工具の通販モノタロウ マシニングセンタの基礎講座 NCプログラム(機械原点とワーク原点)

マシニングセンタの基礎講座

モノタロウの本連載では、マシニングセンタの種類や仕組み、使い方について、実践的で役立つ知識をご紹介していきます。
第3章 マシニングセンタを動かすソフトウエア

3-2 NCプログラム(機械原点とワーク原点)

マシニングセンタを自動で動かすためにはNCプログラムを作成する必要があります。NCプログラムは主軸やテーブルの動きを座標系(座標値)で指令しますが、座標系の中心である原点を決めなければいけません。

マシニングセンタは機械固有の座標系を持っています。この座標系を「機械座標系」といい、機械座標系の原点を「機械原点」といいます。

機械原点

通常、立て形マシニングセンタの機械原点は各軸のプラス方向のストロークエンドに設定され、横軸マシニングセンタの機械原点はY軸とZ軸はプラス方向のストロークエンドに、X軸はストロークの中央にそれぞれ設定されています。機械原点は原点復帰(G28)指令した際、各軸が停止する位置です。

NCプログラム(ツールパス:切削工具の移動経路)は図面の形状に倣って作成しますが、このとき、機械原点を基準に座標値を考えるとわかりにくいため、作業者が都合の良い任意の位置を座標系の原点に設定することができます。この座標系を「ワーク座標系」といい、ワーク座標系の原点を「ワーク原点」といいます。制御装置によっては「絶対座標」という場合もあります。

ワーク原点

ワーク原点は通常、工作物上面の中心または角などツールパスの座標値を考えやすい位置に設定します。ワーク原点はNCプログラムを作成するための原点ですので「プログラム原点、加工原点」ともういわれます。

ワーク原点(ワーク座標系)はG54~G59で設定でき、最大6個つくることができます。テーブル上に複数の工作物を設置し、各工作物にワーク原点をつくることによって1つのプログラムで同じ形状の加工を行うことや、複数のプログラムを使用することによって異なる形状の加工を、工作物を取り替えることなく行うことができます。

機械原点は製造メーカが決めた既定の原点(ゼロ点)、ワーク原点はユーザが都合の良い位置に任意に設定できる原点(ゼロ点)です。

主軸の座標の基準点は主軸頭のゲージ面(テーパゲージライン)の中心です。つまり、テーパゲージラインの中心でNCプログラムを作成する(ツールパスを描く)ということです。

テーパゲージラインが座標の基準

 

執筆: 芝浦工業大学 デザイン工学部 デザイン工学科 澤 武一 教授

『マシニングセンタの基礎講座』の目次

第1章 マシニングセンタの基礎知識

第2章 マシニングセンタの装備

第3章 マシニングセンタを動かすソフトウエア

第4章 マシニングセンタの要素技術

第5章 マシニングセンタの特性と関連知識

第6章 マシニングセンタを使用する際の基礎知識

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