工具の通販モノタロウ ねじの基礎講座 止めねじの種類と形状

ねじの基礎講座

私たちの身近にあって欠かせない存在、「ねじ」。
ねじにはどのようなはたらきや歴史があり、どんな種類があるのか。
本連載では、ねじに関するさまざまな事項をご紹介していきます。
第2章 ねじの種類

2-9 止めねじの種類と形状

止めねじは、ねじの先端を利用して歯車やプーリーなどの機械部品を軸に固定する場合などに用いられるねじです。一般的に止めねじの片側には六角穴があり、六角レンチなどの工具で締結します。 JISではこれを六角穴付き止めねじという名称で規定していますが、一般的にはホーローセットやいもねじと呼ばれています。ここでホーローとは、英語でくぼみや穴を意味するhollowのことです。またいもねじはその形が芋虫に似ているところから名づけられたようです。また、このほかにも、十字穴付き止めねじやすり割り付き止めねじなどの種類もあります。

止めねじの形状にはいくつかの種類があります。くぼみ先は円筒形の先端がくぼんだ形状をしており、止めねじの中でもっとも多く用いられています(図1)。相手部材に円形に接触して強固な固定ができるため、歯車やプーリーを軸に固定する場合など、永久に取り外すことがないような場所に用いられます。 平先はねじ部の先が平らな形状をしており、相手部材を傷つけにくいため、ねじの締めと緩めを繰り返す場所などに用いられます(図2)。とがり先はねじの先端部がとがった形状をしており、この部分を円錐形状のくぼみをもつ部品などに接触させて、永久に取り外すことがないような場所やねじを回転させて微調整をするような場所で用いられます(図3)。 棒先はねじ部よりも細い円筒部をもつ形状をしており、この部分を相手部材の溝やくぼみに接触させて固定や回転止めに用いられます(図4)。丸先はねじの先端部に丸みをもつ形状をしており、相手部材が平面でないような場所に用いられます。

  • 図1 六角穴付止めねじ くぼみ先
  • 図1 六角穴付止めねじ くぼみ先
  • 図2 六角穴付止めねじ 平先
  • 図2 六角穴付止めねじ 平先

  • 図3 六角穴付止めねじ とがり先
  • 図3 六角穴付止めねじ とがり先
  • 図4 六角穴付止めねじ 棒先
  • 図4 六角穴付止めねじ 棒先

以上がJISで規定されている代表的な止めねじですが、これ以外にもおもしろい形状の止めねじが流通しています。 先端部にギザ先やギザ歯とよばれるギザギザ形状をもつ止めねじは、このギザギザ形状を利用して締結できるため、大きな緩み止めの効果があります(図5)。 くぼみ先の中央部分に円錐形状のとがり先をもつ形状のダブルポイントは、両者のはたらきにより相手部材に強く食い込みます(図6)。

  • 図7 六角穴付止めねじギザ先
  • 図3 六角穴付止めねじ とがり先
  • 図8 六角穴付止めねじダブルポイント
  • 図8 六角穴付止めねじダブルポイント

止めねじを利用するメリットとして、狭いスペースを有効に使用できるため、装置全体をコンパクトにできること、小さな部品でありながら強度区分が大きいということなどがあげられます。なかには呼び径が1mm以下の止めねじもありますが、これがないと締結できない機械部品もあるのです。

執筆:宮城教育大学 教育学部 技術教育専攻 門田 和雄 准教授

『ねじの基礎講座』の目次

第1章 ねじのキホン

第2章 ねじの種類

第3章 ねじの強さ

第4章 ねじの材料

第5章 ねじの作り方

目次をもっと見る