工具の通販モノタロウ 建築設備配管工事の基礎講座 炭素鋼鋼管(SGP)のメカニカル接合法

建築設備配管工事の基礎講座

空調設備や換気設備、給排水衛生設備の血管となる「配管」。本連載では、配管方式の分類から配管工事・配管材料の種類まで、現場や商品選定時に役立つ知識を紹介していきます。
第3章 配管の接合方法の種類

3-3 炭素鋼鋼管(SGP)のメカニカル接合法

 「メカニカル接合法」は、別名:「機械的接合法」とも呼ばれている。筆者の偏見かもしれないが、前項・前々項の「ねじ接合法」や後述の「溶接接合法」と比べると、技術的に比較的簡単な接合法と思われる。換言すると、この接合法の習得には、それほど「熟練度」を必要としないということである。この接合方法は、「ハウジング管継手」という管継手を利用して管接合を行う方法である。

図-1 ハウジング継手の形状の一例

なお、メカニカル継手の代表格は、「ハウジング管継手」であるが、それ以外にも継手メーカーにより様々な品揃えがある。たとえば、下記に紹介するような、「MD継手」・「カップリング継手」・「NO-HUB継手」などがある。

1.MD継手

この継手は、切断した管を「バリ取り(豆知識参照)」後そのまま継手に挿入し、「フランジ金具」を「MD継手」に締め付けて、管接合を行うものである。

図-2 MD継手と接合イメージ

【豆知識】バリとバリ取り(管材切断時共通事項)

配管工達の間では、“バリ”とか“バリ取り”という用語が今でもよく使用されている。

この日本語らしくない“バリ”とは一体何でしょうか?

“バリ”とは、配管材料を切断機で直角に切断した際に、配管材料の内面に生じた“管端のめくれ(ささくれ)”を意味する。どういう経緯でこの“バリ”という用語が定着したか不明であるが、そのルーツはなんと英語なのである。“バリ”は英語で“bur(r)”と綴り、“栗やごぼうの実の毬(いが)”のことを意味する。これから転じて、配管の切断時に管材の内面生じた“ささくれ”を“バリ”、その“ささくれ”を取り除く作業を“バリ取り”といい、日本の配管工事業界に残ったものと思われる。

なお、“バリ取り作業”は、通常リーマ工具(leamer)を使用して行うが、「切削ねじ切り機」を利用して「リーマ作業」を行う場合もある。ただし、この方法は「内面ライニング鋼管」に適用してはいけません。その理由は、下の挿絵に示すように、「ライニング層」が薄くなり、管が腐食しやすくなるからである。

図-3 バリ取り作業と注意事項

2.カップリング継手

カップリング継手もMD継手と同様に、切断した管をバリ取りを行った後そのまま継手に挿入し、カップリング継手のボルトを締め込むことにより簡単に管接合を行うものである。

3.NO-HUB継手

排水管の改修工事では、NO-HUB継手が、使用圧力:0.3MPa以下の排水管で使用されるが、米国・韓国・ヨーロッパなどで使用されている継手である

ちなみに、メカニカル接合法の一般的な「施工手順」を示すと下記のようになる。

(1)管の切断:切削ねじ接合法に準じる。

(2)管端加工:本接合法では、管端に「ねじ加工」を施す代わりに、「グルーバ(転造溝切り機)」により、「グルービング加工(転造溝加工)」を施し管接合を行う。

グルービング加工が完了したら、「溝ゲージ」で溝の加工深さが十分であるかどうかの検査を実施する。

図-4 グルーバとグルーブ加工された管端

(3)管接合:管の両管端を「ハウジング継手」で覆い組み込み、ボルト・ナットで緊結する。

執筆:NAコンサルタント 安藤紀雄
挿絵:瀬谷昌男
  

『建築設備配管工事の基礎講座』の目次

    

第1章 建築設備と建築設備配管

第2章 建築設備用配管材料の種類

第3章 配管の接合方法の種類

第4章 配管工事を支える補助部材

第5章 配管のテストと試運転

第6章 配管に関するトラブル対応

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