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建築設備配管工事の基礎講座
空調設備や換気設備、給排水衛生設備の血管となる「配管」。本連載では、配管方式の分類から配管工事・配管材料の種類まで、現場や商品選定時に役立つ知識を紹介していきます。
第4章 配管の接合方法の種類

4-5 伸縮管継手と変位吸収管継手

第4章の4−1.で「配管継手類(pipe fittings)」について紹介させていただいたが、本稿では、継手は継手でも上記の「特殊継手」について、是非紹介しておきたい。

(1)伸縮管継手

伸縮管継手は、蒸気・通気・ガス・水・油などの配管において、「温度変化」によって生じる「管軸方向の伸縮」を吸収させるために使用する管継手で、1.スリーブ形伸縮管継手、2.ベローズ形伸縮管継手、3.ベンド継手に大別される。

1.スリーブ形伸縮管継手:スリーブ形管継手には、「単式」と「複式」の2種類があるが、「伸縮量」が非常に大きくとれるので、「単式」で十分間に合う場合が多い。単式の規格として「スリーブ形伸縮管継手(HASS 003)」がある。「スリーブ」が「パッキン部」を滑ることによって伸縮する型式で、「パッキン」の品質のよいものができるようになったので、高温高圧用・長寿命・堅牢などの特徴を持つものが市販されている。

図-1 スリーブ形伸縮管継手

2.ベローズ形伸縮管継手:この管継手にも「単式」と「複式」がある。規格としては「ベローズ形伸縮管継手(JIS B 2352)」がある。「ベローズ」を使用しているため、完全に漏れを防止できるが、「ベローズ」の伸縮の繰り返しによる「疲労破壊」、「ベローズ」の「腐食による漏れ」が発生しうるので、注意を払う必要がある。

「ベローズ」の材料は、一般に「ステンレス鋼」・「りん青銅」などがあるが、「ステンレス鋼」の使用に当たっては、溶接・熱処理・成形加工などに起因する「粒界腐食」・「応力腐食割れ」、また塩素イオン混入の悪循環に加えて、「酸素濃淡電池」・「異種金属接触腐食作用」によって「孔食」などが発生しうるので、極力低酸素の「ステンレス鋼」を使用し、「不働態化処理」を施すべきである。

図-2 ベローズ形伸縮管継手

3.ベンド継手:この継手は「タコベンド」という愛称でも呼ばれるように、構造が極めて簡単で「耐久力」に富み、高温高圧にも使用され「信頼性」が高い。しかし、大きな「取り付けスペース」が必要となる。

図-3 ベンド継手の例
(2)変位吸収管継手

変位吸収管継手は、建築設備配管の「建物への導入部」・「エキスパンジョイント部」・「機器接続部」などに使用される。また、その使用目的は、「地震」および「地盤沈下」により発生する変位(HASSでは、50〜500mm)を吸収し、配管の「耐震性」および「免震性」をもたせ、「機能維持」や「機能確保」をするためである。したがって、ポンプや冷凍機の発する「微振動」、あるいは「騒音対策」を目的とする管継手、また配管の温度による「膨張・収縮」を吸収する目的の管継手とは異なる。

なお、変位吸収管継手は、次の3種類に大別できる。

1.金属製変位吸収管継手

この継手には、「フレキシブル形管継手」と「ユニバーサル形管継手」がある。いずれも「ベローズ」を有していることから、伸びに対して「ブレード」および「タイロッド」で拘束される構造になっているため、変位吸収に伴う後退量・余張力が働くのが特徴である。

図-4 フレキシブル形管継手の構造例

2.メカニカル形変位吸収管継手

この継手は、通常「継手単体」で使用するのではなく、「複数個の管継手」と「挟管(管継手と管継手に挟まれた管)」を使用して、変位を吸収することを目的としている。単体の管継手の種類によって、「ボールジョイント」・「ハウジング形組立て管継手」・「スイベルジョイント」および「しゅう動形管継手」などがある。

図‐5 ボールジョイントの構造例

3.ゴム製変位吸収管継手

この継手は、「ゴム」の特性上の「伸び」が期待できるため、「後退量」が「金属製変位吸収管継手」に比べ小さく、反力も小さい。

内面が連続的に平滑にできているため、汚水排水などにも使用できる。また、大きな変位量が得られ、「免震建物」などに適用される。ゴムの劣化が「酸化作用」によって促進され、さらに熱や応力によって「酸化」が促進されるので、「給湯配管」での使用は難しい。

図-6 ゴム製変位吸収管継手形の構造例
執筆:NAコンサルタント 安藤紀雄
挿絵:瀬谷昌男

『建築設備配管工事の基礎講座』の目次

第1章 建築設備と建築設備配管

第2章 建築設備用配管材料の種類

第3章 配管の接合方法の種類

第4章 配管工事を支える補助部材

第5章 配管のテストと試運転

第6章 配管に関するトラブル対応

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