化学製品・高分子製品の基礎講座
3-9 殺菌剤・消毒剤・抗菌剤の特徴と分類
人間の目に見えない細菌、カビ、ウイルスなどは、食中毒や伝染病などの原因になる可能性があり、その対策は人類にとって長年の課題でした。明治20年に現在の花王を創業した長瀬富郎が「清潔な国民は栄える」を唱えた当時は、まさに切実な問題だったと考えられます。 対策の第一として清潔を保つための石けん、洗剤があります。また、細菌などが身体の中で繁殖して発病した場合には化学療法剤や抗生物質などの医薬品が開発されてきました。殺菌剤、消毒剤、抗菌剤は、その中間に位置する化学製品と言えましょう。 はじめに菌に対する用語について、日本石鹸洗剤工業会が整理しているので紹介します。
「菌」に関する用語の整理
用語 | 意味 | 備考 |
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滅菌 | すべての細菌やウイルスを死滅させ除去する | 除去対象になりえるのは器具のみ |
殺菌 | 細菌やウイルスを殺すが、その対象や程度には言及していない | この用語は「医薬品」「医薬部外品」に使える。 「雑貨品(洗剤、漂白剤)」には使えない |
消毒 | 病原性微生物を害のない程度まで減らしたり、 あるいは感染力を失わせるなどして、毒性を無力化させる |
生体、器具、住居等の環境など除去対象は広い |
除菌 | 物体や液体といった対象物や、限られた空間に 含まれる微生物の数を減らし、清浄度を高める |
洗浄やろ過などにより繁殖可能な菌数を減らすが、その程度には言及していない |
抗菌 | 菌の繁殖を防止するが、その対象や程度には言及していない | 菌を殺し、減少させるのではない |
減菌 | 菌の数を減少させるが、その対象や程度には言及していない |
滅菌がもっとも強い対処法です。化学製品による方法以外に高温や放射線などの物理的な方法もあります。生体細胞まで死滅するので、もちろん生体には使えず、医療器具などが滅菌する対象です。歯科医院などで「当院の器具は○○で消毒しています」という表示をみたことがあるかも知れません。 後で述べる高水準の殺菌消毒剤を使って滅菌してあることを説明しているのです。これに対して、殺菌という用語は単に菌を殺すという意味だけで、その程度は含まれません。消毒は害のない程度まで微生物の数を減らしたり、毒性を無力化させたりすることを言います。 しばしば殺菌という用語と一緒にして殺菌消毒と使われることもあります。これに対して、除菌、抗菌、減菌という用語はかなりあいまいです。抗菌には、菌を殺したり、減少させたりという意味はなく、あくまでも繁殖を防止するという程度の意味です。除菌や減菌は、普通の洗剤で洗うだけでも対象になりえます。
殺菌剤・消毒剤・抗菌剤には、次に示すように多くの種類の商品が開発され、販売されています。
殺菌、消毒、抗菌に関する主要な化学製品
化学製品 | 用途 | 商品分野 | 規制法 |
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殺菌剤 | 農作物の保護 | 農薬 | 農薬取締法 |
保存料、防腐剤、防黴剤 | 食品の保存 | 食品添加物 | 食品衛生法 |
防腐剤 | 化粧品の保存 | 化粧品原料 | 薬機法 |
外皮用殺菌消毒剤 | 外皮、傷口の消毒 | 医薬品 | 薬機法 |
防疫用殺菌消毒剤 | 感染防止 | 医薬品、医薬部外品 | 薬機法、感染症予防法、家畜伝染病予防法 |
殺藻殺菌剤 | 冷却水管理 | 水処理薬品 | |
木材保存剤 | シロアリ、木材腐朽菌からの木材防除 | 塗料の一種 | |
防黴剤、抗菌剤 | プラスチック上でのカビや菌の繁殖防止 | 樹脂添加剤 | |
洗浄除菌剤 | 手や調理器具等の除菌 | 洗剤 |
注)芽胞は熱や乾燥などに耐久性のある細胞形態で、適した環境条件になると発芽して増殖を開始
農薬の殺菌剤は3-1 農薬の特徴と分類 を参照してください。多様な病原性微生物がいるために、農薬の殺菌剤には非常にたくさんの種類があります。販売が認められているのは、農薬取締法(2-3 化学物質の効能と安全の両方を求める規制 参照)の登録を受けた商品だけです。
食品添加物の一種である保存料、防腐剤、防カビ剤についても、食品衛生法(2-2 有害化学物質の安全規制 参照)による厳しい規制がかかっています。安息香酸及びその塩、パラオキシ安息香酸エステル、ソルビン酸及びその塩、プロピオン酸カルシウム、デヒドロ酢酸ナトリウムなどが代表的な食品保存料です。 またポストハーベスト農薬としてチアペンタゾール(TBZ)やオルトフェニルフェノール(OPP)などが食品添加物として認められ、輸入バナナやかんきつ類(レモン、グレープフルーツなど)の防カビ剤として使われています。
