工具の通販モノタロウ 配管・水廻り設備部材 建築設備配管工事の基礎講座 内面塩ビライニング鋼管:ねじ配管接合法

建築設備配管工事の基礎講座

空調設備や換気設備、給排水衛生設備の血管となる「配管」。本連載では、配管方式の分類から配管工事・配管材料の種類まで、現場や商品選定時に役立つ知識を紹介していきます。
第3章 配管の接合方法の種類

3-10 内面塩ビライニング鋼管:ねじ配管接合法

代表的な「内面ライニング鋼管」には、「水道用硬質塩ビライニング鋼管(JWWA K 116)(以降塩ビライニング鋼管と称す)」と「水道用ポリエチレン粉体ライニング鋼管」があるが、本項および次項では、「内面塩ビライニング鋼管」の「ねじ接合法」および「溶接接合法」についてのみ紹介する。 そもそも、「塩ビライニング鋼管」は、1968年(昭和43年)に当時の「日本住宅公団」が、給水管用に使いはじめ、1972年(昭和47年)には、「日本水道鋼管協会規格(JWWA)」が制定されて、給水管として一般に使用されるようになった。 しかしながら、直管部は内面が「塩ビライニング」されているものの、管の端部は「鉄部」が露出したままの状態であり、さらにねじ部は腐食されやすい状態になっているため、当初は「管端防食コア」という「樹脂製の保護部品」を配管に挿入して、配管接合を行っていた。 その上、「管端防食コア」の挿入を忘れたり、止水が十分でなかったりして、接合継手箇所に「集中腐食(錆)」が発生した。

このために、継手に「防食コア」を取り付けた「管端防食継手」が1980年(昭和55年)に発売されるようになり、現在では「管端防食継手」や「管端防食コア付きバルブ」を使用するようになってきている。

したがって、1970年代以降に建てられた建物で、給水管から「赤水」がでるのは、ほとんど上述のように「管端の処理」が不十分な場合なのである。

(1)「管端防食継手」の種類:継手メーカによって現在4種類の管端防食継手があるが、その代表的なものを図-1に示しておく。

図-1 管端防食継手の一例

 

(2)塩ビライニング鋼管用管端防食バルブの使用:バルブに接続するにあたっては、防食目的で、必ず「管端防食ねじ込み型バルブ」を使用すること!

(3)塩ビライニング鋼管の保管・取扱い・運搬等

  • 1.保管場所・保管方法:第2章2-8 硬質ポリ塩化ビニル管(VP管)の保管上の注意事項に準ずる。
  • 2.高熱に注意:高熱にさらされるとライニング管の「樹脂被覆層」が変質する恐れがあるので、火(トーチランプ・たき火)などを絶対近づけたりしないこと!
  • 3.運搬・取り扱い等:塩ビライニング管内に棒などを挿入して運搬しないこと!かならず「ナイロンスリング」や「クッション材」などを使用し、塩ビライニング鋼管の内外面に損傷を与えないように注意すること!万一、塩ビライニング鋼管を落下させ「異常なショック」を与えてしまった場合には、その内面の状態を再確認してから使用する必要がある。また、管が変形してしまった場合には、その部分を必ず「切断除去」した上で使用すること!

図-2 管取扱い・運搬上の留意事項

 

(4)塩ビライニング鋼管のねじ配管接合法

  • 1.塩ビライニング鋼管の切断:管軸に垂直に切断することは、他の管材と共通であるが、この管材の切断で特に注意してほしいのは、切断部に「高温を生じさせる作業」を絶対に行わないこと!例えば、「ねじ切り機搭載型押切りカッタ―」は、絶対に使用しないこと!換言すると、「バンドソー」または「メタルソー」などの管切断機を使用して管切断すること!
  • 2.塩ビライニング鋼管の内面バリ取り作業:管切断作業が終了したら、「ライニング管用リーマ」または「スクレーパ(scraper)」で、管内面バリ取り作業を実施する。ただし、この場合もねじ切り機による「リーマ作業」は絶対に行わないこと! バリ取り作業が終了したら、「管端紡織継手」に接続するために、塩ビ管肉厚の1/2 ~2/3程度の「面取り作業」を実施すること!

図-3 スクレーパによる管切断面のバリ取り・面取り作業

  • 3.塩ビライニング鋼管のねじ加工:管の外面樹脂被覆を傷つけない「治工具(チャック 爪・チェーザ)」を使用して、不良ねじ:「多角ねじ」・「山やせねじ」・「山掛けねじ」等のない、正常な「ねじ切り作業」を行うこと。
  • 4.塩ビライニング鋼管のねじ加工検査とねじ込み作業:鋼管(SGP)の切削ねじの場合に準ずる。

【豆知識】内面ライニング鋼管の「転造ねじ接合法」への適応

転造ねじ接合に、「ポリ粉体ライニング鋼管」は採用できるが、管の構造上「塩ビライニング鋼管」には採用できない。

 

執筆:NAコンサルタント 安藤紀雄
挿絵:瀬谷昌男
  

『建築設備配管工事の基礎講座』の目次

    

第1章 建築設備と建築設備配管

第2章 建築設備用配管材料の種類

第3章 配管の接合方法の種類

第4章 配管工事を支える補助部材

第5章 配管のテストと試運転

第6章 配管に関するトラブル対応

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