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照明のことが分かる講座

照明とは人々の生活に役立つ光の仕事のことを言います。 照明の主光源がLEDに変わりつつあるなか、照明を知ることで生活はより豊かに変わります。 そこで本連載では照明の基礎知識から光源や照明器具の種類、照明方式、照明がもたらす心理・ 生理効果を分かりやすくご紹介していきます。
第1章 照明の基礎知識

1-7 色温度を測定してみると

色温度を測る前にxy色度図を知る

CIExy色度図(以下xy色度図)はCIE(国際照明委員会)によって承認された光色の表し方です。照明関係者だけでなく色彩の勉強をされている方にもおなじみの図表です。 詳細は複雑なので概略で説明します。人の目は主にR(おもに赤色、実際は赤~黄緑色)、G(おもに緑色)、B(おもに青色)を知覚する錐状体細胞が網膜に分布されており、これが視神経から脳に伝わって色として知覚します。

xy色度図はその混色でいろいろな色を感じていることを原理に作成されています。xy色度図のxyにはzもあり、xとyが分かれば自動的にzが計算されます。xyzはおおむねRGBに対応し、これらの色が均等に混ざると1(100%)になり、それが白色です。この色度図上には各色温度に対応する黒体軌跡が存在します。

色温度を測定してみる

自然光を含めた光源のxy値はスペクトル計や色彩輝度計などの計器によって計測することができます。そこで今回はスペクトル計を使用して某メーカLED電球の色温度を計測してみました。この計器は測定したい光源の近くに向けてスイッチを押すだけで計測ができます。非接点なので周囲の光の影響を受けないように測定することが望まれます。

スペクトル計の画面上にはスペクトル分布(写真1)とxy値が表れ、自動的に色温度を算出してくれ、またxy色度図におおまかな光色が示されます。(図1)

色温度は、黒体軌跡上にピタリとある光源の光色を言いますが、多くの人工光源はこの軌跡からずれます。このような場合、正確には相対色温度と言いますが、普通はそれも含めて色温度と言われています。

図2は黒体軌跡の詳細を表したものですが、測定したLED電球(x:0.455、y:0.410)の xy値でぶつかった線(赤線で表示)をたどっていくと黒体軌跡から少しずれた色温度が読み取れます。その結果このLED電球はおよそ2850Kであることが分かります。

基本的に同じ色温度でも黒体軌跡から上方向にずれるほど光色がやや黄緑色っぽく見えます。逆に下方向にずれるほどやや赤やピンク色味が増したように見えます。図1では黒体軌跡の線(赤線で表示)の上に十字印があるので、この光源は同じ色温度でも少し緑色っぽく見えていることが分かります。

色温度を正しく理解して設計する

光源メーカはランプのパッケージやカタログに色温度を記載しいている場合があります。特にLEDランプは色温度の種類が多く、どの色温度にしたらよいか選ぶ人は混乱します。一般に50~100Kの違いであれば同時に比較しない限りあまりわからないため、LED電球の場合JIS(日本工業規格)Z9112では電球色(2600~3250K)、 温白色(3250~3800K)、白色(3800~4500K)、昼白色(4600~5500K)、昼光色(5700~7100K)までの5つ光色に分類し、規格統一を図るよう製造メーカに推奨しています。

しかし照明設計では一つの空間で何種類かの光源を使うと、例えば電球色で統一するといっても、電球色の範囲内で異なる色温度のものを使用すると、その違いに違和感を覚えることがあります。そのためできるだけ同じ色温度のものを選んで使うことが奨められます。 さらに言えば同じ色温度でも黒体軌跡からのずれも合わせることで、光色的に統一感のとれた照明空間ができるのです。

写真1

写真1

図1 LED電球の色温度 (十が色温度を示す位置。赤線が黒体軌跡)

図1 LED電球の色温度 (十が色温度を示す位置。赤線が黒体軌跡)

図2 等色温度線と黒体軌跡

図2 等色温度線と黒体軌跡

執筆: 中島龍興照明デザイン研究所 中島龍興

『照明のことが分かる講座』の目次

第1章 照明の基礎知識

第2章 光源の種類と特徴

第3章 LED照明器具の選び方

第4章 照明方式

第5章 照明の視覚心理・生理

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