化粧品の防腐剤、外皮用殺菌消毒剤、防疫用殺菌消毒剤は、いずれも医薬品医療機器等法(薬機法、2-3参照)の規制を受けている化学製品です。化粧品には細菌やカビの栄養となる成分が多く含まれています。一方、人間の皮膚には多数の細菌などが住み着いており、空中には常にカビの胞子が浮遊しています。 チューブ入りクリームを少量指に採った際には、指に付いていた細菌がチューブの口に残ったクリームに移り繁殖を開始します。また広口の容器に入った化粧品のフタを開けたらカビの胞子が落下しています。 カビや細菌の繁殖を防ぐには、すべての化粧品を1回限りの使用になるように小分けしなければなりませんが、それは包装材料という資源の無駄使いであり、また実行も不可能です。 このため多くの化粧品にはパラオキシ安息香酸エステル(パラベン)やフェノキシエタノールのような薬機法の化粧品基準で認められた化学物質が一定濃度以下という条件付きで使われています。その多くは食品衛生法の食品添加物としても認められた化学物質です。 防腐剤が肌に悪いという評判(誤解?)があるため、防腐剤を使っていないと謳っている化粧品も売られています。しかし、上記のような小分けでない限りは、ブチレングリコール(BG)などの抗菌効果のある保湿剤を多くの場合には使っています。 ただし、これらの抗菌効果は防腐剤ほど強くないために防腐剤よりは高濃度にならざるを得ないのが欠点です。
防疫用殺菌消毒剤は、医療従事者の消毒、医療用器具の殺菌消毒、病院内の殺菌消毒ばかりでなく、感染症が見つかった場合には患者の住居、立ち回り先などの消毒にも使われます。防疫用殺菌消毒剤は、殺菌消毒の強さによって次の表のように分類されます。
防疫用殺菌消毒剤の分類
分類 | 消毒レベル | 使用する化学物質の例 |
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高水準 | 滅菌 | エチレンオキサイド、グルタルアルデヒド、オルトフタルアルデヒド、過酢酸 |
中水準 | 芽胞以外のすべての微生物を殺滅 | 次亜塩素酸ソーダ、消毒用エタノール、イソプロパノール、クレゾール、ポピドンヨード |
低水準 | 多くの微生物を殺滅するが、結核菌などは殺滅できない | ベンザルコニウム塩酸塩、ベンゼトニウム塩酸塩、アルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩 |
高水準の殺菌消毒剤は芽胞も含めてすべての微生物を殺滅できます。しかし、使用条件が難しく、器具に腐食性があるものがあるため、すべてに使えるわけではありません。もちろん手指の消毒など生体に使えるものではありません。 中水準の殺菌消毒剤は、次亜塩素酸ソーダや消毒用エタノールなど比較的安価な化学物質があり、病院内の消毒などによく使われます。また低水準の殺菌消毒剤は、カチオン界面活性剤や両性界面活性剤(1-7 界面活性剤の用途と種類 参照)のものが多く、医療従事者の手指の消毒、病院内の消毒などによく使われます。
殺藻殺菌剤は冷却水管理に使われます。ビルなどの屋上に冷却塔をよく見かけます。温度の上がった冷却水を冷却塔内で上から降らせ、冷却水の一部を蒸発させて冷却水の温度を下げ、循環再利用します。しかし、菌や藻類が冷却塔内で繁殖し、スライムが付着して、 エネルギー効率を悪化させ、またその重みによって冷却塔を壊すばかりでなく、レジオネラ菌を含む飛沫感染問題を起こしかねません。このため、冷却水管理には有機硫黄系や有機ハロゲン系などの殺藻剤、次亜塩素酸ソーダ、過酸化水素などの殺菌剤が使われます。
木材保存剤は、木材腐朽菌ばかりでなく、シロアリの被害も防ぐ化学製品なので、厳密には殺菌消毒とは言えません。木造住宅の建築現場で木材保存剤が塗られて着色した材木を見かけたことがあると思います。主な成分は、ナフテン酸銅、ナフテン酸亜鉛、AAC剤(カチオン界面活性剤であるアルキルアンモニウム化合物)などです。
プラスチックやゴムは、意外にもその表面にカビが生えたり、細菌が繁殖したりします。風呂場の壁や天井、パテに黒カビが生えるのは困りものです。特にシリコーン樹脂、ポリウレタン、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、可塑剤を使っている塩化ビニル樹脂などのプラスチックは留意する必要があります。 このため塗料や接着剤には防カビ剤が使われています。また、冷蔵庫のゴムパッキンなどにも防カビ剤は使われています。プラスチック成形品にも成形加工時に防カビ剤や抗菌剤が加えられます。抗菌プラスチックは、掃除機、洗濯機、タッチパネル、携帯電話、空調フィルター、食品包装フィルム、電車の吊り輪などによく使われています。 防カビ剤の化学構造は複雑なものが多く、分類も難しい状況です。著名な商品名としては、バイナジン(OBPA)、プリベントール、チアベンダゾール(TBZ)などがあります。最近は銀イオンの抗菌効果に着目した銀系抗菌剤も広く使われています。とくにチオサルファイト銀錯体は200℃を超える耐熱性があるので多くのプラスチックに使われています。
