工具の通販モノタロウ マシニングセンタの基礎講座 マシニングセンタの基本的な構造

マシニングセンタの基礎講座

モノタロウの本連載では、マシニングセンタの種類や仕組み、使い方について、実践的で役立つ知識をご紹介していきます。
第1章 マシニングセンタの基礎知識

1-3 マシニングセンタの基本的な構造

基本構造と各部の名称

私たちの人間は体幹を鍛えることによって運動能力を高めることができます。また、身体検査でレントゲンや内視鏡を使って身体の内部を知ることによって健康状態を知ること(予防や予知、治療)ができます。何事も同じですが、仕組みを知ることが大切です。

マシニングセンタも機械全体がカバー(スプラッシュガードといいます)で覆われており、内部構造を見ることはできませんが、内部構造を熟知することにより、故障することなく、長い期間使用することができ、マシニングセンタが持つ最大の能力を引き出すことができます(使いこなすことができます)。

ここでは、「横形マシニングセンタ」と「立て形マシニングセンタ」を例に内部構造について解説します。内部構造の違いにも注目して見てください。

 

【1】横形マシニングセンタ

横形マシニングセンタの内部構造
横形マシニングセンタの内部構造

最も下に位置する構造部品は「ベッド」です。「ベッド」は本体を支える土台の役割を担います。ベッドの上に載っているのが「サドル」です。「サドル」は「ベッド」上を図中左右方向に運動します。乗馬の際、馬の背をまたぐように載せる馬具を「鞍(くら)」といい、鞍を英訳するとサドルです。また、自転車の両足でたまぎ、お尻を載せる部品を「サドル」といいます。サドルはまたがって載る箇所に使われる総称です

「サドル」の上に載っているのが「テーブル」です。「テーブル」は工作物を取り付ける場所で、サドル上を図中前後方向に運動します。

 

【2】立て形マシニングセンタ

立て形マシニングセンタの内部構造
立て形マシニングセンタの内部構造

最も下に位置する構造部品は「ベッド」です。「ベッド」には案内面が加工されており、「テーブル」が載っています。ベッドの上に直接テーブルを載せることにより、重量物にも堪える構造になります。「テーブル」は図中前後方向に運動します。

縦方向に伸びる部品が「コラム」です。「コラム」はベッドに結合され、背骨(支柱)の役割を担います。コラムの前面に位置するのが「サドル」です。「サドル」を頑丈にすることにより切削時の振動を受け止めることができます。「サドル」は図中左右方向に運動します。

「サドル」に取り付けられているのが「ラム」です。「ラム」は主軸頭を図中上下方向に案内する役割をします。

マシニングセンタは刃物と工作物の相対運動によって形状を創製しますので、相対運動を精度良く行うことが、良品をつくる基本となります。

 

ここで示す構造は基本構造の一例で、製造メーカや型式により構造は異なります。

 

執筆: 芝浦工業大学 デザイン工学部 デザイン工学科 澤 武一 教授

『マシニングセンタの基礎講座』の目次

第1章 マシニングセンタの基礎知識

第2章 マシニングセンタの装備

第3章 マシニングセンタを動かすソフトウエア

第4章 マシニングセンタの要素技術

第5章 マシニングセンタの特性と関連知識

第6章 マシニングセンタを使用する際の基礎知識

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