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建築設備配管工事の基礎講座
空調設備や換気設備、給排水衛生設備の血管となる「配管」。本連載では、配管方式の分類から配管工事・配管材料の種類まで、現場や商品選定時に役立つ知識を紹介していきます。
第5章 配管のテストと試運転

5-4 ビルマルチ空調用冷媒配管の試運転調整:「真空引き作業」

ビルマルチ空調システムの「試運転調整段階」にこぎつけるまでには、冷媒配管完了後、冷媒配管の「耐圧・気密試験」⇒「真空引き作業」⇒「冷媒充填作業」という工程を踏むことが不可欠である。「耐圧・気密試験」に関しては、前項:5−3で紹介したので、ここではその後工程になる「真空引き作業」の目的・実施要領・留意点などについて述べる。

(1)真空引き作業の目的

冷媒配管中に水分が残ると、「圧縮機」の潤滑油への「水分混入」に起因する「潤滑不良」や水分の「氷結」などで、圧縮機その他の機器が損傷事故を起こすことがある。その防止のために、以下の3点を目的とした「真空引き作業」を実施する必要がある。

1.冷媒配管内の水分を完全に除き「乾燥」させること。
2.冷媒配管内の「空気」および「窒素」を除去すること。
3.冷媒配管のからの「冷媒漏れの有無」を発見すること。

(2)真空引き作業の実施要領

以降の点に留意して実施する。

1.「真空ポンプ」は、「吸引容量:50L/m」、「到達真空度:5×10-6mmHg」(1mmHg=1Torr:トル、⇒高さ:1mの水銀柱が底に及ぼす圧力)程度の能力を有するものを使用する。ただし、真空ポンプの潤滑油が冷媒配管内に逆流しないように、「逆流防止機能付きの機種」、あるいは「逆流防止アダプター」を取り付けること。

2.吸引対象の「室外ユニット」と「真空ポンプ」の間に、「ゲージ」・「マニホールド」を取り付け、「真空度」をゲージ・マニホールドに付属している「圧力計」で読み取る。

ただし、冷媒種別ごとに、専用のゲージ・マニホールドを使用すること。


【豆知識】「ゲージ圧力」と「絶対圧力」

圧力の表示方法には、「ゲージ圧力表示」と「絶対圧力表示」があるが、「大気圧表示」を基準にとった圧力を「ゲージ圧」といい、「ゲージ圧」に「大気圧」を加えた圧力を「絶対圧」と呼んでいる。なお、我々が気密試験・水密試験に通常採用している 圧力は「ゲージ圧」のことである。

図−1 「ゲージ圧力」と「絶対圧力」の違い

3.「真空引き作業」では、通常ゲージ圧「−755mmHg」に達した後、さらに1時間継続して真空引きを行う。したがって、「−755mmHg」に達した時刻を必ず記録しておくこと、また終了時も同様に記録しておくこと。

その後、さらに1時間放置し「漏れ(圧力上昇)」の無いことを確認する。

(3)真空引きによる冷媒配管内乾燥の原理

真空引きによって「冷媒配管内の乾燥度」を検知する原理は、次の通りである。すなわち、圧力がもし低下すると表―1の示すように、「水の沸点」は低下し、冷媒配管の周囲温度がそれ以上であれば、相対的に加熱されて「水分」が蒸発することによる。

表−1 水の沸点と圧力(ゲージ圧)の関係
(4)寒冷地での真空引き作業の注意事項

周囲温度が「0℃」以下の場合、「−755mmHg」まで吸引しても水分は完全に蒸発しない。したがって、寒冷期に作業する場合には、限りなく「−760mmHg」近くで吸引する必要がある。

また、雨天に屋外で「冷媒配管工事」を行うと、冷媒配管内に水分が侵入し、1時間程度の「真空引き作業」では効果が出ない恐れがある。

したがって、雨天時には「屋外冷媒配管工事」は絶対に行ってはならない。

執筆:NAコンサルタント 安藤紀雄
挿絵:瀬谷昌男

『建築設備配管工事の基礎講座』の目次

第1章 建築設備と建築設備配管

第2章 建築設備用配管材料の種類

第3章 配管の接合方法の種類

第4章 配管工事を支える補助部材

第5章 配管のテストと試運転

第6章 配管に関するトラブル対応

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