らく低分子がもっぱら使われてきた医薬品においても、バイオ医薬品の登場によって現在では高分子医薬品がヒット商品の上位を独占するに近い状態になっています。古くから知られているタンパク質、多糖類(セルロース、デンプン、デキストリンなど)はもちろん、DNA、RNAなどの核酸もすべて高分子なので、多くの機能性高分子が生体関連商品として登場してきたのは当然と言えましょう。
『化学製品・高分子製品の基礎講座』の目次
第1章 化学製品を理解するための基本
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1-1化学製品の構成モノタロウで販売している製品を化学の目から理解するための基礎講座です。
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1-2化学物質の名前化学製品の成分、すなわち化学物質の名前はカタカナが並んで訳がわからないと思っておられる方が多いと思います。
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1-3酸とアルカリ酸とアルカリは小学校、中学校、高校の理科で習っており、何を今さらと思われるかもしれません。
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1-4無機薬品の特徴と種類人工のものも含めると元素は110以上知られており、このうち安定に存在できる最大の元素は原子番号82、質量数208の鉛です。
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1-5有機薬品とモノマー医薬品、化粧品、洗剤、プラスチック製品など、私たちの身の回りにある化学製品の多くは有機化合物です。
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1-6有機溶剤の用途と種類有機溶剤の用途を表に整理して示します。まず化学物質を溶解するという、字義通りの用途自体にも様々な使い方がある上に、そのほかにも様々な用途があ
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1-7界面活性剤の用途と種類界面とは物質と物質の境のことです。気体と固体、気体と液体の境は、通常は固体や液体の表面と呼んでいますが、界面のひとつです。
第2章 化学製品の利用に当って留意すべき法規制
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2-1化学製品における事故防止関係の法規制化学製品には、燃えやすかったり、有毒であったりと、知らないで使うと危険な物質が使われていることがあります
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2-2有害化学物質の安全規制火を使うことによって人類は他の動物からの攻撃や寒さを防ぐことができるようになったばかりでなく、食生活はもちろん、道具づくりにおいても大きく進歩しました。
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2-3化学物質の効能と安全の両方を求める規制化学物質の安全規制法の中には、化学物質を使用するからには必要とする性能を確保し、なおかつ安全性を厳しく要求するものがあります。医薬品、農薬、肥料などへの規制です。
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2-4環境保全を目指す法規制環境保全対策には、身近な公害対策、ごみ処理、自然環境保護から、地球規模の環境対策まで様々なものがあります。
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2-5化学製品における表示規制商品の購買者に正しい商品情報、しかも最低限必要不可欠な内容を伝えるために、様々な法律によって表示規制が行われています。
第3章 化学製品の基本
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3-1農薬の特徴と分類様々な化学製品について、その製品を理解するための基本知識を説明します。
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3-2化学肥料の特徴と分類田畑では育てた農作物が持ち出されるため、植物に必要な養分の自然循環ができません。
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3-3洗剤の特徴と分類洗剤は、図のように家庭用、業務用、工業用に分けられます。
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3-4塗料の特徴と分類塗料は、ものの表面を覆うことによって表面を保護し、また美観を与える化学製品です。
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3-5接着剤の特徴と分類接着剤は、ものの表面にくっついて、ものとものとを接合させる化学製品です。
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3-6印刷用化学品の特徴と分類ヨーロッパの歴史において中世から近世への開幕の主役は、羅針盤、火薬、紙と印刷でした。
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3-7染料・顔料の特徴と分類染料も顔料も色を付けるために使われる化学製品です。
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3-8試薬の特徴と分類試薬とは文字どおり「試験研究用薬品」のことです。
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3-9殺菌剤・消毒剤・抗菌剤の特徴と分類人間の目に見えない細菌、カビ、ウイルスなどは、食中毒や伝染病などの原因になる可能性があり、その対策は人類にとって長年の課題でした。
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3-10香料・消臭剤・脱臭剤の特徴と分類空気中を漂ってきた化学物質の分子が鼻の奥の嗅粘膜に溶け込んで嗅細胞が電気信号を発し、これが脳に伝達されて「におい」を感じます。
第4章 高分子製品を理解するための基本
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4-1高分子製品の構成高分子は、包装材料、日用品雑貨、衣料などの身の回り品から器具・機械の部品、土木建築材料、さらには漁船・プレジャーボート、航空機本体や翼のような大型製品にまで広く使われています。
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4-2高分子成形加工法多くの高分子製品は、フィルム・袋、繊維、シート、カップ・トレイなどの容器、管、板、部品などに成形加工されて使われます。
