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ねじの基礎講座

私たちの身近にあって欠かせない存在、「ねじ」。
ねじにはどのようなはたらきや歴史があり、どんな種類があるのか。
本連載では、ねじに関するさまざまな事項をご紹介していきます。
第2章 ねじの種類

2-3 ねじ頭部の形状とくぼみ

おねじの外径が8mm以下のねじを一般に小ねじといい、規格ではその頭部形状の違いによって分類されます(図1)。上面の角に丸みがあるのがなべ、上面が平らなのが皿です。 また皿の上面にやや丸みがあるのが丸皿、球の上部を切り取ったような丸みをもつのがトラス、頭部が台形で上面に丸みがあるのがバインドです。市場性のある小ねじの大部分はこれらのいずれかに属しますが、これ以外にも省スペースや軽量化のために頭部の高さを薄くした低頭ねじや超低頭ねじなどもあります。



  • 低頭
  • 低頭

図1 小ねじの頭部形状

一般的小ねじはメートルねじの場合にはM4×20のように、ねじの種類を示す英字記号と呼び径×長さで表記されます。ここで注意する点として、ねじの長さがどこからどこまでを指すのはということがあります。 すなわち、ねじの頭部の厚みを長さに加えるのかどうかという点です。これを間違えてしまうと、ねじを締結しようとしたときに、ねじの端部がその先にある何かの物体にぶつかってしまうことなどが考えられます。

その答えとして、一般的にはねじの長さに頭部形状の厚みは含めません(図2)。ただし、頭部が締結部材に埋もれることが多い皿と丸皿は頭部の厚みを含めて長さを表記します。 このことは、M4×20という表記だけではわからないため、ねじを選定するときには、なべ小ねじM4×20や皿小ねじM4×20というようように記号以外の部分にも注目する必要があります。なお、丸皿の小さな丸みの部分については長さに加えません。なお、頭部の厚みの寸法の詳細まで知りたい場合には、さらに規格表を調べる必要があります。

図2 ねじの長さ

図2 ねじの長さ

同じく小ねじの形状に関係する部分に頭部のくぼみ形状があります。すなわち、ドライバーでねじを締結するときに接触する部分の形状の違いです。一般的にはこの部分はプラスやマイナスのくぼみがあり、ねじの規格ではプラスのくぼみを十字穴付き、マイナスのくぼみをすり割り付きといいます(図3)。 ここで十字穴の形状について、JISではH形、Z形、S形の三種類を規定しており、それぞれ溝部分の幅や深さが異なるため、ねじを締めるときのドライバーの形状もこれに合わせて選定する必要があります

図3 小ねじ頭部のくぼみ

図3 小ねじ頭部のくぼみ

現在、十字穴付きとすり割り付きでは、圧倒的に十字穴付きの方が多く用いられています。その理由として、こちらの方がドライバーをあてたときに軸心の移動が少ないため、溝部分にしっかりとはまることがあげられます。実は1954年までは米国のフィリップス社が十字穴付きの特許をもっており、当時は日本国内ではすり割り付きの方が一般的だったのです。

執筆:神奈川工科大学 門田和雄 教授

『ねじの基礎講座』の目次

第1章 ねじのキホン

第2章 ねじの種類

第3章 ねじの強さ

第4章 ねじの材料

第5章 ねじの作り方

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