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建築設備配管工事の基礎講座
空調設備や換気設備、給排水衛生設備の血管となる「配管」。本連載では、配管方式の分類から配管工事・配管材料の種類まで、現場や商品選定時に役立つ知識を紹介していきます。
第5章 配管のテストと試運転

5-2 水配管系配管の試運転調整

水配管の耐圧テストが完了したら、次に待ち受けている工程は、「試運転調整業務」で、つぎのような手順で実施する必要がある。

(1)配管のフラッシング:配管の「フラッシング(flushing)」とは、配管内を水洗浄して、配管内の汚れや異物類(溶接クズ・ゴミ類)を綺麗に除去する作業のことである。この作業は、非常に大切で試運転調整開始前の作業として、少なくとも「3回程度」は水を入れ替えて配管内をフラッシングする必要がある。また、配管フラッシングを実施する場合、「自動弁廻りの配管」は自動弁がゴミ等を噛まないように、「本管」を閉状態にし「バイパス管」を開状態にして実施すること。

また、信じられないことであるが、このフラッシング作業で、配管工事による「細かいカス」や「細かいごみ」に混じって、「軍手」や「ウエス」などが発見されたこともある。もっとひどい例では、溶接工が直管を延ばすため、配管内面に「短い鉄筋棒」を仮付けしてそのまま本溶接をして、長い運転の後にその鉄筋棒が剥離して、ポンプの位置にまで到達し、ポンプの羽根車を破損した事故に遭遇したこともある。

これは、後工程や配管工事の品質に無神経な配管工のモラルの問題であるが、配管工事の施工管理監督者は、留意しておきたい事項の一つである。

(2)ストレーナの完全清掃:配管フラッシング作業が完了したら、「ストレーナ」の底に設置されている「キャップ」を外し、「ストレーナメッシュ」にたまった「ゴミ類」を完全に除去すること。この作業を怠ったため長期間の運転経過後、「ストレーナメッシュ」の底にたまった「溶接鉄粉」が遠心運動で「ストレーナ底部」を削り取り、大きな漏水事故につながった事例を耳にしている。

図−1 Y形ストレーナのゴミ詰まりに注意!

また、「ストレーナ」の定期的点検・清掃を怠ると、配管抵抗が極端に増加し、ポンプの運転が十分でないこともあるので、特に運転管理者は留意してほしい。

(3)配管への水張り作業:上述の作業が終了したら、いよいよ配管内への「水張り作業」に着手する。この作業は、配管工事規模にもよるが、できるだけ多くの担当者(現場施工管理者・配管工等)を適材適所に配置し実施すること。

「水張り作業」は、通常建物最上階に設置されている「開放式膨張タンク」の給水弁を開放してから行うが、「低部配管」から「上部配管」へとゆっくり実施すること。

肝要なのは、節目節目で配管からの漏洩の無いことを各担当者が互いに確認し合いながら実施すること。

図−2 開放式膨張タンクからの水張り作業

(4)ポンプの試運転:上述の水張り作業が終了したら、いよいよポンプの試運転作業に着手するが、次の手順に準拠すること。

[ポンプ本体の事前チェック]

1.「ポンプの芯出し作業」を完了しておくこと。
2.「瞬時運転」を行い、ポンプの回転が「逆回転」していないかの「チェック作業」を完了させておくこと。

[試運転開始前の留意事項]

1.「ポンプの芯出し作業」を完了しておくこと。
2.配管系内に「汚れ」や「異物」がないことを確認しておくこと。
3.「ストレーナ」の清掃を完了させておくこと。
4.ポンプ電源電圧は、「定格電圧」の「±10%」以内であることを確認しておくこと。

[起動後のポンプ操作]

1.ポンプの「特性曲線」を見ながら、「ポンプ締め切り状態」の圧力計・電力計の指針を読むこと。

図−3 遠心ポンプの特性曲線

2.ポンプの「吐出弁」を「設計流量」に達するまで徐々に開き、圧力計・電力計の指針を読むこと。

[規定電流値運転]

1.運転中の騒音・振動・ポンプグランド部からの水の漏れ具合・電動機の温度上昇、および「圧力計指針値」・「電流計指針値」が正常であれば、そのまま運転を継続すること。
2.「グランドシールポンプ」の場合、「ポンプグランド部」からの漏水があるからといって、決して「パッキン部」を堅く締め付けないこと。

[連動確認]

給排水・衛生設備のポンプにおいては、屋上の「高置水槽」の「液面自動制御装置」によるポンプの「連動」、または「圧力タンク」の「自動開閉装置」によるポンプの「連動」を確認しておくこと。

執筆:NAコンサルタント 安藤紀雄
挿絵:瀬谷昌男

『建築設備配管工事の基礎講座』の目次

第1章 建築設備と建築設備配管

第2章 建築設備用配管材料の種類

第3章 配管の接合方法の種類

第4章 配管工事を支える補助部材

第5章 配管のテストと試運転

第6章 配管に関するトラブル対応

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