工具の通販モノタロウ マシニングセンタの基礎講座 直線軸とは?(右手の法則その1)

マシニングセンタの基礎講座

モノタロウの本連載では、マシニングセンタの種類や仕組み、使い方について、実践的で役立つ知識をご紹介していきます。
第1章 マシニングセンタの基礎知識

1-5 直線軸とは?(右手の法則その1)

マシニングセンタは切削工具(主軸)や工作物の位置を座標値(NCプログラム)で指令して操作するため、マシニングセンタを操作する場合には座標値の軸となる座標系について知っておかなければいけません。

マシニングセンタの直線運動軸はX軸、Y軸、Z軸の3軸です。

立て形マシニングセンタや5軸マシニングセンタは機械本体を正面から見た場合、左右がX軸、前後がY軸、上下がZ軸です。

横形マシニングセンタは機械本体を主軸に対向して見た場合、左右がX軸、前後がZ軸、上下がY軸です。

工作機械は例外なく、主軸を貫通する軸が「Z軸」になります。

各軸にはプラス方向、マイナス方向があり、この方向は「右手の法則(その1)」に従います。図のように右手をつくり、主軸頭の上で、親指をX軸、人指し指をY軸、中指をZ軸に沿わせます。このとき、各指の指先が向く方向がプラス方向、逆方向がマイナス方向になります。工作機械は主軸頭の動きを基準にプラス方向、マイナス方向を考えます。

ここで注意すべきことがあります。マシニングセンタの中には主軸頭が固定され、3軸ともテーブルが動くものや、Z軸(1軸)だけは主軸頭が動き、X軸とY軸(2軸)はテーブルが動くものなど、製造メーカや型式によって直線運動する対象物が異なります。

たとえば、主軸頭は完全に固定され、3軸ともテーブルが動く立て形マシニングセンタでは、各軸のプラス方向とマイナス方向が右手の法則と逆になります。X軸(左右方向)を例に説明すると、テーブルが図中左に運動すれば、相対的に主軸が右に移動したことになり、テーブルが図中右に運動すれば、相対的に主軸が左に移動したことになるためです。同様に、Y軸(前後方向)の場合も、テーブルが図中後方に移動すれば、相対的に主軸が前方に移動したことになります。Z軸も同じです。

このように、座標系の向き(プラス方向、マイナス方向)は主軸頭が動くことを前提に考えますが、主軸頭が固定され、テーブルが動く場合には座標系の向き(プラス方向、マイナス方向)が逆になります。主軸頭とテーブルのどちらが駆動するかで、座標系の方向が変わるため慣れないうちはわかりにくくいですが、慣れるとそれほど気にならなくなります。

Z軸は切削工具が工作物に食い込む向きがマイナス方向になるという考え方をするとよいでしょう。

 

立て形マシニングセンタの直線軸

立て形マシニングセンタの直線軸

 

横形マシニングセンタの直線軸

横形マシニングセンタの直線軸

 

執筆: 芝浦工業大学 デザイン工学部 デザイン工学科 澤 武一 教授

『マシニングセンタの基礎講座』の目次

第1章 マシニングセンタの基礎知識

第2章 マシニングセンタの装備

第3章 マシニングセンタを動かすソフトウエア

第4章 マシニングセンタの要素技術

第5章 マシニングセンタの特性と関連知識

第6章 マシニングセンタを使用する際の基礎知識

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