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4-3樹脂添加剤4-1で述べたようにプラスチック製品は、高分子だけから成っている訳ではありません。着色するために着色剤が加えられ、また発泡製品をつくるために発泡剤が加えられることは分かりやすい例です。
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4-4ゴム薬品4-5で説明しますが、ゴムの成形加工製品には加熱すると再度溶融するゴムと、加熱してももはや溶融も軟化もしないゴムがあります。
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4-5熱可塑性高分子、熱硬化性高分子すでに4-2で簡単に説明しましたが、高分子には熱可塑性高分子と熱硬化性高分子があります。
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4-6高分子材料に期待される特性第4章の冒頭で述べたように合成高分子が現在のように幅広く使われるようになったのは20世紀後半からです。人類は文明の始まる以前から天然高分子を大量に使ってきました。
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4-7強度金属、セメント、ガラス、セラミックス、木材、高分子製品など様々な材料の力学的性質を比較する場合、強度(つよさ)は最も基本となる指標です。
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4-8耐熱性、耐寒性4-2で説明しましたように高分子は、その熱挙動や分子構造から熱硬化性高分子と熱可塑性高分子に分類できます。
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4-9透明性物質に光が入った時に可視光すべてを吸収して熱に変換する場合には透明になりません。金属が不透明なのはこれに該当します。
第5章 主要な高分子材料の種類と特長
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5-1ポリエチレンポリエチレンは、世界においても、日本においても、最も生産量・消費量の多い高分子材料です。
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5-2ポリプロピレンポリプロピレンPPは、プロピレンCH2=CH-CH3というガス状炭化水素を重合した高分子です。
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5-3スチレン系樹脂スチレン系樹脂はスチレンC6H5-CH=CH2を主成分とするプラスチックです。主要なスチレン系樹脂にはポリスチレン、AS樹脂(SAN)、ABS樹脂があります。
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5-4ポリ塩化ビニルポリ塩化ビニルは塩化ビニルを主成分とするプラスチックです。塩化ビニル単独のポリマーが圧倒的に多くを占めますが、加工性や性能などを改善することを目的に酢酸ビニルやアクリロニトリルと共重合させたコポリマーも少量つくられています。
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5-5PET繊維・樹脂(A-PETも)ポリ塩化ビニルは塩化ビニルを主成分とするプラスチックです。塩化ビニル単独のポリマーが圧倒的に多くを占めますが、加工性や性能などを改善することを目的に酢酸ビニルやアクリロニトリルと共重合させたコポリマーも少量つくられています。
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5-6ナイロン繊維・樹脂ナイロンは1939年に最初の合成繊維としてアメリカのデュポン社によって工業化され、大成功を収めたので、合成繊維の王座をすでにポリエステル繊維に奪われたとは言え、現在でも合成繊維の代名詞になるほど有名です。
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5-7エンジニアリングプラスチック5-1から5-4で説明した汎用プラスチック(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル)は耐熱性がおおむね100℃以下であるのに対して、耐熱性が100℃以上で、しかも強度が高い熱可塑性プラスチックをエンジニアリングプラスチックと言います。
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5-8ポリウレタンポリウレタンはウレタン結合-NHCOO-をもつ高分子です。ウレタン結合はイソシアネート(-NCO)という非常に反応性の高い化合物群とアルコール(-OH)の反応によって生成します。
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5-9エポキシ樹脂エポキシ樹脂は、図に示すように高分子の両末端にエポキシ基をもつプレポリマーと硬化剤(ポリアミン、酸無水物、ポリアミドなど)を反応させて生成する網目状の分子構造をもつ熱硬化性高分子です。
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5-10アクリル樹脂(PMMA,アクリル繊維、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル)アクリル樹脂と呼ばれる高分子は、図に示す広義のアクリル系ポリマー全体を指すこともありますし、ポリアクリル酸エステルだけ、あるいはメタクリル樹脂だけを指すこともあります。
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5-11フッ素樹脂、ケイ素樹脂(含むシリコーンオイル)フッ素樹脂、ケイ素樹脂はともに1940年代前半に米国で工業化された古い高分子材料です。
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5-12汎用合成ゴムゴムはエラストマー(弾性体)とも呼ばれ、常温で著しく大きな弾性をもつ物質の総称です。
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5-13特殊合成ゴム特殊ゴムは、すべての非ジエン系ゴムとジエン系ゴムのうちブチルゴム(IIR)、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)が該当します。
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5-14その他の高分子材料(熱可塑性ゴム、スーパーエンプラ、機能性高分子)高分子材料には、今まで紹介した高分子以外にも多数あります。その中で、大くくりして重要なものを最後に3つ紹介します。