ねじの基礎講座

私たちの身近にあって欠かせない存在、「ねじ」。
ねじにはどのようなはたらきや歴史があり、どんな種類があるのか。
本連載では、ねじに関するさまざまな事項をご紹介していきます。
第4章 ねじの材料

4-1 鉄鋼材料

ねじに限らず、私たちのまわりにある多くの工業製品は金属材料で作られており、その中でも鉄鋼材料は比較的安価で入手でき、強度や粘り強さを兼ね備えているため、多くの場面で用いられています。 ここで鉄鋼とは、純度100%の鉄(Fe)である純鉄(iron)ではなく、鉄にいくらかの炭素を加えた炭素鋼(steel)を意味しています。 空き缶のリサイクルでスチール缶とアルミ缶の分別が行われますが、このスチール缶とは炭素鋼のことです。 どうして炭素を加えるのかというと、純度100%の鉄は強度が少ないためです。 そのため、人々が長い間、鉄に何かしらの元素を添加して強度をアップする工夫をした結果、たどり着いたのがまずは鉄に炭素を加えた炭素鋼、そしてさらに他の元素を加えた各種の合金鋼ということになります。 もう少し詳しく述べると、炭素鋼は0.02~2%の炭素(C)、0.2~0.8%のマンガン(Mn)のほか、ケイ素(Si)やリン(P)、硫黄(S)などを含みます。 ただし、リンと硫黄はその割合が多いと強度などに悪影響を与えるため、一定量を超えてはいけないという数値が規定されています。また、炭素の含有量が少ないもの(0.2~0.3%)を軟鋼、多いもの(0.5~0.8%)を硬鋼と区別することもあります。

代表的な炭素鋼として、一般構造用圧延鋼材(SS材)と機械構造用炭素鋼(S-C材)があります。一般構造用圧延鋼材は車両、船舶、橋などの一般的な構造物に用いられている材料です。 日本工業規格(JIS)では、SS400というような記号で表記されますが、ここでSSとは構造用の鋼を意味するSteel for Structureの略であり、 400の数値は引張強さの最低保証値が400N/m²であることを意味しています【3-2 ねじの伸縮を参照】。 なお、この材料は他の材料のように添加元素の割合が細かく規定されておらず、あくまでも引張強さが保証されていることが特徴です。 一方で機械構造用炭素鋼(S-C材)はSS材よりも過酷な場所、たとえば高速で回転しながら大きな荷重を伝達する必要がある歯車や軸などの機械部品用の材料として用いられています。 JISではS45CのようにS(Steel)とC(Carbon)の間に数値を入れた形で表記されますが、この数値は炭素を0.45%含んでいることを意味しています。引張強さだけが規定されているSS材よりもS-C材の方が信頼性のある高級な材料であると言えます。

図1 材質がSS400のシャフトホルダ

図1 材質がSS400のシャフトホルダ

図2 材質がS45Cの台形ねじ

図2 材質がS45Cの台形ねじ

執筆:神奈川工科大学 門田和雄 教授

『ねじの基礎講座』の目次

第1章 ねじのキホン

第2章 ねじの種類

第3章 ねじの強さ

第4章 ねじの材料

第5章 ねじの作り方

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