最後に手や調理器具などを清浄に保つための洗剤としては、アニオン界面活性剤やノニオン界面活性剤(1-7 界面活性剤の用途と種類 参照)がよく使われます。一方、カチオン界面活性剤は殺菌や抗菌効果があります。しかしアニオン界面活性剤とカチオン界面活性剤を一緒にすると効果がなくなってしまいます。 これに対しては、カチオン界面活性剤とノニオン界面活性剤を配合した洗浄除菌剤があります。また、まな板のような調理器具には、アニオン界面活性剤やノニオン界面活性剤の洗剤で洗った後に次亜塩素酸ソーダのような塩素系漂白剤で消毒する方法がもっとも安価で確実かも知れません。
『化学製品・高分子製品の基礎講座』の目次
第1章 化学製品を理解するための基本
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1-1化学製品の構成モノタロウで販売している製品を化学の目から理解するための基礎講座です。
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1-2化学物質の名前化学製品の成分、すなわち化学物質の名前はカタカナが並んで訳がわからないと思っておられる方が多いと思います。
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1-3酸とアルカリ酸とアルカリは小学校、中学校、高校の理科で習っており、何を今さらと思われるかもしれません。
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1-4無機薬品の特徴と種類人工のものも含めると元素は110以上知られており、このうち安定に存在できる最大の元素は原子番号82、質量数208の鉛です。
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1-5有機薬品とモノマー医薬品、化粧品、洗剤、プラスチック製品など、私たちの身の回りにある化学製品の多くは有機化合物です。
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1-6有機溶剤の用途と種類有機溶剤の用途を表に整理して示します。まず化学物質を溶解するという、字義通りの用途自体にも様々な使い方がある上に、そのほかにも様々な用途があ
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1-7界面活性剤の用途と種類界面とは物質と物質の境のことです。気体と固体、気体と液体の境は、通常は固体や液体の表面と呼んでいますが、界面のひとつです。
第2章 化学製品の利用に当って留意すべき法規制
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2-1化学製品における事故防止関係の法規制化学製品には、燃えやすかったり、有毒であったりと、知らないで使うと危険な物質が使われていることがあります
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2-2有害化学物質の安全規制火を使うことによって人類は他の動物からの攻撃や寒さを防ぐことができるようになったばかりでなく、食生活はもちろん、道具づくりにおいても大きく進歩しました。
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2-3化学物質の効能と安全の両方を求める規制化学物質の安全規制法の中には、化学物質を使用するからには必要とする性能を確保し、なおかつ安全性を厳しく要求するものがあります。医薬品、農薬、肥料などへの規制です。
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2-4環境保全を目指す法規制環境保全対策には、身近な公害対策、ごみ処理、自然環境保護から、地球規模の環境対策まで様々なものがあります。
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2-5化学製品における表示規制商品の購買者に正しい商品情報、しかも最低限必要不可欠な内容を伝えるために、様々な法律によって表示規制が行われています。
第3章 化学製品の基本
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3-1農薬の特徴と分類様々な化学製品について、その製品を理解するための基本知識を説明します。
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3-2化学肥料の特徴と分類田畑では育てた農作物が持ち出されるため、植物に必要な養分の自然循環ができません。
