ねじの基礎講座

私たちの身近にあって欠かせない存在、「ねじ」。
ねじにはどのようなはたらきや歴史があり、どんな種類があるのか。
本連載では、ねじに関するさまざまな事項をご紹介していきます。
第2章 ねじの種類

2-1 ねじの各部名称

ねじは円筒や円錐の面に沿って螺旋状の溝を設けた形状をしており、円筒や円錐に溝が外側にあるものをおねじ、内側にあるものをめねじといいます(図1)。JISで規定されている代表的なねじはメートルねじであり、長さの単位はミリメートル[mm]で表します。 ねじを代表する寸法として、外径と内径があります。一般的なメートルねじの場合、たとえば直径が6mmのねじをM6と表記し、これをねじの呼び径といいます。そして、このときどの部分が6mmなのかが重要になってきます。

図1 ねじの各部名称

図1 ねじの各部名称

ここで、おねじの場合に直径がもっとも小さくなる長さを谷の径、めねじの場合に直径がもっとも大きくなる長さを谷の径といいます。そして、おねじの場合には直径がもっとも大きくなる外径が6mm、めねじの場合には直径がもっとも大きくなる谷の径が6mmです。 M6という表記だけでおねじとめねじを購入すれば締め付けることができますが、改めてM6のどこが6mmなのかと問われると意外と答えられないということがあります。

それでは、山と谷でギザギザしているねじの平均的な直径はいくつなのでしょうか。ギザギザの部分の平均値にどんな意味があるかというと、ねじの軸がどのくらいの引張力に耐えられるかという引張試験などを行う場合には、単位断面積あたりにはたらく力の大きさを求める必要があります。 このときの断面積は外径の断面積でも内径の断面積でもないでしょう。そこでねじの溝とねじの山の幅が等しくなるような仮想的な断面の直径を有効径と定義して強度計算などに用いるのです。JISによると、M6のねじの場合、外径が6mm、谷の径が4.917mm、そして有効径が5.35mmと定められています

ねじの寸法で次に代表的なものとしてピッチがあげられます。これは隣り合うねじ山とねじ山の間隔のことです。たとえ、M6のおねじとめねじがあったとしても、ねじ山の間隔が等しくなければ、ねじが合わないということは想像できるでしょう。 そこで、このピッチは、ねじの直径が小さければこのくらい、大きければこのくらいというように、直径に応じた寸法が規定されています。たとえばM6のピッチは1、すなわちねじ山とねじ山の間隔は1mmです。なおメートルねじではねじ山の角度は60°に定められています。

執筆:宮城教育大学 教育学部 技術教育専攻 門田 和雄 准教授

『ねじの基礎講座』の目次

第1章 ねじのキホン

第2章 ねじの種類

第3章 ねじの強さ

第4章 ねじの材料

第5章 ねじの作り方

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