照明のことが分かる講座

照明とは人々の生活に役立つ光の仕事のことを言います。 照明の主光源がLEDに変わりつつあるなか、照明を知ることで生活はより豊かに変わります。 そこで本連載では照明の基礎知識から光源や照明器具の種類、照明方式、照明がもたらす心理・ 生理効果を分かりやすくご紹介していきます。
第2章 光源の種類と特徴

2-8 LED電球の種類

LED電球の登場

LED電球(電球形LEDとも言われる)は白熱電球の代替になるLED光源で、口金の形状がE形(エジソンベース),B,GX53形のいずれかを備えたものを言います。もっともポピュラーなLED電球はバルブの形状がナス型でE26口金を持った普通電球に代替できるタイプになります。

このランプが出始めたのは2009年頃で、当時、平均価格は7,000円前後でかなり高価のものでしたが、そのわずか半年後におこった価格革命が功を奏し、単価は半減し、その年のヒット商品になったほどです。

LED電球の特徴

LED電球は少ない電力で明るさが取れることとおよそ4万時間と言う超長寿命が最大の特長です。しかし反面、熱や湿気に弱い光源でそれが寿命に大きな影響を与えています。

発売初期のLED電球は使用者の使い方の問題やランプ自体不良品も出回っていたらしく、寿命に関しては1か月も持たないで不点になった、などと言うクレームもありました。不点の原因の多くは熱の問題です。

LED電球はLED素子部とバルブ、そして電源回路部からなります。熱に弱いのは電源回路部で、そこには主要な役割を持つ電解コンデンサという電子部品が使われています。電解コンデンサは温度上昇がランプ寿命に著しく影響します。そのため回路近辺が高温にならないよう各メーカ独自の放熱技術がLED電球に応用されています。

今日では放熱技術等の向上もあって短時間のランプ切れは少なくなっています。それでも心配な消費者に対して、メーカによってはある期間の保証付きで販売しています。

LED電球の種類

現在、LED電球は白熱電球と同様に大別すると一般照明用と装飾照明用、投光照明用があります。(図1)なかでも普通電球や小型クリプトン電球の代替品である一般照明用が住宅を中心に普及しています。

図1 おもなLED電球の種類。( )は口金形状

LED電球の製造は巨額の設備投資を必要としないため、従来光源の製造メーカ以外にも、新規参入を含め大小さまざまな企業が参入しています。そのため発売初期のランプは少しでも自社製品の特性を強調するために独自の表示方法でLED電球をPRしていました。

LED電球はパッケージなどにランプの性能が明記されていますが、初期のものは明るさ的に誤解を呼ぶようなことがありました。 例えば白熱電球の○○W相当と表示されても、それは直下照度が相当の明るさであって、全光束の少ないLED電球が幾つも出回っていたのです。そのようなLED電球を普通電球と比較して点灯すると暗いことがわかり、消費者からのクレームが寄せられました。

そこで一般社団法人日本電球工業会(現在は日本照明器具工業会と合併し一般社団法人日本照明工業会に)が2010年にLED電球の性能表示に関するガイドラインをまとめました。

図2 LED電球の一般照明用電球代替表示区分(定格初光束とは全光束)

LED電球は白熱電球に比べ少ない電力で明るさが得られます。今日では、1Wあたりの光束で言えば、その種類にもよりますがおよそ80~100lmほどの光量が得られ、なかには100lmを超えるものもあります。そしてこのランプ効率は年々少しずつではありますが向上しています。

一方、白熱電球は1ワット当たりの光束量15lm前後と比較的長期にわたって安定しています。したがって白熱電球のワット数を言えば、誰もがおよその明るさをイメージできます。

そこでLED電球の明るさを分かりやすくするため、電球何ワット相当と言う表示が行われるのです。例えばE26 のLED電球8Wで810lmが得られれば、図2からこのLED電球は白熱電球60Wの明るさになることから電球60W形相当、と言う表示ができます。このガイドラインによって、一般照明用LED電球の明るさに関する誤解は少なくなったようです。

なお、ボール形や反射形(投光)LED電球の代替表示区分はJISのガイドラインが参照にされますが、特に反射形LED電球に関してはビームの開き(ビーム角度)とビーム光束が同等以上のものに対して「ビーム電球何W相当」などと表示されます。

LED電球メーカは今日でも効率や演色性、調光対応有無など、他社との差別化を図るための商品開発を進めています。そのため一般照明用のLED電球だけでも、どのメーカのどのランプを選んだらよいか迷うことになります。後で後悔しないよう、購入する際は少なくとも価格だけで選ぶことのないようにしたいものです。

執筆: 中島龍興照明デザイン研究所 中島龍興

『照明のことが分かる講座』の目次

第1章 照明の基礎知識

第2章 光源の種類と特徴

第3章 LED照明器具の選び方

第4章 照明方式

第5章 照明の視覚心理・生理

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