工具の通販モノタロウ マシニングセンタの基礎講座 ツーリング(ホルダの種類)

マシニングセンタの基礎講座

モノタロウの本連載では、マシニングセンタの種類や仕組み、使い方について、実践的で役立つ知識をご紹介していきます。
第2章 マシニングセンタの装備

2-7 ツーリング(ホルダの種類)

ツーリングは主軸と切削工具を繋ぐインタフェイスですから、マシニングセンタの主軸との締結剛性、切削工具との締結剛性の両方が大切です。前者は主としてツーリングのシャンク形状が影響し、後者はツーリングと切削工具の結合方法が影響します。ツーリングと切削工具の締結剛性が低いと、切削抵抗によってびびりが発生し、加工精度が悪く、工具寿命も短くなります。

ツーリングと切削工具の結合方法の種類には主として、(1)コレットチャック、(2)ミーリングチャック、(3)油圧チャック、(4)サイドロックホルダ、(5)焼きばめホルダがあります。

コレットチャック

コレットチャック

すりわりによって切削工具のシャンクを保持するチャックです。保持力や取り付け精度はテーパの角度、コレットの縮み代によって変わりますが、コレットとシャンクが全周にわたって面であたり、接触長さが長く、他のチャックに比べて取り付け精度が高いことが特徴です。ただし、他のチャックに比べて保持力は低いです。

 

ミーリングチャック

ミーリングチャック

ニードルベアリング(細い棒状のローラ)で切削工具のシャンクを締め付けるチャックです。エンドミルの外径に合ったストレートコレットを介して取り付けるので、ストレートコレットを変えることで多種の外径を把握できるため汎用性が高く、生産現場で多用されています。ミーリングチャックは把握力が高いですが、曲げ剛性が弱いです。ロールチャックといわれることもあります。

 

油圧チャック

油圧チャック

ホルダ内部に組み込まれた油圧機構によって切削工具を保持するチャックです。取り付け精度、剛性、保持力が高く、高精度な加工に適しています。ただし、油の温度変化や寿命が短いなど多少取り扱いが難しいのが欠点です。ハイドロチャックといわれることもあります。

 

サイドロックホルダ

サイドロックホルダ

切削工具のストレートシャンクに設けられた平坦部にホルダの側面から挿入したねじによって保持するチャックです。平坦部をねじで拘束するため保持力が強く、大径の切削工具に適していますが、ホルダと切削工具はねじによる点接触に近いため、剛性が低く、びびりが発生する場合があります。

 

焼きばめホルダ

焼きばめホルダ

保持部を加熱し、熱膨張させた取り付け穴に切削工具のシャンクを挿入し、その後、ホルダを冷却・収縮させて保持する仕組みです。取り付け精度、剛性、保持力が高く、高精度加工に適しています。ただし、チャックの加熱・冷却に多少時間が掛かります。

執筆: 芝浦工業大学 デザイン工学部 デザイン工学科 澤 武一 教授

『マシニングセンタの基礎講座』の目次

第1章 マシニングセンタの基礎知識

第2章 マシニングセンタの装備

第3章 マシニングセンタを動かすソフトウエア

第4章 マシニングセンタの要素技術

第5章 マシニングセンタの特性と関連知識

第6章 マシニングセンタを使用する際の基礎知識

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