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照明のことが分かる講座

照明とは人々の生活に役立つ光の仕事のことを言います。 照明の主光源がLEDに変わりつつあるなか、照明を知ることで生活はより豊かに変わります。 そこで本連載では照明の基礎知識から光源や照明器具の種類、照明方式、照明がもたらす心理・ 生理効果を分かりやすくご紹介していきます。
第1章 照明の基礎知識

2-5 HIDランプの種類と性能

HIDランプとは

HIDランプは高輝度放電ランプのことで「High Intensity Discharge Lamp」の頭文字をとった略称です。ちなみに蛍光ランプは低輝度放電ランプに属します。

HIDランプのなかには高圧水銀ランプやメタルハライドランプ、高圧ナトリウムランプなどが含まれ、蛍光ランプに比べ大容量のタイプが多く揃っています。 ランプの点灯には蛍光ランプ同様、基本的に安定器という装置を必要としますが、蛍光ランプと違って大半は点灯および再点灯に数分の時間を要します。(写真1 左:クリア電球。中、右:メタルハライドランプ)

写真1

自然光のようなメタルハライドランプ

高圧水銀ランプは戦前に開発されています。そして戦後間なく初めてアメリカの市場に出てきました。このランプは点灯中のバルブ(以下、外管)内温度や水銀蒸気圧を高くすることで、外管が透明タイプは演色性のあまりよくない青白い光を放ちます。 そのため蛍光水銀ランプと称して、外管内に蛍光塗料を塗布することで光は温かみを増し、演色性も改善されました。

高圧水銀ランプを改良したものがメタルハライドランプです。これは外管の中にいくつかの金属ハロゲン化物を封入した発光管を収めることでより高い演色性とランプ効率を実現しています。

メタルハライドランプは1964年に開催されたニューヨーク世界博覧会に使われ、日本でも1970年の大阪万博で多用されています。

メタルハライドランプは種類が多く、一般的に250W~1kWが良く使われており100lm/W前後のランプ効率により大光束が得られています。そのため、今日まで土木的価値のある巨大建造物(橋梁やタワーなど)のライトアップや競技場、公園のような広い面積を照明するのに欠かせませんでした。

メタルハライドランプは種類によって点灯方向に制約があり、上向きとか下向き用など決められています。

さらに光色が電球色から昼光色まで揃っていて特に昼白色や昼光色タイプはまるで自然光を彷彿するような効果がある一方で光色ムラが問題視されていました。 そのような問題を解決したのが発光管をセラミックに変えた「CDM(Ceramic Discharge Metal halide)」ランプの登場です。このランプは単に光色ムラの問題にとどまらず点灯方向の制限をなくしています。(図1)

図1 セラミックメタルハライドランプ

また演色性もRa 90前後と高く、寿命も長いものでは18000時間あります。このようにCDMランプはHIDランプのなかで優れた特性を誇りますが、ランプ単価の高いのが難点でした。

温かな光を放つ高圧ナトリウムランプ

塩を火にかけるとオレンジ色の炎を放ちます。塩と言えばナトリウムを連想しますが、このナトリウムの発光を利用して開発されたのがナトリウムランプで、まさにオレンジ色の温かい光色が特徴です。

ナトリウムランプには低圧と高圧タイプがあります。今日でも道路やトンネル照明でオレンジ色の光を見かけますが、その多くは高圧ナトリウムランプと言えるでしょう。また歴史的な建造物のライトアップも白い光より暖かい光がノスタルジーを覚えることからこのランプが使われます。(写真2、アユタヤ遺跡)

写真2 アユタヤ遺跡

高圧ナトリウムランプは高効率型と演色改善型、高演色型があります。高効率型は120lm/Wを超えるものもあり長寿命です。また高演色型はランプ効率が高率型に比べ低く、価格も高価になるため雰囲気を重視した比較的規模の大きいホールや商業施設の全般照明用に、瞬時点灯する白熱灯や蛍光灯などと併用して使用されることがあります。

執筆: 中島龍興照明デザイン研究所 中島龍興

『照明のことが分かる講座』の目次

第1章 照明の基礎知識

第2章 光源の種類と特徴

第3章 LED照明器具の選び方

第4章 照明方式

第5章 照明の視覚心理・生理

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