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3-3洗剤の特徴と分類洗剤は、図のように家庭用、業務用、工業用に分けられます。
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3-4塗料の特徴と分類塗料は、ものの表面を覆うことによって表面を保護し、また美観を与える化学製品です。
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3-5接着剤の特徴と分類接着剤は、ものの表面にくっついて、ものとものとを接合させる化学製品です。
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3-6印刷用化学品の特徴と分類ヨーロッパの歴史において中世から近世への開幕の主役は、羅針盤、火薬、紙と印刷でした。
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3-7染料・顔料の特徴と分類染料も顔料も色を付けるために使われる化学製品です。
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3-8試薬の特徴と分類試薬とは文字どおり「試験研究用薬品」のことです。
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3-9殺菌剤・消毒剤・抗菌剤の特徴と分類人間の目に見えない細菌、カビ、ウイルスなどは、食中毒や伝染病などの原因になる可能性があり、その対策は人類にとって長年の課題でした。
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3-10香料・消臭剤・脱臭剤の特徴と分類空気中を漂ってきた化学物質の分子が鼻の奥の嗅粘膜に溶け込んで嗅細胞が電気信号を発し、これが脳に伝達されて「におい」を感じます。
第4章 高分子製品を理解するための基本
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4-1高分子製品の構成高分子は、包装材料、日用品雑貨、衣料などの身の回り品から器具・機械の部品、土木建築材料、さらには漁船・プレジャーボート、航空機本体や翼のような大型製品にまで広く使われています。
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4-2高分子成形加工法多くの高分子製品は、フィルム・袋、繊維、シート、カップ・トレイなどの容器、管、板、部品などに成形加工されて使われます。
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4-3樹脂添加剤4-1で述べたようにプラスチック製品は、高分子だけから成っている訳ではありません。着色するために着色剤が加えられ、また発泡製品をつくるために発泡剤が加えられることは分かりやすい例です。
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4-4ゴム薬品4-5で説明しますが、ゴムの成形加工製品には加熱すると再度溶融するゴムと、加熱してももはや溶融も軟化もしないゴムがあります。
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4-5熱可塑性高分子、熱硬化性高分子すでに4-2で簡単に説明しましたが、高分子には熱可塑性高分子と熱硬化性高分子があります。
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4-6高分子材料に期待される特性第4章の冒頭で述べたように合成高分子が現在のように幅広く使われるようになったのは20世紀後半からです。人類は文明の始まる以前から天然高分子を大量に使ってきました。
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4-7強度金属、セメント、ガラス、セラミックス、木材、高分子製品など様々な材料の力学的性質を比較する場合、強度(つよさ)は最も基本となる指標です。
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4-8耐熱性、耐寒性4-2で説明しましたように高分子は、その熱挙動や分子構造から熱硬化性高分子と熱可塑性高分子に分類できます。
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4-9透明性物質に光が入った時に可視光すべてを吸収して熱に変換する場合には透明になりません。金属が不透明なのはこれに該当します。
第5章 主要な高分子材料の種類と特長
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5-1ポリエチレンポリエチレンは、世界においても、日本においても、最も生産量・消費量の多い高分子材料です。
