工具の通販モノタロウ 建築設備配管工事の基礎講座 冷媒用銅配管(JIS B 8607)の接合法

建築設備配管工事の基礎講座

空調設備や換気設備、給排水衛生設備の血管となる「配管」。本連載では、配管方式の分類から配管工事・配管材料の種類まで、現場や商品選定時に役立つ知識を紹介していきます。
第3章 配管の接合方法の種類

3-8 冷媒用銅配管(JIS B 8607)の接合法

ここでいう「冷媒用配管」とは、「ビルマルチ空調方式」に使用される冷媒配管のことである。「ビルマルチエアコン」が日本で開発され1982年(昭和57年)に登場以来、すでに40年近くが経過しようとしている。

図-1 ビルマルチ空調方式

その使用冷媒も、「ODP(オゾン破壊係数)=0」を主目的とし、衆知のようにR22⇒R407C⇒R410Aという変遷をたどり、最近ではD社が先陣を切って採用した「R32」にとって替られとしている。さらに、今後はターゲットが、「GDP(地球温暖化係数)」のより低い冷媒の開発・研究が、2018年を目標年度として始まっている。

いずれにしても、前項で紹介した「一般設備用銅配管」に比べて、はるかに高い「耐圧性(注)」を要求されているので、この面での格段の配慮が不可欠である。注:開発当初のビルマルチエアコンに搭載されていた冷媒:R22の使用試験圧力が「約  2.5MPa」であるのに対し、現在主流の冷媒:R410Aの使用試験圧力は、なんと「約4.5MPa」となっている。

冷媒用配管接続法の手順としては、「パイプカッタ」で銅管を管軸に垂直に切断をし、「リーマー」で切断面の「バリ取り」をすることから、接合部の加熱にいたるまでの一連の工程は、前項:一般用銅管(JIS H 3300)と同様である。

なお、接合方法も冷媒配管からの「冷媒漏洩」を防止するために、耐圧上は当然ことながら、「硬ろう付け(ろう付け)接続法」を採用することが望ましい。ここでは「硬ろう付け(ろう付け)」以外に冷媒配管系でよく使用される、「機械的接合法(メカニカル接続法)」について紹介するが、その使用は極力避けたいが、ビルマルチユニットなどと冷媒配管との接合の必要上、使用せざるを得ない場合も多い。

「メカニカル接合用継手」には、(1)圧縮式スリーブ型継手(JCDA 0003)、(2)プレス式管継手(JCDA 0004)、(3)フレア式管継手(JCDA 0005)、(4)分割式(JCDA 0006)があり、静水頭:100mm以下で使用されている。

注:JCDA=銅配管協会規格

なお、冷媒用には、「冷媒用フレア及びろう付け管継手(JIS B 8607)」があり、銅管外径:19.05mm以下、圧力:4.15MPa以下で使用されている。その他に、「圧縮リング型管継手」や「ダブルフェルール型管継手」も使用されている。ちなみに、大口径管の接合には、「冷媒用管フランジ(JIS B 8602)」が用いられる。

【技術用語解説】フェルール接合(ferrule joint)

銅管接合法で、「袋ナット」で「そろばん玉状のリング」を締め付けて接合する方法。 別名:ソロバン玉ジョイント。空気配管などにもよく使用される。

銅管のメカニカル接合

 

銅管のメカニカル接合

 

【豆知識】冷媒配管施工の3原則

冷媒配管の施工にあたっては、冷媒の種類にかかわらず、次のような厳守してほしい「冷媒配管施工の3原則」がある。

  • (1)冷媒配管内部に「水分」がないこと!⇒配管内部が「ドライ状態」であること!
  • (2)冷媒配管内部にゴミがないこと!⇒冷媒配管内部がクリーン(清浄)であること!
  • (3)冷媒配管内部から「冷媒漏れ」がないこと!⇒高い配管施工品質を確保すること!

 

執筆:NAコンサルタント 安藤紀雄
挿絵:瀬谷昌男
  

『建築設備配管工事の基礎講座』の目次

    

第1章 建築設備と建築設備配管

第2章 建築設備用配管材料の種類

第3章 配管の接合方法の種類

第4章 配管工事を支える補助部材

第5章 配管のテストと試運転

第6章 配管に関するトラブル対応

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