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ねじの基礎講座

私たちの身近にあって欠かせない存在、「ねじ」。
ねじにはどのようなはたらきや歴史があり、どんな種類があるのか。
本連載では、ねじに関するさまざまな事項をご紹介していきます。
第5章 ねじのつくり方

5-2 ダイスによるおねじ加工

切削加工でおねじを加工するねじ立て作業には、ダイスを用いる方法があります。 ダイスは棒状の工作物におねじを刻むための刃をもつ食いつき部をもつ円盤状の工具であり、ダイス回しと一緒に用います。 この作業は正しい操作法を身に付ければ、比較的簡単におねじ加工ができるので便利です。 なお、おねじを切る材料を垂直にしっかり固定するために万力などの固定具が必要になります。 次にダイスによるおねじ加工の手順をまとめます。

(1)おねじを加工したい金属棒を用意して、どの位置まで加工するのかの長さを測定してけがき針などで印をつけてから、万力などの固定具を用いて固定します。

(2)金属棒の直径に応じたダイスを用意して、固定ねじを回転させてダイス回しに固定します。例えば、直径が6mmの棒にM6のおねじを切りたい場合には、M6と刻印されたダイスを用意します。

(3)金属棒にダイスをあてる前に、鉄工やすりを用いて金属棒の端面を軽く斜めに削る面取りをして、ダイスが上手く食いつくようにします。

(4)ダイスには表面と裏面があり、表面にはダイスが金属棒に食いつきやすい形状をしています。表面にはM6というように寸法が刻印されているため、こちらの面が金属棒にあたるような向きにして、垂直に接触させます。

(5)ダイスを工作物である金属棒に接触させたら、ダイス回しを下向きに押し付けながら回転させます。このときダイスがきちんと垂直に食い込むかが大きなポイントになります。

(6)ダイス回しを一回転ほど回してみて金属棒に食い込んだら、下向きに押し付ける力は不要となるため、回転のみを加えていきます。

(7)ダイスを同じ方向に回転させ続けると切りくずが詰まったりして、回しにくくなってきます。そのため、ダイス回しを半回転させたら、4分の1回転ほど戻しながら加工を進めていきます。

(8)切りくずを巻き込んで次の加工をすると、おねじがつぶれたりすることもあるため、途中で出る切りくずはブラシなどを用いて取り除いたり、切削油を与えるなどします。

(9)あらかじめ印をつけた位置までおねじが切れたら、ダイスをゆっくりを逆回転させて外します。

ダイスは一種類で一つの寸法の加工しかできないため、いくつかの寸法のものを用意しておきます。ただし、ダイスの外径は食いつき部の寸法が違う場合でも同じものもあるため、ダイス回しについては共通して使えるものがあります。

図1 ダイスによるおねじ加工

  • 図2 ねじ切り丸ダイス
  • 図3 丸ダイスハンドル
執筆:神奈川工科大学 門田和雄 教授

『ねじの基礎講座』の目次

第1章 ねじのキホン

第2章 ねじの種類

第3章 ねじの強さ

第4章 ねじの材料

第5章 ねじの作り方

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