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5-2ポリプロピレンポリプロピレンPPは、プロピレンCH2=CH-CH3というガス状炭化水素を重合した高分子です。
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5-3スチレン系樹脂スチレン系樹脂はスチレンC6H5-CH=CH2を主成分とするプラスチックです。主要なスチレン系樹脂にはポリスチレン、AS樹脂(SAN)、ABS樹脂があります。
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5-4ポリ塩化ビニルポリ塩化ビニルは塩化ビニルを主成分とするプラスチックです。塩化ビニル単独のポリマーが圧倒的に多くを占めますが、加工性や性能などを改善することを目的に酢酸ビニルやアクリロニトリルと共重合させたコポリマーも少量つくられています。
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5-5PET繊維・樹脂(A-PETも)ポリ塩化ビニルは塩化ビニルを主成分とするプラスチックです。塩化ビニル単独のポリマーが圧倒的に多くを占めますが、加工性や性能などを改善することを目的に酢酸ビニルやアクリロニトリルと共重合させたコポリマーも少量つくられています。
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5-6ナイロン繊維・樹脂ナイロンは1939年に最初の合成繊維としてアメリカのデュポン社によって工業化され、大成功を収めたので、合成繊維の王座をすでにポリエステル繊維に奪われたとは言え、現在でも合成繊維の代名詞になるほど有名です。
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5-7エンジニアリングプラスチック5-1から5-4で説明した汎用プラスチック(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル)は耐熱性がおおむね100℃以下であるのに対して、耐熱性が100℃以上で、しかも強度が高い熱可塑性プラスチックをエンジニアリングプラスチックと言います。
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5-8ポリウレタンポリウレタンはウレタン結合-NHCOO-をもつ高分子です。ウレタン結合はイソシアネート(-NCO)という非常に反応性の高い化合物群とアルコール(-OH)の反応によって生成します。
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5-9エポキシ樹脂エポキシ樹脂は、図に示すように高分子の両末端にエポキシ基をもつプレポリマーと硬化剤(ポリアミン、酸無水物、ポリアミドなど)を反応させて生成する網目状の分子構造をもつ熱硬化性高分子です。
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5-10アクリル樹脂(PMMA,アクリル繊維、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル)アクリル樹脂と呼ばれる高分子は、図に示す広義のアクリル系ポリマー全体を指すこともありますし、ポリアクリル酸エステルだけ、あるいはメタクリル樹脂だけを指すこともあります。
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5-11フッ素樹脂、ケイ素樹脂(含むシリコーンオイル)フッ素樹脂、ケイ素樹脂はともに1940年代前半に米国で工業化された古い高分子材料です。
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5-12汎用合成ゴムゴムはエラストマー(弾性体)とも呼ばれ、常温で著しく大きな弾性をもつ物質の総称です。
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5-13特殊合成ゴム特殊ゴムは、すべての非ジエン系ゴムとジエン系ゴムのうちブチルゴム(IIR)、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)が該当します。
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5-14その他の高分子材料(熱可塑性ゴム、スーパーエンプラ、機能性高分子)高分子材料には、今まで紹介した高分子以外にも多数あります。その中で、大くくりして重要なものを最後に3つ紹介します。