工具の通販モノタロウ バイト 切削工具の基礎講座 バイトの構造(チップとボデーの結合方法の種類)

切削工具の基礎講座

ものづくりに欠かせない「切削工具」。切削工具にはどのような種類があるのか?購入する時に気を付けることは?使い方は? 本連載では、切削工具の正しい知識について、ご紹介していきます。
第3章 旋盤用の切削工具

3-3 バイトの構造(チップとボデーの結合方法の種類)

バイトはチップがボデーの先端に結合された構造をしており、チップとボデーの結合方法にはいくつかの種類があります。以下に代表的な結合方法について解説します。

現在最も使用されているのが、チップとボデーを「ねじ」などの機械的仕組みで結合できる構造のバイトで、このようなバイトを「クランプバイト、またはスローアウェイバイト」といいます。クランプバイトに使用するチップは購入したら、そのままボデーに取り付ければ使用できるため初心者にも使い勝手のよいバイトといえます。チップが欠けたり、摩耗した場合にも簡単にチップを交換できるので手軽です。文房具のカッターは刃先が摩耗した場合、刃を折って新しい刃を生み出すので、クランプバイトの構造はカッターに似ているといえます。

 

  • クランプバイト
  • クランプバイト
  • ねじしめ
  • ねじしめ

 

次に、チップをボデーにろう付け(溶接)した構造のバイトを「付刃(つけは)バイト、またはろう付けバイト」といいます。「付け刃バイト」は購入してそのまま使用できず、チップをグラインダで成形してから使用します。このため、「付け刃バイト」はクランプバイトでは削ることができない特殊な形状を削りたいときなどには、形状に合わせてチップを成形できるので便利ですが、初心者はグラインダでチップを成形することが困難なため、使い勝手は良くないといえます。また、チップをボデーから取り外したい場合には、バイトを電気炉に入れるか、ボデーをガス溶接などで高温にして、チップとボデーの溶接部を剥がすことになるため、この点も不便といえます。

 

  • ろう付けバイト
  • ろう付けバイト
  • 付刃バイト
  • 付刃バイト

そして、ボデー全体が刃部として使用できる構造のバイトを「むくバイト、または完成バイト」といいます。むくバイトは例えるなら、両端を削った鉛筆のように、どこでも刃部として使用できます。ただし、「むくバイト」も付け刃バイトと同様に、刃の形状を自由に成形できるのでクランプバイトでは削ることができない特殊な形状を削るときに重宝しますが、グラインダで成形する必要があるため初心者には使い勝手がよいとはいえません。

完成バイト

完成バイト

そのほか、小片の「むくバイト」をホルダに取り付けて使用する「差し込みバイト」もあります。「差し込みバイト」は短くなった鉛筆にキャップを取り付けて使用するのと考え方は同じです。「差し込みバイト」に取り付ける刃を一般に「ブレード(またはインサートブレード)」と呼びます。

執筆: 芝浦工業大学 デザイン工学部 デザイン工学科 澤 武一 准教授

『切削工具の基礎講座』の目次

第1章 切削工具とは?

第2章 穴あけ加工と穴仕上げ加工

第3章 旋盤用の切削工具

第4章 フライス加工用の切削工具

第5章 研削砥石

第6章 特徴的な切削工具

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