建築設備配管工事の基礎講座

空調設備や換気設備、給排水衛生設備の血管となる「配管」。本連載では、配管方式の分類から配管工事・配管材料の種類まで、現場や商品選定時に役立つ知識を紹介していきます。
第3章 配管の接合方法の種類

3-15 ポリブテン管の接合法

1997年(平成9年)9月に、水道用ポリブテン管(JIS K 6792)・水道用ポリブテン管継手(JIS K 6793)が制定された。これにより、0.75MPa以下の水道用配管材料として、「直結給水部分」などへの使用が可能になり、「ポリブテン管の使用範囲」は更に広がった。ちなみに、ポリブテン(PB)管の接合法には、「ポリエチレン管(PE)」や「架橋ポリエチレン管(PEX)」と同様に、以下の3方式がある。

(1)熱融着式継手(H種継手)接合(図-1参照)

この接合方式は、「ポリブテン樹脂」で成形された管と管継手をヒータを用いて、「加熱溶融」・「挿入圧縮」し、一体化させる継手を使用する接合法である。

「ポリブテン樹脂」を含む「熱可塑性樹脂」は、加熱溶融・冷却固定化の工程を繰り返すことが可能であり、熱融着接合は「熱可塑性樹脂」のこのような特性を利用して、「剛性樹脂」で成形された管と管継手を、ヒータを用いて溶融・挿入圧入し、一体かさせる接合法である。

JISでは「差込み接合継手」が呼び径:13A~100Aで規格化されている。融着作業前に、ヒータ表面に汚れがないことを予め確認した後、「熱融着ヒータフェイス」を270℃±10℃に加熱し、その表面温度を「表面温度計」で確認する。「融着ヒータ」に管および管継手を挿入し、規定時間(秒)加熱保持し、両者を融合させる。

加熱時間経過後、管と管継手を速やかに「熱融着ヒータ」から外して、5秒以内圧入しそのまま30秒以上圧着保持する。その後、水を含ませたウエスで3分以上、圧着部を冷却し、全周に「ビード」が出ていることを確認する。

「加熱ヒータ表面」は、各融着作業ごとに必ず「清潔なウエス」または「ペーパータオル」などで清掃すること。また、接合部は冷却後、30分以上「自然養生」すること。

図-1 H種継手の溶融接合法

 

(2)電気融着式継手(E種継手)接合(図-2参照)

この接合方式は、継手自体に電熱線などの「発熱体」を組み込んだ「融着接合可能な継手(E種継手)」を用いた接合法である。通電方式により、「A形(定電流方式)」と「B形(定電圧方式)」に分類される。接合要領は、管切断後「専用スクレーパ」を用い管の外面を切削する。「アルコール」や「アセトン」などを含ませた、「清浄なウエス」や「ペーパータオル」などで管継手受口と管差し口の汚れや油脂分を除去する。規定の差し込み長さを管端から測り、その位置に「油性ペン」で全周に標線記入する。

管を管継手に標線まで挿入する。コントローラを準備して、100V電源にセットし、スタートスイッチを「スタート(ON)」にする。コントローラから出ている「コネクターケーブル管継手」の端子にセットする。その際、管継手の端子が金属品に触れたり、「コネクターケーブル」でひっぱらないように注意して接続する。この時、パネル上の通電時間が、接合する管継手と一致しているかどうかを確認する。スタートボタンを押すと「運転(RUN)ランプ」が点灯し、タイマーが逆カウントを始め融着が始まる。融着が完了すると、通電は自動的に停止し、「終了(END)ランプ」が点灯する。この時、管継手の「インジケータ部」から樹脂の盛り上がっていることを確認する。

図-2 E種継手接合法

 

(3)メカニカル継手(M種継手)接合(図-3参照)

継手に管を差込み、ナット・バンド・スリーブなどを締め付け、「脱管防止」および「水密性」を確保する継手、または「Oリング」などを使用することによって、水密性を確保する接合法である。まず、管差し口に有害な傷がないかどうかの確認を行い、乾いたウエスを用いて清掃する。規定の長さを管端より測り、その位置に「油性ペイント」で標線を記入する。本体をスパナで固定し、リングが袋ナット端部から1mm突出するまで締め付ける。この時、管が抜けないように注意すること!

図-3 M種継手接合の一例

 

執筆:NAコンサルタント 安藤紀雄
挿絵:瀬谷昌男
  

『建築設備配管工事の基礎講座』の目次

    

第1章 建築設備と建築設備配管

第2章 建築設備用配管材料の種類

第3章 配管の接合方法の種類

第4章 配管工事を支える補助部材

第5章 配管のテストと試運転

第6章 配管に関するトラブル対応

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