工具の通販モノタロウ マシニングセンタの基礎講座 ツーリング(シャンクの種類:BT、BBT、HSK、CAPTO)

マシニングセンタの基礎講座

モノタロウの本連載では、マシニングセンタの種類や仕組み、使い方について、実践的で役立つ知識をご紹介していきます。
第2章 マシニングセンタの装備

2-6 ツーリング(シャンクの種類:BT、BBT、HSK、CAPTO)

正面フライスやエンドミル、ドリルなど切削工具は工作機械(マシニングセンタ)の主軸に直接取り付けることはできず、ツーリングを介して主軸に取り付け付けます。ツーリングの保持力(締め付けトルク、保持トルク、引き抜き力)、取り付け精度(振れ精度)、剛性(曲げ剛性、ねじり剛性)は加工精度に影響するため、ツーリングは特徴を理解し、目的に合わせて適正なものを選択する必要があります。ツーリングのシャンク形状には主として(1)BT、(2)BBT、(3)HSK、(4)CAPTOの4種類があります。

BTシャンク

主軸と接触する箇所が7/24の(軸方向24mmに対して直径が7mm小さくなる)テーパ形状のシャンクです。BTシャンクは主軸に取り付ける側の端部に「プルスタッド」と言われる突起を取り付け、主軸がプルスタッドを引き込むことにより、シャンクと主軸のテーパが密着して保持される仕組みです。

BTシャンク


BBTシャンク

BBTシャンクはBTシャンクを改良したものです。BTシャンクはテーパだけが主軸と接触しているためZ軸方向の加工精度誤差が発生するというトラブルがありました。そこで、ホルダのツバ(フランジの端面)と主軸の端面を接触させて締結剛性を高め、主軸の食い込みを抑制するシャンクが開発されました。このシャンクが「BBTシャンク」です。

 


BTとBBTの違い

BTとBBTの違いBTとBBTの違い


HSKシャンク

シャンクの長さが短く、軽量であるためATC(自動工具交換)の交換時間が短いこと、テーパが1/10と小さいため繰り返しの位置決め精度が高いことが特徴です。主軸を高速に回転させると主軸に取り付けた切削工具やツールホルダには遠心力が作用するためバランスがよく軽量でなければいけません。回転数を高回転に設定する高速切削技術が進むドイツでホルダの全長が短く、中空な構造の高速回転用のシャンクが開発されました。これが「HSKシャンク」です。

HSKシャンク


CAPTOシャンク

テーパが1/20で、シャンクを上から見ると、三角形のおにぎりに似た形状(ポリゴン形状)をしています。CAPTOシャンクは独特のポリゴン形状によって曲げ剛性、ねじり剛性、トルク伝達が高く、重切削に耐えられます。CAPTOシャンクはスウェーデンのサンドビック(Sandvik)社によって開発されたのもので、複合加工機に多く採用されています。また、マシニングセンタとターニングセンタでシャンクを共有にすることで工具コストを低減できることに加え、段取り時間の短縮にもなり生産性の向上が図れます。

CAPTOシャンク

執筆: 芝浦工業大学 デザイン工学部 デザイン工学科 澤 武一 教授

『マシニングセンタの基礎講座』の目次

第1章 マシニングセンタの基礎知識

第2章 マシニングセンタの装備

第3章 マシニングセンタを動かすソフトウエア

第4章 マシニングセンタの要素技術

第5章 マシニングセンタの特性と関連知識

第6章 マシニングセンタを使用する際の基礎知識

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